連載
#2 ネットの話題フカボリ
持ちきれない!裁縫セット、植木鉢…学期末「フル装備」一枚絵に凝縮
「置き勉」禁止の議論がSNSで話題ですが、学期末にはさらにたくさんの道具を抱え、登下校をする子どもたちが目につきます。裁縫セット、観察日記用の花の植木鉢……。その重さに苦しむ様子を凝縮した一枚絵が、ツイッター上で反響を呼んでいます。幼少期を思い出した人たちからは、「私が持ち帰ったものも絵に採り入れて」と注文も。投稿した漫画家は「小学生時代の『フル装備』を再現したいと思った」と狙いを語りました。(withnews編集部・神戸郁人)
「小学生の持ち物は 教科書だけじゃない…!」というタイトルの絵は、今月22日に公開されました。
「置き勉」の禁止が話題になっているけど…
— コハラモトシ@オツカレちゃん①発売中! (@kohara_motoshi) 2018年6月22日
小学生って、持ち帰るのは教科書だけじゃないから!
時に、こんな事もあるから! pic.twitter.com/FLlj8pNXK3
中央には少年の姿。背負っているランドセルを見ると、教科書とノートでパンパンです。隙間から、入りきらなかったリコーダーが飛び出ています。側面には、体操着や給食着入りの布袋もかかっています。
右手に絵の具セットや鍵盤ハーモニカ、左手に習字かばん。さらに水筒を肩にかけ、わきの下に傘を挟んでいます。そして少年は、肩で息をしながらつぶやくのです。「なにコレ…修業…?」
絵には「私もほんとに大変だった」「授業で作った工作を持ち帰るのもつらい」など共感のコメントが集まりました。2万件以上リツイートされ、「いいね」も4万件近くになっています。
「小学生時代の自分をイメージしました」と話すのは、作者のコハラモトシさん(@kohara_motoshi)です。現役の漫画家で、代表作「死神見習!オツカレちゃん」(竹書房)は1巻が発売されています。
創作の出発点は、教科書を学校に置いて帰る「置き勉」の禁止が、ツイッター上で議論になったことでした。「子どもに重いかばんを持たせないで」という反対派の声に偶然触れ、学期末の記憶がよみがえったといいます。
「小学校低学年のころ、体が他の人より小さかったんです。ランドセルを背負うだけでつらいのに、大量の道具を運ぶのは本当に大変でした。休み休み移動し、普段は学校から徒歩20分ほどの家まで、40分近くかけて帰りました」
絵には、実際に持ち帰ったことがあるものを盛り込みました。「一番重かった」という習字かばん。配膳当番の日と重なり、他の道具と一緒に運んだ給食袋。一押しポイントは、苦しそうな少年の顔です。「描きながら、僕も同じような表情になっていたと思います」
「道具箱もしんどかった」「画板を入れて」。閲覧した人たちからは、自分が持っていたものも作品に反映してほしい、との注文が殺到しました。コハラさんは、さらに道具を追加したバージョンも公開しています。
絵には、頭に画板のひもをかけ、習字かばんと道具箱を同じ手で持つ少年が。涙ながらに歩くその姿は、痛々しくもあります。
元々、問題提起をする意図は無かったというコハラさん。しかし絵を描き進めるうち、「体に負担をかけ過ぎでは」と疑問を持ったそうです。今は自らの作品が、子どもたちの現状を考えるきっかけになってほしいと思っています。
「盗難の防止など、道具を持ち帰る理由は色々あると思います。ただ自分の過去を振り返ると、持ち物が重すぎてふらつき、車にひかれそうになったこともある。安全・安心な通学のためにどうしていくべきか、話し合っていければ良いですね」
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