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思わず2度見る!話題の小林市PR動画 衝撃のオチ、まんまとハマる
「面積の約4分の3が森林」という宮崎県小林市。そんな地方自治体の移住促進PR動画が話題になっています
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「面積の約4分の3が森林」という宮崎県小林市。そんな地方自治体の移住促進PR動画が話題になっています
「面積の約4分の3が森林」という宮崎県小林市。そんな地方自治体が8月26日に公開した「移住促進PR動画」が話題になっています。タイトルは「ンダモシタン小林」。小林市に長年住んでいるという設定のフランス人が、市内を巡りながら豊かな自然や人の温かさなどを紹介する内容ですが、最後に衝撃的な事実が明かされます。このオチを知らされると、動画を最初から見返すこと必至です。中心となって企画したのは、広告会社「電通」で働く小林市出身の越智一仁さん(35)。「いつか地元に恩返しを」。そんな思いがかなった作品です。
フランスから小林市に移住してきたという男性。「遠くフランスから来た私にとって この小林市は不思議なことだらけだ」というセリフで始まり、市内の森や星空などを紹介しながら独白します。彼のセリフには以下のような日本語字幕がつきます。
そして、最後にこう切り出します。
見た目からしてフランス語をしゃべっているとばかり思い込んでしまいますが、実は最初から最後まで、小林市など西諸地域で使われている方言「西諸弁」だったのです。
フランス語と言われても気づかれない西諸弁、おそるべしです。
YouTubeの説明文には以下のようにあります。
字幕機能を使えば、聞き取るのさえ難しい西諸弁の字幕を動画の上に重ねて見ることができます。ネタバレした後に、さらに西諸弁の奥深さに触れられるようにとの工夫です。
中心となって企画したのは、小林市出身で電通のコミュニケーション・プランナーである越智一仁さん。
今回の動画は、別な作品で国際的な賞を受賞した越智さんが昨年、小林市に受賞の連絡をしたことがきっかけで生まれました。「地元に恩返しをしたい」「地元では得られない情報を若者に伝えたい」という気持ちで制作したといいます
登場する93歳のおばあちゃんや寿司屋の大将、プラネタリウムのお客さんなど、出演者は現地の人々が中心となっています。
動画に込めたメッセージなどを越智さんに聞きました。
――オチが秀逸ですね
「きっかけは『西諸弁は訛りが激しく、外国の言葉のように聞こえる』と昔から言われていたことでした。小林市の資産は、森や水などいっぱいありますが、真ん中に据えたときに一番しっくりくると思ったのが、地元で使われている言葉でした」
――工夫した点は
「フランス語っぽくなりすぎず、西諸弁にもなりすぎない、バレそうでバレないギリギリのラインを狙いました。発言と字幕をあえて少しずらしたり、ちょっと意訳したり。東京にいる制作スタッフは解読できないので、市役所職員にお願いして文章を構成してもらいました」
――伝えたかったことは
「動画で『小林市はこんなにいいとこだよ』って訴えても、誰も見てくれないと思うんです。それに動画を見たからと言って移住を決める人も、そうはいないと思います。ならば、シャレの効いた表現で、まずは好きになってもらおうと思いました。動画で全部を伝えようとは思いませんでした」
――ネット上で話題になっています
「受注、発注の仕事の関係ではなく、小林市といっしょになってチームとして制作した動画です。打ち合わせをするなかで、市職員の中に自分が小さいころに一緒に遊んでくれたお兄ちゃんがいて、びっくりしたこともありました。それがこんなに評価されるのはうれしいです。いつか地元のためになにかできたら、という思いがかないました」
小林市では「てなんど小林プロジェクト」に取り組んでいます。「てなんど」とは、「一緒に」という意味の「てなむ」と、「ブランド」をつなぎ合わせた造語です。
急激な人口減少や超高齢化が進むなか、地域の魅力を発信することで、郷土に対する誇りを持ってもらい、都市住民との交流などを促進させようという企画です。
これまでにも「西諸弁標準語化計画」と題して、日本語離れした言葉をユニークなポスターにしたり、市民参加の写真・動画コンテストを実施したり。今回のPR動画もその一環で、今年度中にあと3本の動画を制作予定だそうです。
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