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中国超エリート校 清華大「水泳必修化」 運動許さぬ激烈な受験戦争
中国の有名大学が「水泳ができないと卒業できない」というルールを打ち出し、注目を集めています。なぜ、そんな「奇妙なルール」が生まれたのか。そこには、中国の苛烈過ぎる大学受験の実情が関係していました。
2017年3月、清華大学の「教職員大会」において、邱勇(チュウヨン)総長が「水泳ができないと清華大学を卒業できない」と発言したと報じられました。
清華大学は、その後の説明で、2017年度から、「水泳ができないと卒業証明書が得られない」ことを公式に認めました。
大学によると、新入生は入学してまず水泳の試験を受けます。50メートルをクリアできる人は、水泳ができる人と認定され、ほかの単位を取れば卒業はできます。
泳げない人と判定された人は、水泳の授業に参加しなければなりません。卒業までに50メートルをクリアできない人は、卒業証明書がもらえません。
清華大学は中国で屈指の名門校として知られています。
入学試験は難関で、日本で言えば東大・京大のレベルです。
一般的には理系と工学部が強いイメージで、技術系の人材が多く、国のリーダーになることが期待されています。
卒業生には、習近平国家主席をはじめ、胡錦濤国家主席、朱鎔基総理、呉邦国政治局員らがいます。
そんな名門大学、清華大の水泳必修化に対して、反対の声も出ています。
「スポーツ重視は分かるが、水泳ができないと卒業できないということは厳しすぎる」
「清華大に合格した学生は優秀なのに、水泳が習得できないだけで卒業証明書がもらえないのは、おかしい」
ネットなどでは、たくさんの批判的な意見が投稿されました。
大学側は批判に対して反論しています。
「バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形」など、泳ぎは、どれでも構わないそうです。
また、時間は関係なく、どれだけかかっても、50メートルの距離が泳げればOKにしています。
例外も設けています。医師から水泳に向いてないと診断された人、持病がある人は、水泳必修化が適用されません。
水泳必修化、実は清華大だけの話ではありません。
上海海事大学や、大連海事大学など「海運」「水産」と関連する大学では、水泳を必修科目としています。
清華大と同じく名門大学である北京大では水泳に1単位を与えています。水泳は学部生の必修科目で、200メートル泳げないと卒業できないと言われています。
中国青年報の報道によると、水泳と卒業が連動している大学は、全部で20カ所近くあるそうです。
清華大が水泳を必修にした理由は、二つあります。
一つは、清華大学は伝統的にスポーツを重要視していること。
1910年代、まだ体育という授業がなかった時代、学生たちに運動をさせるため、午後4時以降、寮や図書館、自習室、食堂などがすべて閉まったそうです。
また、教職員がキャンパスの木陰で勉学する学生を探し出し、スポーツをさせたというエピソードも残されています。
その後、スポーツの授業が増え、清華大の教育方針には「育人至上,体魄与人格并重」(人間性が第一で、健康と人格を同等に重視する」が含まれるようになりました。
清華大が水泳必修化をした二つ目の理由は、中国の苛烈な受験勉強です。
大学受験は一発勝負で、そこでの結果が人生を左右します。
そのため、スポーツをするより受験勉強が重視され、大学生の運動不足や肥満が問題視されています。
最近では「ダイエットに奨学金を付与」というニュースが話題になりました。
重慶大学では、「燃焼せよ!脂肪!」というキャンペーンを開催し、ダイエットに成功した学生に減量したキロ数に応じて奨学金を与えています。1キロあたり、最高で90元(約1350円)の奨励金になるそうです。
奨励金と別に、減量できたトップ5人に、2000元(約3万円)、1500(約2万2千円)、1000(約1万5000円)、800(約12000円)、500元(約7500円)の奨学金を与えます。2017年、応募した人は1000人近くなり、成功した人は328名。ダイエットできた総キロ数は、なんと1320キロにのぼったそうです。
大学生の健康問題と体力問題は、清華大以外の大学も抱えています。名門大学である清華大学が水泳を必修科目にしたことで、ほかの大学にも広がるかどうか、注目されています。
そして、意外な効果も生まれています。
清華大を目指す中国全国各地の受験生たちが、水泳の練習をし始め、水泳教室が人気になっているそうです。
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