連載
#16 夜廻り猫
「褒められたくて育児してんの?」夫の一言 夜廻り猫が描くイクメン
「お父さんえらいねぇ。いつも抱っこで。お母さん、感謝しなきゃ!」。3人で街を歩いていると、褒められるのは父親ばかり。「1時間抱っこしただけで褒められるんだ」と伝えたら、夫は……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが、「イクメン」を描きました。
子どもを抱っこした夫と街を歩いていた女性。お店の人が「いつも抱っこで偉いねぇ。お母さん、こんなイクメンで感謝しなきゃ」と声をかけてきました。
女性が「男の人は午後に1時間抱っこしただけで褒められるんだなぁ」とチクリと言うと、夫は「褒められたくて育児してんの?」と冷たい一言。
その夜、そんな女性のもとに、涙の匂いをかぎつける猫の遠藤平蔵が訪ねてきます。「どうなされた?」
女性は、自分と夫の家事・育児の負担を振り返っていました。共働きですが、女性が8割方を担って睡眠時間は3時間。夫は9時間でした。
「私の超過労働分は、時給千円で請求してやる!」とつぶやきます。
すると、遠藤は「それは駄目だ 安すぎる」と制止します。
勇気づけられた女性は、夫に「時給4千円で請求します」と提案。遠藤は「にっこり頑張れ」と励ますのでした。
作者の深谷さんは「すでにギリギリまで頑張っているお母さん。赤ちゃんの夜泣きや家事に追われて深夜や早朝も起きていて、眠れていないのでは」と心配します。
もちろん個人差があることは前提ですが、「共働きの家庭だって増えたのに、育児や家事は女性の分担になったままだと感じます。母性信仰みたいなものがあって『お母さんは疲れない』とでも思われているんじゃないでしょうか」と話します。
「育児や家事について笑顔で話して助け合える家庭はすてきですよね。そんなきっかけに使ってもらえたらうれしいです」
【マンガ「夜廻り猫」】
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。
遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。姑獲鳥(こかくちょう)に襲われ、けがをしていたところを遠藤たちが助けました。
ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。
◇
深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。単行本1・2巻(講談社)に続き、11月22日には3巻が発売される。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受けた。黒猫のマリとともに暮らす。
3巻が発売される11月22日から12月5日まで、三越日本橋本店の本館7階はじまりのカフェで、「夜廻り猫のクリスマス」展が開かれます。入場料は無料です。
夜の公園で開かれる「野良猫たちのクリスマスパーティー」をイメージした展示になっているそう。原画の展示や、新作グッズ・コラボメニューの販売もあります。
11/22(水)~12/5(火)『 #夜廻り猫のクリスマス ~深谷かほる作品展~』の詳細情報が公開されました!三越での猫集会まであと少しです🐱https://t.co/LZohW7zyco
— 日本橋三越本店 MITSUKOSHI (@mitsukoshi_nh) 2017年11月6日
本館7階 #はじまりのカフェ #夜廻り猫 pic.twitter.com/1WnsJMGZLL
1/27枚