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年賀状「おりた」側の言い分 「自分の近況だけ……うれしくない」
年賀状を「おりた」人にとって、元旦の郵便受けはちょっと気が重いかも。メールやLINEのある現代、年賀状を書く理由とは? 「おりた」派と「なくならない」派の言い分。
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年賀状を「おりた」人にとって、元旦の郵便受けはちょっと気が重いかも。メールやLINEのある現代、年賀状を書く理由とは? 「おりた」派と「なくならない」派の言い分。
年賀状のやり取りをやめた、いわゆる「おりた」人にとって、元旦の郵便受けはちょっと気が重いかもしれません。メールやLINEのある現代、それでも年賀状を書く理由とは? 「おりた」派と「なくならない」派の言い分です。
「おりた」派の言い分の一つが、「慣習だから書いている」ことへの疑問です。近況を知らせたいのなら、年賀状ではなく、普通にはがきや手紙で知らせればいいというもの。
家庭用プリンターで家族の写真を印刷し、一文だけ手書きで添える。おなじみのパターンには「自分の近況だけを知らせる文章……ちっともうれしくない」(神奈川県の40代女性)という声もあります。
生活の簡素化を理由にやめた人もいます。滋賀県の60代男性は日本人男性の健康寿命とされる71歳までの期間を考え「生活空間や所有物、諸活動を縮小していきたい」という結論に。今年は、「年賀状交換も省略いたしたく、来年以降はご遠慮頂きますようお願い致します」という文面の年賀状を出すことにしたそうです。
一方、メールやLINEのある今だからこそ年賀状にこだわる人がいます。コピペが当たり前の時代に対して「手軽になった分、込める気持ちの量は軽くなった気がする」(神奈川県の20代女性)と問題提起。今年は、手書きの手間を楽しむ気持ちになったそうです。
年賀状を続けてほしいという三重県の90代女性は「数少なくなった友人や知人と少しでもつながっていると感じられる年賀状は、やはり心弾むものがあります」と言います。「その方が元気に生活している姿を想像しながら、心を込めて年頭のお祝いの言葉を書くのは、とても楽しいものです」
それでも「年賀状もなくなることはないと思います」と言うのは、「年賀状の戦後史」の著作があるノンフィクション作家・内藤陽介さんです。
内藤さんは「時間も手間もかかるからこそ、年賀状を書くことは文化的な行為」とし、情報伝達の手段としては役割を終えても慶弔の場で役割を果たしている電報を例に挙げます。
そもそも年賀状を出すか出さないかで悩んでしまうのが「日本人の『義理堅さ』の表れかも」と、分析します。
枚数自体はピークだった1999年用の約41億9千万枚から減少している年賀状。2015年用は約29億7千万枚でした。2016年用は12月11日時点で前年同期比で約5%少なくなっています。
日本郵便は、年賀状のプロモーションにアイドルグループの嵐を起用。「年賀状を出そう」ではなく「ください」という、一ひねり効かせた宣伝コピーを展開しています。
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