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2016年05月04日

芸人、悩ましき「変装事情」 髭男爵マスク姿に「“一発屋”風情が!」

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ロケ中にマスクをする髭男爵の山田さん

ロケ中にマスクをする髭男爵の山田さん

出典: サンミュージック提供

 “一発屋”髭男爵の山田ルイ53世さんの心を乱すもの、それは「マスク」です。駅でマスク姿が見つかると「“一発屋”が変装する必要などない!」という容赦ない突っ込みが襲います。でもよく考えると売れている芸能人は車移動、“一発屋”だからこそ「マスク」が必要なのに……。“一発屋”が吐露する悩ましき芸能人の変装事情とは?

「とにかく一年中、“変装”をしている」

“変装”をする。
仕事の行き帰り、家族との外出、ちょっと近所のコンビニまで。
とにかく一年中、常に“変装”をしている。

「あっ・・・あれ芸能人の○○だ!」
人々が芸能人や有名人を発見する、その刹那。
頭の中で行われるのは、“神経衰弱”、あるいは、“百人一首”。
上の句を記憶、視覚を下の句に。
各々が抱く芸能人のイメージと、視線の先にいる“らしき人物”の特徴、その照合作業。

真田丸のコスプレをする髭男爵の山田さん

真田丸のコスプレをする髭男爵の山田さん

出典: サンミュージック提供

「ちなみに僕は花粉症ではない」

変装をたしなむ人間にとって、春は嬉しいシーズンである。
鼻水、目の痒み、頭がボ―っとして集中できない・・・御存じ、“花粉症”。
街は、マスク姿の人々で溢れかえる。

“場”に伏せられたカードの枚数は、一年を通して最大、ゲームの難易度は最高レベル。
「今年は、花粉が多い」
毎年悩まされている方々には、申し訳ないが、そんなニュースを耳にすると、むしろ心が弾む。
・・・ちなみに僕は花粉症ではない。

マスクが欠かせない髭男爵の山田さんだが花粉症ではない

マスクが欠かせない髭男爵の山田さんだが花粉症ではない

「もしかして先輩?業界人?」

一つ、困ったことがあるとすれば、それは、“お洒落過ぎる”一般の方々の存在。
彼らが、マスクをすると、“芸能人顔負け”に、変装した芸能人に見える。
「もしかして先輩?業界人?」
駅や空港で、“芸能人風一般人”に、何度頭を下げたか分からない。
ただの勘違いなので、当然、気まずい空気となる。

そう・・・“変装”といっても、“マスク”で口元を隠すだけ。
いたって、ささやか。
週刊誌の巻頭を賑わしている写真のような、“ザ・芸能人”のそれでは決してない。
過剰な“変装”は“仮装”、つまり“コスプレ”であり、かえって人目を引いてしまう。

実はサインが苦手な髭男爵の山田さん

実はサインが苦手な髭男爵の山田さん

出典: サンミュージック提供

「傍から見れば、誘拐犯」

先日、仕事で一緒になった、とある“売れっ子”。
お互い、娘を持つ父親ということもあり、子育てトークに花が咲く。
聞けば、休日は必ず、お子さんと出かけるそうな。
実に、いいパパ。

問題は、その変装のコーディネイトである。
目深にかぶった帽子、サングラス、そしてお決まりの“マスク”。
そのいでたちで、遊園地に・・・まだ小さな娘と、手をつないで。
傍から見れば、誘拐犯。
通報されかねない。
何事も、大切なのは塩梅なのである。

やり過ぎると誘拐犯に… ※写真はイメージです

やり過ぎると誘拐犯に… ※写真はイメージです

面積比は「ひ○だんしゃく」くらい

とはいえ、小さな布切れ一枚。
少し心許ないのでは・・・実際、僕の“髭”は、かなりのはみ出し具合。
僕を特定する際の、視線の集合場所、”ランドマーク“でもあるのだが、
隠しおおせている割合、その面積は広くはない。
「○○だんしゃく」・・・いや、「ひ○だんしゃく」くらいか。

以前よく見かけた、簡単過ぎる伏せ字の懸賞クイズ。
「○に入る文字を書いて、ハガキを送ろう!」
誰でも分かりそう。

一肌脱ぐとプロレスラーのコスプレに

一肌脱ぐとプロレスラーのコスプレに

出典: サンミュージック提供

「お前ごときで、誰も騒いだりしないわ!!」

しかし、“クイズ”と“変装”では事情も異なる。
気付かれることはまずない。

「さっき駅で、ルネッサンスの太ってる方が切符買ってた!マスクとかして芸能人ぶってたww」
「今日、乾杯のヤツいた!マスクで変装、芸能人気取りか!感じ悪かったーー!!」
・・・目ざとい、“極一部の方々”。
どうも、僕の変装が、彼らを刺激してしまうようで、厄介である。
マスクなど、猫よけのペットボトルほどの役にも立たない。

その心中を要約するなら、
「“一発屋”風情が、変装する必要などない!」
「お前ごときで、誰も騒いだりしないわ!!」
そんなところか。
おっしゃる通り。
確かに、誰も騒いだりなどしていない・・・“あなた方”以外は。

グラス越しに見るひぐち君

グラス越しに見るひぐち君

出典: サンミュージック提供

わざわざ「感じ悪かったーー!!」

ほとんどの人々が気付かなかった、あるいは気付いてもスル―出来た、僕の存在。
マスクで隠した顔は、常に俯き加減。
気配を消し、誰よりも常識的に振る舞い、その他大勢に同化している。
そんな人間を、都会の雑踏の中から、見つけ出す・・・簡単なことではない。

