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え?何これ パンやミカンで驚きの世界 ミニチュアのインスタ写真家
約1.5センチのジオラマ用人形と食べ物や文房具などをそのまま使って、ユニークなミニチュア写真を投稿しているインスタグラムが人気です。
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約1.5センチのジオラマ用人形と食べ物や文房具などをそのまま使って、ユニークなミニチュア写真を投稿しているインスタグラムが人気です。
「パンの新幹線」「みかんの宇宙船」「ポップコーンで泡風呂」……。約1.5センチのジオラマ用人形と食べ物や文房具などの身近な素材をそのまま使って、ユニークなミニチュア写真を投稿しているインスタグラムが人気です。日めくりカレンダーのように更新していることから付いた名が「ミニチュアカレンダー」。2011年4月から1日も休むことなく続け、フォロワー数は46万人。作品の高いクオリティーとクスッと笑える世界観から、国内だけではなく海外からも多くの反響が毎日あります。
. 2.5 fri "Alien" . 未完の宇宙船 . #ミカンせいじん #このあとおいしくいただきました #Orange #Spacecraft .
Tatsuya Tanakaさん(@tanaka_tatsuya)が投稿した写真 -
Tatsuya Tanakaさん(@tanaka_tatsuya)が投稿した写真 -
Tatsuya Tanakaさん(@tanaka_tatsuya)が投稿した写真 -
写真を投稿しているのは鹿児島市に住むミニチュア写真家の田中達也さん(34)。企業の広報誌などを手がける市内の制作会社でアートディレクターとして勤め、昨年9月末に独立しました。写真を投稿すると2~4万件の「いいね!」が集まり、コメントは日本のほか香港・台湾・ヨーロッパ・アメリカなどから400件以上寄せられることも。今年4月には2冊目の写真集「MINIATURE LIFE2」を発売することになっています。
「小人の視点で日常を考えると、いろいろと面白いことを考えつきます。こうした考えを写真として形にしています」と話す田中さん。自宅内のスタジオには、引き出しに整頓された約3千体の人形やネット通販で取り寄せた食品サンプル、100円均一ショップやホームセンターで買った文房具や工具などが。即興での作品作りをお願いすると、「ではこれで」とナットが端に付いた長さ15センチのボルトを取り出しました。
撮影をする白い背景の上にボルトを置き、ナットの部分に人形を器用に付けていく田中さん。接着剤に使っているのは、取り外しが簡単な練り消しです。一辺に2~3体ずつ配置し終えたら部屋の電気を消し、スタジオに取り付けられた4つの照明でボルトが照らされました。
準備を終えた田中さんはまず、三脚で固定した定位置から一眼レフカメラで撮影。上からや下からなど色々な角度でも撮り、撮影を終えると「今回は上からがいいですね」。20分足らずでできあがった写真は、鉄のタワーに腰掛けた人たちがわいわい楽しんでいる作品に仕上がりました。
田中さんによると、写真で心がけているのは「余計なものを加えずシンプルに」「サイズが分かりやすい素材を使う」「イメージを広げてもらえるようにキャプションをつける」の3点。前日のうちに撮影を終え、「フォトショップ」で写真を調整するなどの加工をして、朝7時~8時半に投稿するのがほとんどです。「旅行などに出かける時は、まとめて撮影をしておきますが、インスタに投稿するのは全部当日。そういえば投稿を始めてから、1日中電波が届かない場所にいたことはありませんね」と田中さん。写真のアイデアは、思いついたらスマホにメモをするようにしているそうです。
そもそも田中さんが投稿を始めたきっかけは、趣味で集めていた30~40体のジオラマ人形を自慢するため。当時は写真にも詳しくなく、スマホで撮影していたのを載せていただけだったそうです。コメント欄に「毎日見たい」と楽しみに待つ書き込みが集まるようになり、「試しにやってみるか」と1カ月続けたのが半年になり、今年の4月で5年に。「自分がどう表現したいかより、ユーザーにどう受け入れられかが大事」と考え、「いいね!」の数でユーザーの反応を見ながら作品の見せ方を日々研究しています。
作品の評判から仕事の依頼が多くなり、独立を決めた田中さんは、NECやANAなど企業のインスタアカウントにも作品を提供。写真集を出版したほか、今年は東京や大阪で展覧会を開く計画もあり、ミニチュア写真家としての活躍の場を広げています。「SNSの影響力は本当にすごい。今インスタをやめたら、仕事にならないので、これからも毎日続けていきます」と話しました。
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