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被害ない鳥取砂丘、観光客が激減 知事「鳥取県中部地震」と呼んで

水木しげるロードへの影響も出ています。

「『鳥取中部地震』と呼んで」と呼びかけている鳥取県の平井伸治知事(右)
「『鳥取中部地震』と呼んで」と呼びかけている鳥取県の平井伸治知事(右) 出典: 朝日新聞社

目次

 鳥取県中部を襲った震度6弱の地震から1週間が経ちました。鳥取県の中でも、震源からは遠い鳥取砂丘や水木しげるロードへの被害はほとんどありませんでしたが、観光客が減少しています。鳥取県の平井伸治知事は、メディアで「鳥取地震」と呼ばれたために、県全体が大きな被害を受けたように誤解されたとして、「『鳥取県中部地震』と呼んで」と呼びかけています。

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大きな被害があったのは鳥取県中部

地震の被害が大きかったのは、鳥取県中部
地震の被害が大きかったのは、鳥取県中部 出典: 朝日新聞社

 21日午後2時ごろに発生した地震で被害を受けたのは、いずれも鳥取県中部にある倉吉市、三朝町、北栄町など。県が28日に発表した集計によると、県中部の5市町村で地震の被害に遭った住宅は5705棟でした。全壊したのは、北栄町の2棟で、半壊は北栄町の3棟、それ以外は「一部破損」という状況でした。県中部以外では、県東部の鳥取市で一部破損が6棟、同じ県東部の岩美町で1棟ありましたが、それ以外の住宅への被害はありません。

 今回の地震では幸いにも死者はいませんでした。けがをしたのは19人で、そのうち県中部に住んでいたのは16人。中部以外に限ると、震度3から震度5強と大きな地震だったため、21日は混乱しましたが、翌日には平穏を取り戻しましたといいます。ただ、県中部では今でも、高齢者を中心に約350人が避難している現状があります。

被害がなかった鳥取砂丘は観光客減、水木ロードも…

砂像に被害はなかったけど…
砂像に被害はなかったけど… 出典: 朝日新聞社

 県中部以外は大きな被害がなかったものの、観光客が減少しています。県のまとめによると、26日時点で県内の旅館・ホテルのキャンセル数は9476人。そのうち半分は県中部以外の地域でした。

 県東部の鳥取市にある鳥取砂丘も例外ではありません。世界から集まった砂像彫刻家が創る砂像の展示施設・砂の美術館の関係者は「21日の大きな地震で、砂像への被害はありませんでした」と話します。しかし、地震後の土日の2日間の来場者は約2500人で、昨年と比べて来場者が半分に。「11月からはズワイガニの時期で観光客のかきいれどき。この傾向が続くと心配ですね」と心配していました。

 また県西部の境港市にある水木しげるロードへの観光客も減っていました。地震のあった21日からの6日間で入り込み客は前年比で4割減の約2万2千人。境港市観光協会の桝田知身会長(75)は「観光への打撃は大きい」と声をしぼませます。「鳥取地震と呼ばれるが、一番ひどいのは鳥取県の中部。21日はこっちもドーンと来たけど、それ以降は体に感じる余震はほとんどない。1週間以内は大きな地震があるかもしれないと言われてたから、お客さんがこないのはしょうがない部分もある。だけど、こういったイメージがいつごろ回復するのか心配です」ともやもやを募らせていました。

来県を全国にPR

 地震発生から1週間、観光客が減少している現状を改善しようと、鳥取県は動き出しました。平井知事は27日、東京を訪れて安倍晋三首相と会談。「大変な風評被害」と訴え、鳥取への割引旅行プラン助成制度などを要望しました。その後は、東京・新橋にある鳥取県のアンテナショップに移動し、鳥取県の観光関係者と全国にPRしました。そして、境港市出身で県のふるさと大使の上田まりえさんらと「鳥取でまっとります!」と声を上げました。

イベントでは、平井知事らが県産の梨を食べて、来県をアピール
イベントでは、平井知事らが県産の梨を食べて、来県をアピール 出典: 朝日新聞社

 平井知事はPRイベントの終了後、気象庁が地震から1週間で余震も収まってくると予想しており、その時期を狙ったPRだったと説明。すばやい震災対応をしてきたことを強調した上で、観光の打撃について、以下のように訴えました。

 鳥取県のごく中部の限られた町でしか余震は感じなくなっています。メディアで最初、鳥取地震という流れ方をして、全県、砂丘だとか境港だとかも含めて、泊まられる客の大量キャンセルが出ている。誤解もあると思うんです。ぜひお越しいただきたいと思います。震源に近い温泉のお宿の方も来ていますが、普通にしていただくのになにも問題ありません。むしろ、いい温泉も湧いているし、これからは美味しい食べ物としてカニもでてくる。
 
 いまは観光の大変な状況にあって、11、12月もキャンセルがあると聞いています。来ていただけることが元気になる。多くのみなさんは優しいから遠慮していると思うのだが、みなさんの笑顔にお会いしたいと思います。

 平穏を取り戻しつつありますが、どうしても治らないのが観光被害のところ。私たちではどうしようもない。泊まりに来てくれる人が全国から来て初めて、風評被害がなくなります。みなさんにお力をお借りしたい。

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