お金と仕事
自治体予算って何? 要は彼氏の「借金問題」 住んでる街の懐事情
彼に告白された。
「付き合おう」
言えなかった「はい…」。
社会人の先輩、私は大学生。
「彼ってどんな人?」
見え隠れする「借金」の影。
恋も選挙も情報戦。気になる相手の懐事情。じゃあ今、住んでいる街は? 払っている税金は?
顔の広い麻美子は、私よりもはるかに情報への感度が高い。インカレサークルに所属しているからか、就活の情報、OB・OGとのつながりの太さは圧倒的だ。
麻美子はマスコミ業界を希望していて、入学した当初から就活への意識が違っていた。
麻美子なら彼のことを詳しく知ってると思って研究室まで来たのに。この時間、いつもいるのにどうしたんだろう。
ガチャ
「あっ、麻美子! 会いたかったよー」
突然、抱きついた私に、麻美子は優しい。
「どうしたのー」
まるで、幼稚園生をなだめるような声を出して、一緒に演じてくれる。
「ねぇ、高松佳祐さんって知ってる?」
「知ってるも何も、サークルの先輩だから知ってるよ。どうした?」
「彼ってどんな人?」
「んー。優しいし、飲み会のさばき方もうまいし、人の悪口言ってるところ、聞いたことないし。いい会社に勤めてるし」
「超いいじゃん!」
「ただ、就活を一生懸命していた理由が、お金がどうのこうのって聞いた記憶が」
「え? 借金とかってこと?」
「だった気がする。それに、彼女も同じサークルじゃなかったっけ」
「……。実は、告白されたんだけど」
「絵梨香、そうだったの? 佳祐さんに直接聞いた方がいいよ。いい人だけど、私も今の状態じゃ応援できない」
「大学卒業後、返済が始まります」
佳祐に一通の封書が届いたのは大学4年の春。
佳祐の実家は地方で弁当店を営んでいるが、経営が順調とは言い難かった。佳祐が東京の私立大学を希望した時、親は経済的な事情で地元の大学に行くように説得した。
でも、どうしても東京で勉強したかった佳祐は、奨学金を借りて、働きながら返すことを親に約束。なんとか上京した。
「絶対に就職決めないと」
佳祐の就職にかける気持ちは入学した時から人一倍強かった。
大学で専攻していたメディアの授業も手を抜かず、1年生の時から、就活のイベントには顔を出した。
色んな大学の学生と仲良くなりたいし、社会に出ている先輩たちともつながりたかった。
なにより、就活へのモチベーションも高めたいと思って、メディアのインカレサークルにも入った。
卒業までに借りることになっている奨学金の総額は480万円。
「返せるかな。いや、返さないとな」
佳祐は、悩んだ末、憧れだった広告業界を第一志望にした。高校の修学旅行で渋谷に来た時、スクランブル交差点から見えたデジタルサイネージがやっぱり忘れられなかった。
大勢の人が、信号を待っている間、広告に目をやっていた。みんなが注目してくれるこんな仕事、やってみたいと純粋に思えた。
毎月10万円の奨学金、居酒屋のアルバイトで波はあるけどなんとか毎月13万円は確保している。
大学の授業と就活のイベントもあって忙しく、バイトは極力抑え目にしてきた。5万5千円の家賃と光熱費、食費は2万円。就活中はバイトはできないと思って、余った時は貯金に回した。
イベント参加費、サークル代を払うとトントンだ。
インターンシップも経験させてもらった。筆記も面接の対策も重ねてきた。
エントリーシートを書き直していると、スマホが鳴った。
「佳祐、就活で忙しいところごめん。話がある」
同じサークルで知り合って交際しているやよいからだった。
私たちは、自分の懐事情を気にしながら生活しています。
家賃、食費、水道・光熱費、被服費、娯楽費など、それぞれの「予算」配分があると思います。
収入に対して、オーバーな収支であれば抑えたり、逆に余裕があれば、貯蓄に回すという人もいると思います。
国や都道府県、市町村などにも予算があります。
東京都民一人当たりの予算を見てみましょう。これは、東京都が一般会計当初予算から置き換えたものです。
2017(平成29)年度、東京都では都民1人に対して50万9482円の予算を割り当てました。
また、少子高齢化対策などの「福祉と保健」については1997(平成9)年度は6万2292円、2007(平成19)年度は6万1705円とほぼ同じ予算額でしたが、17年度は8万8040円で大幅にアップしました。
中小企業振興などの「労働と経済」を見てみると、07年度は2万936円でしたが、17年度は3万5279円で20年前の1997年度の3万4647円と同額に戻りました。
1997年は、消費税率引き上げ、都銀の一角を占めていた北海道拓殖銀行や4大証券のひとつ山一證券が破綻するなどの影響で経済危機に陥る企業があり、内閣府は経済回顧の中で「中小企業では減益が見込まれるなど全体として伸びが低下している」と記しています。
その後、2002年初めから回復をみせた景気は、07年半ばまで順調に拡大しました。
17年には経済危機に陥った1997年とほぼ同じ額の予算が割り当てられており、労働・経済を重要視していることがわかります。
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