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愛ちゃんの台湾会見 自己紹介で使った「言語」に見る“心遣い”
9月21日、東京で結婚を発表した卓球の福原愛選手。翌22日には、夫の江宏傑選手の出身地、台湾の台北にある大倉久和ホテルでも記者会見を開きました。「台湾のほぼすべてのメディア」と言われるほどの報道陣が殺到した会見に、福原選手は完璧な中国語で対応。標準の「北京語」に加え、発音が異なる「台湾弁(台湾訛りの中国語)」まで披露。現地のファンを意識した「高度な心遣い」を見せました。
台湾では、2人の名前から一つずつ名前を取り「傑愛婚」と呼ばれています。江宏傑選手は台湾で「卓球王子」の名前を持つ人気選手。愛ちゃんも「日本の卓球天后」(卓球女王)と呼ばれており、2人とも高い人気を誇っています。
台北の大倉久和ホテルで行われた記者会見には、メディアが殺到しました。地元メディアは、今回の「傑愛婚」の記者会見には「ほぼすべての台湾メディア」が参加したと報じました。ホテルの前には中継車が並ぶ加熱ぶりでした。
会見の開始は現地時間午後2時半(日本時間午後3時半)からでしたが、午前10時くらいから場所取りに来たテレビ局もあったと伝えられるなど、かなりの過熱ぶりだったようです。
愛ちゃんは長年、中国の東北部でトレーニングをしてきたため、中国語の標準語である「北京語」、特に中国語の東北弁が堪能なことで有名です。
台湾での記者会見でも、愛ちゃんは通訳を使わず受け答えをしました。
会見の冒頭、江宏傑さんは愛ちゃんを次のように紹介しました。
「私は台湾で正式に宣言します。こちらは私の奥さんの福原愛さんです。」
そして、愛ちゃんは「北京語」でも「東北弁」でもなく「台湾語」(閩南語)で「みなさん、こんにちは。福原愛です」と挨拶しました。
ここで、台湾で使われる言葉について説明します。
台湾では「標準語」である「台湾訛りの中国語」のほか、国民党が大陸から台湾に来る前に現地で使われていた「台語」(台湾語)、客家人の間で使われていた「客家語」、さらに原住民の言語など、多くの言語が使われています。
「台湾訛りの中国語」は大陸の標準語に似ていますが、独特のイントネーションなどがあります。英語で例えると、「北京語」が「British English」で、「台湾訛りの中国語」は「American English」にあたります。
そして、愛ちゃんが会見で使った「台湾語」のルーツは福建省方言の「閩南語」です。「北京語」や「台湾訛りの中国語」とも発音が大きく異なり、大陸の中国人でも福建省閩南地域以外の人は、「台湾語」を話せる人がほとんどいません。日本語に例えるなら、標準語と沖縄の方言くらいの違いがあります。
北京語に堪能な愛ちゃんが、あえて「台湾語」を使ったことは、台湾のファンを意識した対応だったと言えます。
その後の会見のほとんどを北京語で応答した愛ちゃんでしたが、時折、「台湾訛りの中国語」(例えば「パパママ」の標準語の中国語はbabamama(四声と一声)ですが、「三声」の台湾語を使うなど)も披露。現地のファンを喜ばせました。
2人の結婚に対し、台湾ではフェイスブックなどで多くのコメントが投稿されました。
世界ランキング9位の愛ちゃんとの「収入格差」(江選手は79位)などを心配する声もありましたが、多くは「おめでとうございます。末永くお幸せに!」など祝福のコメントが目立ちました。
「俊男美女、よいカップルだ」
「日台・台日友好のために…」
「東京オリンピックで金メダルを目指して頑張ってね」
また、2人の新居が台南になると聞いた地元住民からは、さっそく「大歓迎」のメッセージが送られているそうです。
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