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ギョーザ戦争の勝者 納豆県の没落 ご当地を揺るがす「ある統計」

毎年1月下旬、各地の自治体・町おこしの団体の関係者はパソコン画面を見つめながら「ある統計資料」のネット発表を待ちます。そのわけとは…

パソコンの前で歓喜に沸く浜松市職員
パソコンの前で歓喜に沸く浜松市職員 出典: 浜松市提供

目次

 毎年1月下旬、各地の自治体・町おこしの団体の関係者はパソコン画面を見つめながら「ある統計資料」のネット発表を待ちます。総務省の前年12月分の「家計調査」。毎月発表されるこの統計資料が通年分そろう瞬間で、地元ゆかりの品の年間消費の多さをめぐって「勝った」「負けた」と一喜一憂するのです。今年はどんなドラマがあったのでしょうか。

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家計調査って?

 「○○の年間購入額は××県が1位」といったニュースを見たことがあるかもしれません。この判定基準となっている調査こそ、総務省が実施している「家計調査」。都道府県庁所在市・政令指定市の約9千世帯に毎月、家計簿の記入をしてもらう調査で、約600品目の個人消費の動向が分かります。ただ、全国ランキングの公表は年1回だけ。いち早く自らの市の順位を知ろうと、毎月、データを足し合わせている市が多いのです。そんな手計算のランキングが完成するのが1月下旬のことなのです。

歓喜に沸く浜松市職員
歓喜に沸く浜松市職員 出典: 浜松市提供

 「ばんざーい!」。15年12月分の家計調査が発表された1月29日午前8時半すぎ、パソコンの前で歓喜に沸いたのは浜松市職員たち。注目したのは、ギョーザの年間購入額の数値。毎年のように宇都宮市と繰り広げる「ギョーザ戦争」は有名です。この日は浜松市が4646円の1位、宇都宮市は3981円の2位に。浜松は連続で首位となりました。

浜松市のギョーザ。円形に焼くことが多い
浜松市のギョーザ。円形に焼くことが多い 出典: 朝日新聞

 市の担当者は「浜松市民のギョーザ好きが改めて分かった。ご当地グルメとしてやっていけるチャンスだ」と鼻高々でした。

鳥取市でコーヒー旋風

 同じく喜びの声が上がったのは鳥取市。コーヒー購入額がまさかの1位に。昨年「スターバックス」が都道府県で最後に出店して話題になった同市では、コーヒー文化を盛り上げようと「鳥取珈琲文化振興会」を結成しました。

開店から1時間後でも行列が途切れることがなかった、鳥取のスタバ1号店オープン日
開店から1時間後でも行列が途切れることがなかった、鳥取のスタバ1号店オープン日 出典: 朝日新聞

 14年の家計調査ではコーヒー購入額は全国29位。「今年は高くなるんじゃないか」と振興会の東田慶・事務局長が昨年11月ごろに、それまでの家計調査を足し合わせてみたところ、何と1位でした。そしてそのままゴールイン。「驚きましたよ。やっぱりスタバが進出したこともあって、コーヒーに注目が集まり、家でも飲もうと思った人が増えたのでは」と分析しています。

落胆の水戸

 一方で落胆の色が隠せないのは茨城県です。水戸市の名産と言えば「水戸納豆」。にもかかわらず、購入額は14年の2位から5位に大きく転落。茨城県統計課の担当者は「個人的にはとても残念です」と話していました。ただもう一つ重点的にウォッチしているメロンについては、今年も首位をキープしました。

納豆の消費低迷に歯止めをかけようと、水戸納豆早食い大会が開かれたが…
納豆の消費低迷に歯止めをかけようと、水戸納豆早食い大会が開かれたが… 出典: 朝日新聞

 総務省統計局による2015年の公式な全国ランキングは、今月中旬にも発表される予定です。

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