しかも、それだけでは飽き足らず、
「感じ悪かったーー!!」
あたかも、僕の“変装”、その矛先が自分だとでも言わんばかりに憤り、怒り、前述のごとく、SNSで発信。
手間暇かけて、わざわざ。
要するに、つくづく“ミーハー”、かつ“自意識過剰”な人々なのである。

タレントを見つけると無邪気にSNSに投稿してしまう人たち、芸能人にとっては悩ましい存在… ※写真はイメージです

タレントを見つけると無邪気にSNSに投稿してしまう人たち、芸能人にとっては悩ましい存在… ※写真はイメージです

出典:pixta

一人で“勝手に”テンションをあげる・・・

何万人ものファンで埋め尽くされたコンサート会場で、
「あー!今、○○君、あたしの方見てくれたーー!キャーー―!!」
と、一人で“勝手に”テンションをあげる。
・・・やっていることは、これと全く同じ。
本質的に何も変わらないのである。

きっと彼らは、
アスリートの活躍を目にしては、
「元気をもらえた!」
などと“勝手に”言い出し、
テレビ番組を観るにつけ、
「子供のしつけに悪い!やめさせろ!」
と“勝手に”苛立ち、子供じみたクレームを入れるその背中を我が子に見せる。

「私って、晴れ女なんですよー!」
勿論、人間一人に天候を左右する力などない。
聞いてもないのに言い放ち、周囲の人間の表情を曇らせる。
僕の経験上、自意識、自尊心、その“基礎代謝”が異常に高い人々が存在する。
芸能人、有名人のそれなど、足元にも及ばぬ。

“一回売れた”がゆえの知名度

「“売れっ子”の方が、“変装”する必要がある」というのが、そもそもの誤解である。
彼らの移動は、そのほとんどが車。
基本的に、“ドア・トゥー・ドア”・・・誰の目に触れることもない。
一方、“我々くらいの芸能人”は、公共の交通機関を利用する機会が多い。
経済的な理由ではあるが。
お恥ずかしい。

とにかく、バスや電車を乗り継いで、やっとこさ現場に辿り着く。
その間、晒されることになる人目は膨大。
にもかかわらず、“一回売れた”がゆえの知名度。
気付かれる度に、サイン、写真で足止めをくらうのなど、序の口。
面倒が多いのも、御理解いただけると思う。

着物姿の髭男爵の山田さん

着物姿の髭男爵の山田さん

出典: サンミュージック提供

新幹線で「カシャッ・・・カシャッ・・・」

地下鉄の車中。
部活帰りか、高校生の群れ。
ほどなく、僕の正体に気付いた彼らは、何やら小声で会議を始める。
そら耳だと信じたい、漏れ聞こえてきたその議題は、
「誰が僕(髭男爵)に、ガムをつけるか」
堪らず、目的地の手前で電車を降り、被害を免れる。

地方営業帰りの新幹線。
疲れて寝ていると、
「カシャッ・・・カシャッ・・・」
シャッター音で、目が覚める。
あたりを伺うと、前の席の背もたれの陰に、慌てて引っ込んでいく頭が二つ。
同時に、カップルらしき男女の、吹き出すような笑い声。
背もたれから身を乗り出し、僕の寝顔を盗撮・・・そんな“肝試し”に興じていたようだ。

タレントだからといって盗撮は… ※写真はイメージです

タレントだからといって盗撮は… ※写真はイメージです

出典:https://pixta.jp/

“生ぬるい悪意”に見守られ

そもそも、気付かれるだけでも、精神的にキツイ。
「あれ・・・ルネッサンスじゃない?」
「そうそう、カンパーイの!」
「最近見ないよねー!」
「そういえば、この前“ちゅうえい”がさー・・・」

色々、間違っているし、あげくの果てに、僕の話題ですらなくなる。
そこに出現するのは、血肉を伴った、生のSNS。
電車は密閉空間・・・逃げ場はない。
“生ぬるい悪意”に見守られながらの移動は、ミストサウナさながら。
汗をかく・・・冷や汗だが。
変装の一つや二つ、そりゃあするというものである。

断じて“気取り”ではない・・・僕は、歴とした芸能人である。
そこら辺を、是非とも御理解いただきたいのである。
変装する事情も必要性も、十分にあるのだ。
・・・そう思っていた。

髭男爵の山田さんの体重計。移動中には苦労が絶えない

髭男爵の山田さんの体重計。移動中には苦労が絶えない

出典: サンミュージック提供

「体調悪いんですか?」「ええ、ちょっと」

「体調悪いんですか?」
その日僕は、番組スタッフと待ち合わせをしていた。
新幹線の品川駅、その改札前。
ロケで地方に向かうためである。
前述の発言は、遅れてやって来たディレクター、その第一声である。
確かに・・・僕はマスクをしていた。
勿論、“変装”のためである。

三代目 J Soul Brothersのメンバー。
彼らがマスクをしていたら、
「体調悪いんですか?」
と聞くだろうか。

西麻布の隠れ家的な店から、いい雰囲気で出てきた芸能人カップル。
彼らのマスクを見て、
「体調悪いのかな?」
と思うだろうか。

いずれにせよ、少し咳こみ、
「ええ、ちょっと」
そう答えるのが、精一杯の僕なのである。

     ◇
 やまだ・るい53せい 本名・山田順三。兵庫県出身。相方のひぐち君と結成したお笑いコンビ「髭男爵」でブレーク。ワイングラスを掲げ「ルネッサ~ンス!」という持ちギャグで知られる。2015年8月、真の一発屋芸人を決定する「第1回 一発屋オールスターズ選抜総選挙 2015」で最多得票を集め、初代王者に選ばれた。自身の経験をまとめた『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)を出版。ラジオ番組「髭男爵山田ルイ53世のルネッサンスラジオ」(文化放送)などに出演中。

一発屋芸人、今も地道に活躍中 HG・テツトモ・ダンディ…
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