話題
JR芸備線「赤字ローカル線」16駅に降りたら…利用者減の現状でも
話題
地域の「足」となってきたローカル鉄道が廃線の危機を迎えています。JRは赤字を解消しようとしますが、地元には廃線への不安が広がります。「赤字ローカル線」のひとつ、JR芸備線に乗車し、全16駅に降りて利用客に話を聞いてみました。(朝日新聞記者・相川智)
列車は1日数本しかない――。家の近くを走るそんな鉄道が、廃線になるかもしれません。もしあなたが沿線に住んでいたら、どう思いますか?
赤字ローカル線のJR芸備線。広島駅を出て岡山県の内陸部に至る鉄道の利用実態を、自分の目で見てみたいと6日間かけてルポしました。
国は一昨年、この路線の備後庄原駅(広島県庄原市)―備中神代駅(岡山県新見市)間について、あり方を議論する再構築協議会を全国で初めて設置しました。
廃線も視野に入れた議論に、地元自治体は「住民の貴重な足」と存続を訴えています。
冒頭の問いですが、横浜市で生まれ育った記者(23)には想像がつきませんでした。
ならば、当事者である利用客や地元住民に話を聞くしかありません。何とか見つけた2カ所の旅館を拠点に、この区間の全16駅に降りました。
足を運ばなければ、わからないことばかりでした。
1両編成の列車に乗客が記者1人だけというのは珍しくありません。駅に降りても人の姿が見えず、誰も来ない駅で、何時間も列車を待つこともありました。
ある男性客は「途中駅で乗り換えようにも、接続が悪くて5分差で最終に乗り継げない」と言いました。
地元の高齢女性は「駅には階段しかなく、きつくて使えない」と嘆きました。利用客が減った理由は、運行本数の少なさだけではありませんでした。
一方で、その駅を中心に集落があり、そこで生活を営んでいる人々がいました。
免許を返納した高齢者、沿線の高校に通う生徒――。そんな人たちが、芸備線を生活の足として頼りにしていました。
待合室を絵で飾ったり、トイレ掃除や草刈りをしたりして駅を守る住民たちもおり、駅とともに、町のコミュニティーを支えてきた駅前商店もありました。
時には食事をごちそうになり、食卓を囲みながら話を聞きました。
見ず知らずの若い記者に語ってくれた、地元の人々のありったけの思いが、議論に盛り込まれるよう願っています。