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樹木希林「窮屈な常識はいらない」 百貨店広告、若い世代なぜ共感?
ある百貨店が今年8月に発表した広告が、再び注目を集めています。
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ある百貨店が今年8月に発表した広告が、再び注目を集めています。
ある百貨店が今年8月に発表した広告が、再び注目を集めています。俳優の樹木希林さんを起用した、50代以上の大人の女性に向けたメッセージですが、若い世代からも共感する声が上がっています。最近、女性向けの広告といえば「炎上」するケースが目立ちますが、なぜこの広告は受け入られているのか? 話を聞きました。
カラフルな衣装に身を包み、足を組んで座る樹木希林さんの写真。そこに、こんなメッセージが添えられています。
この広告は、株式会社そごう・西武が今年8月に発表した「アドバンストモード」のものです。
ニューヨークで見かけたおしゃれな60歳以上の女性を中心にスナップした米国の人気ブログ「アドバンスト・スタイル」の写真展が、そごう・西武で開かれたことをきっかけに始まったプロジェクトです。
原色や柄を多用した洋服や、大型のアクセサリーなどを提案し、「年齢や役割、同質化といった圧力から解放し、いくつになっても自分らしく生き、自分らしく装う大人の女性を応援する」がコンセプトです。
先月27日、この広告に関して「百貨店に求めるのはこの流れ」というつぶやきがツイッターに投稿されると、「これは本当にカッコいい」「この広告の提案を理解できる人が増えたらうれしいな」と共感する声が多く上がっています。
化粧品やファッション関係の広告が「女性差別だ」との批判を受けて中止になるなど、女性をターゲットにした広告はネット上で「炎上」して話題になるケースが目立ちます。そんななか、今回の広告は好意的に受け止められているようです。
ツイッター上では「男性目線で女性を諭す気持ちの悪い広告が溢れている中で、このCMムービーは美しい」といった意見も出ています。
どういった狙いでこの企画は始まったのか? そごう・西武の広報担当者に話を聞きました。
――企画した経緯を教えて下さい
「百貨店にとって大人世代の方々は、売り上げの大きな割合を占める重要なお客様です。しかしながら、店頭での打ち出しは30~40代向けに偏りがちであり、おしゃれ上級者でもある大人世代のニーズに応えきれていないことが課題でもありました。ここを是正することで、衣料品の品そろえを強化していく狙いもあります」
――ターゲット層は
「大人の女性を想定しています。一口に年齢で区切れるものではないですが、とりわけ考えているのが50代よりも上の世代の方々。人生経験を積んで内面的な深みと包容力、知性を備えた魅力的な女性の方々です」
――企画で訴えたかったことは
「おおげさなようですが、『ファッションを通じた、大人の女性の解放運動』です。年を重ねると、年齢、役割、同質化圧力といったものの制約を受けて、好きな装いから遠ざかってしまう方が多いと思います。ご自身を解放して自分らしく装い、生きていただきたい。そんなメッセージを込めました」
――工夫した点や苦労した点は
「まずは『女性の解放運動』というキーワードが念頭にありました。大人女性の方ならどなたでも『わかる!』と思っていただけるよう、メッセージの中でわかりやすく身近な事例を提示できるように工夫しました」
――なぜ、樹木希林さんを起用したのでしょうか
「ご存じのとおり日本を代表する女優さんでいらっしゃいますが、年齢に捉われず、ご自分らしい活動をされているという点で、樹木さんご自身が『アドバンストモード』を体現されていると思います。今回こうした形でご一緒させていただき、その活動を広めていただくのに、ピッタリだと感じています」
――企画に対する反応は
「大人世代のみならず、若い方からもプロモーションのコンセプトに対する支持の声を多数いただきました。華やかな色・柄を前面に打ち出した商品群についても、新鮮味があるということで、幅広い年代の方から好評を得ています」
――発表から少し時間を空けてツイッターで話題になったことについては
「当初から、このプロモーションを『運動化』したいという目標がありました。みなさまの間に一過性のものではなく、運動として浸透していっているのではあれば、大変ありがたく、うれしく思います」
――興味・関心があるという人に向けてメッセージを
「そごう・西武は『年齢を重ねるのは素敵なこと』という見地に立ち、その魅力を引きだす装いを提案していきます。ぜひ足を運んでください」
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