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2015年11月01日

キラキラネームは深夜の受診が多い? 医学論文に反響、著者の狙いは

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 キラキラネームの子どもは、そうでない子と比べて深夜帯に受診に来る割合が高い――。医学雑誌「小児科臨床」の今月号に掲載された論文がツイッター上で「これは読んでみたい」「すごい研究だ」などと話題になっています。どのような狙いがあったのか、論文の筆頭著者に話を聞きました。

「キラキラネーム児」の親は配慮を欠く?

論文が掲載された月刊誌「小児科臨床」

論文が掲載された月刊誌「小児科臨床」

 話題になっている論文は「キラキラネームとER受診時間の関係」。2013年12月の1週間、日本赤十字社和歌山医療センターの救命救急センター(ER)を訪れた15歳以下の患者104人について、キラキラネームの子か、そうでない子かに区別し、診察に訪れた時間帯を比較しました。ちなみに、キラキラネームの子どもは16人、非キラキラネームは88人でした。このような比較をした理由は、「子どもを深夜に受診させるかどうか」は「親の社会に対する関わり方を示す指標になる」と考えたためです。

 結果はこうでした。キラキラネームの子ども16人のうち6人(37・5%)、非キラキラネームの子ども88人のうち11人(12・5%)がそれぞれ深夜帯に受診。統計学的に見ても「キラキラネームの子どもの方が深夜帯に訪れる割合が高い」というものでした。論文ではこう述べられています。

 「『キラキラネーム児』の親が、病院という公共空間に対する配慮に欠いているために深夜に救急受診している可能性を示唆している」

ツイッターで話題沸騰

 論文に対しては、ツイッターやフェイスブックなどで、医療関係者を含めたくさんの反応が寄せられています。

「賛否絵両論あれど面白いね」
「こういう研究が実施され掲載されるのはとても良いこと」
「診察医師の心象的に色眼鏡で見てしまうのは間違い無くあると思う」




筆頭著者「名前への偏見よくない」

 筆頭著者は同病院の研修医だった松浦祐史さん(30)。どのようなきっかけで論文を執筆したのか、話を聞いてみました。

――大変な話題を呼んでいますね。

「自分の論文が文字になって刊行されたのは初めてで、実際に読んでもらった方からたくさん感想を頂いたことがうれしかったです」

――そもそも、どういうきっかけで始めた研究だったんですか。

「結論と逆行することなんですけれど、ネットなどを見ていると『キラキラネームは就活に不利だ』といったような議論を含めて、キラキラネームに対する偏見を感じていたんです。そういうものを見るにつけ、これはよくないと。だからERの深夜受診ということで調べても、キラキラネームだから割合が高くなるというような差は出ない、というストーリーを立てていたんです」

――え!それは驚きです。でも論文では…

「有意差が出てしまったんです…。結果は結果なので形に残しておこうということで書いたのがこれだったんです。こういう経緯ですね」

――てっきり、医療現場でキラキラネームが絡む問題が起きていて、それが論文での問題意識につながっていると思っていました。研修医時代に深夜帯にキラキラネームの子どもが多かったという印象はないんですか。

「個人的な感想としては、多いという印象も少ないという印象もどちらもありません。名前が読めなくて困るといった問題も、カルテにふりがながあれば問題が解決する話ですからね」

15歳未満の患者104人の名前を調べた

15歳未満の患者104人の名前を調べた

出典:pixta

結論信じていいの?

――論文では「深夜にERを受診するかどうか」を「親の社会に対する関わり方を示す指標」としています。でも深夜帯に訪れた子どもの中には、本当に必要があってきた人も含まれているんじゃないですか。

「もちろんそうですね。実は患者さんの個人情報の問題もあって、どういう理由で訪れたかは詳しく検討できていないんです。だから、深夜に来たから配慮に欠いているということは一概には言えないですね」

――なるほど。となると、論文の結論的な部分「『キラキラネーム児』の親が、病院という公共空間に対する配慮に欠いているために深夜に救急受診している可能性を示唆している」という点についても、この結果だけに注目するのはよくないですね。

「そうですね。まとめるにあたってはどうしても書かざるを得なかったんですよね。ただ、全体としては非常に注意して中身を書いたつもりです」

「キラキラネーム研究」にも一役買うかも

「名は体を表す」とも言われる

「名は体を表す」とも言われる

出典:pixta

 ほかにも「さまざまなバイアスがかかっている可能性がある」と話す松浦さん。ただ、この論文ではもう一つの見どころがあります。それは「キラキラネームをどう定義するか」という点です。

 松浦さんは論文の執筆にあたり、キラキラネーム関連の文献を多く読み込んだそうです。ただその多くが「読めない名前=キラキラネーム」と定義していました。

 松浦さんは2つの尺度を使った合わせ技で定義しました。「キラキラと思う率」と「可読率」です。職場の30歳前後のスタッフに104人の子どもの名前を見てもらい、名前が読めるかどうか(可読率)をアンケートしました。さらに、それがキラキラネームかどうかを判定してもらいました(キラキラと思う率)。その上で、可読率が5割以下、キラキラと思う率が5割以上の名前を「キラキラネーム」と定義したのです。

 「病院のERで患者さんに直接接する人がどう思うかということで定義したらいいだろうと思った。ただ、ほかの文献では難読名がキラキラネームとしていたこともあって、そちらの評価も使うということにしたんです」と松浦さん。「キラキラネームは基本的に読めない名前が多いのですが、読めない名前の中でもキラキラと思う名前とそうでない名前があるというのがわかりました」と話していました。

 この論文、今後の「キラキラネーム研究」にも一役買うかもしれません。

色に名前は必要か? 「なまえのないえのぐ」の挑戦
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「なまえのないえのぐ」。色に名前がないため、元になった色の組み合わせが記号的に表現されている
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出典:コクヨ提供
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