感動
祖母の手作り弁当をトイレに捨てる孫…葛藤描いた無料漫画の結末に涙
無料WEB漫画サイトに公開されている作品が、ネット上を中心に「涙が止まらない」「書籍化してほしい」と話題になっています。
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無料WEB漫画サイトに公開されている作品が、ネット上を中心に「涙が止まらない」「書籍化してほしい」と話題になっています。
無料WEB漫画サイトに公開されている「良い祖母と孫の話」。先日、第4話が公開されて完結したこの作品が、ネット上を中心に「涙が止まらない」「書籍化してほしい」と話題になっています。第1話で、祖母の手作り弁当を毎日トイレに捨てる孫が描かれ、連載中は「胸くそ悪い」といった声も上がっていましたが、最終話では多くの人が涙を流したようです。この作品に込めた思いについて、作者に話を聞きました。
「良い祖母と孫の話」は無料WEB漫画サイト「電脳MAVO」に掲載されている漫画です。作者は、企業で働きながら漫画を描いている加藤片(かた)さん(25)。
この作品は、大学生だった加藤さんが2011年に描いたオリジナル版をもとにリメイクしたものです。オリジナル版は漫画賞に投稿したものの落選。その後、ネットで公開したところ、多くの反響が寄せられ、電脳MAVOの編集長からリメイクの依頼を受けました。
2014年に電脳MAVOで第1話が公開されましたが、ストーリーを見直すために一時ペンディング。再度練り直した後、仕事の合間に続きを発表し、先日の第4話で完結しました。
ストーリーは、主人公の高校生「しょう子」と祖母の関係を中心に描かれています。同居することになった祖母が毎日お弁当を持たせてくれますが、しょう子はそれをトイレの便器に流し、学校で菓子パンを買って食べています。
祖母には「おいしかったよ」と伝えていましたが、ある日、入れ忘れた箸を学校に届けにきた祖母に、菓子パンを食べているところを見つかります。祖母は、気づかなかったふりをして接しますが、次第に二人をとりまく環境や心情が変化していきます。
「でも私だってずっと我慢してきた…!」
「これは良い祖母と孫であるために必要な厳しさなのだ」
「私どこで失敗した? 何がいけなかった? 許して もう好き嫌いしないから」
感情をぶつけるのが下手で、表面上は取り繕いながら生きているしょう子。その内面を描きながら、正反対のように見えた祖母と自分が重なったり、学校での変化があったり。そして、ラストシーンでお互いの感情が交差します。
読み終えた読者からは「完璧なラストに衝撃を受けた」「吐き気をこらえながら読んだけど、最終的に声出して泣いた」「読んで泣いていたら子どもも寄ってきて一緒に泣いてくれた」といった声が上がっています。
しょう子の心の内に自らを重ねた人や、祖母との関係性に自らの過去を重ねた人が多かったようです。
この作品に込めた思いについて、作者の加藤さんに話を聞きました。
――第1話のお弁当をトイレに捨てるシーンがとても衝撃的です
「お弁当が親子げんかの原因になることはよくありますが、それを作ってくれる相手に対して、強く出られない状況だったらどうなるだろう?ということを考えました。祖母にとって、お弁当を作ることは孫に対してできる数少ない思いやりであるのに対して、孫から見ればありがた迷惑でしかない、というすれ違いを表しています」
――孫を主人公にして、祖母との関わり合いをテーマにした理由を教えて下さい
「親子関係よりも他人行儀であるところや、支配関係のパワーバランスが変化しやすいところから生まれる『ほころび』を描こうと思いました」
――3話目までの段階で「胸くそ悪い」といったコメントをしていた人もいましたが、ラストの展開で涙した人が多かったようです
「最終話の展開は、かなり以前から決めていました。しかし1話で救いようのないところまで落としてしまったので、そこから持ち上げるのに苦労しました。描いていて辛いことも多かったですが、主人公を成長させるために必要なことだったので描きました」
――加藤さんが最も気に入っているシーンとセリフを教えて下さい
「4話の27ページです」(祖母がしょう子の頭をなでて、つぶやく場面)
――この物語に加藤さんご自身の経験は反映されているのですか
「大学生の頃に単位取得のために介護施設へボランティアに行ったことがあり、そこで見聞きしたことや、出会った人のことを思い出しながら描いている部分もあります」
――読者に向けてメッセージを
「読者の方の反応で気づかされることがとても多く、たいへん励みになっています。これからについては、どこか欠けたところのある人間が、他人から見れば些細(ささい)で平凡なことでも、何か成長を遂げるところを描いていきたいと思っています」
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