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宇宙は尿も再利用、濾過して「乾杯」 こうのとり届ける種子島の水

ISSへ水など物資を運ぶ補給機「こうのとり」5号機。ISSの宇宙飛行士たちはこの水をリサイクルして大切に使います。

尿から作った水を飲む宇宙飛行士の若田光一さん(左端)ら=NASAテレビから、JAXA提供
尿から作った水を飲む宇宙飛行士の若田光一さん(左端)ら=NASAテレビから、JAXA提供

目次

5号機は600リットル搭載

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 国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ無人補給機「こうのとり」5号機が17日、H2Bロケットで種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられます。当初16日の予定でしたが、天候悪化が見込まれるため17日に延期されました。今回積み込まれる水は600リットルですが、実は種子島宇宙センターの水道水を処理した水です。ISSでは尿を再利用して飲料水にするなどして大切に使います。

2013年8月に打ち上げられた「こうのとり」4号機=JAXA/NASA提供
2013年8月に打ち上げられた「こうのとり」4号機=JAXA/NASA提供

水道水を処理、味はなし

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)やこうのとりの製造を取りまとめている三菱重工業によると、ISSへ運ばれる水は、種子島宇宙センターにある第2衛星フェアリング組立棟で水道水をくんで処理します。フィルターで濾過(ろか)や殺菌などの処理をするのでミネラルはなく味もないそうです。どこの水でも良いのですが、積み込みと打ち上げが行われる種子島の水を利用しています。

こうのとりに積み込む水を取り込む蛇口=種子島宇宙センター
こうのとりに積み込む水を取り込む蛇口=種子島宇宙センター

補給能力6トン、水の輸送向き

 過去には、2011年に打ち上げられた2号機と13年の4号機がそれぞれ80リットルと480リットルを運びました。こうのとり以外では、ロシアのプログレス、米のドラゴン、シグナスといった無人補給機がありますが、補給能力はこうのとりの6トンにくらべて2~3トンと低く、こうのとりは水の輸送に適しているといえそうです。

プログレス(上)とドラゴン=いずれもNASA提供
プログレス(上)とドラゴン=いずれもNASA提供

再利用しても1年半後にはなくなる

 ISSでは水を再利用します。尿も処理して飲みますが、汗が衣服に吸収されるなどして徐々に失われます。6人の宇宙飛行士が生活した場合600リットルの水は1年半でなくなってしまいます。

ISSにあるロシアのトイレ(左)と米国のトイレ=いずれもNASA提供
ISSにあるロシアのトイレ(左)と米国のトイレ=いずれもNASA提供

尿も加熱して再利用

 尿処理は、蒸留装置を使います。ヒータで尿を含んだ水を加熱して水蒸気を作って冷却して水に戻して、不純物の97%を除去します。

尿の蒸留装置=NASA提供
尿の蒸留装置=NASA提供
宇宙飛行士・古川聡さん オープニングスピーチ
 2年前、国際宇宙ステーション(ISS)に5カ月半長期滞在した。その時に感じたことをお話しする。

 国際宇宙ステーションでは、水は再利用する。お小水や、空気中の凝縮水を処理して飲む。若田光一宇宙飛行士がおっしゃっていたように、昨日のコーヒーが今日のコーヒーになって、さらに明日のコーヒーになっていく、そういう世界だ
「宇宙で感じた。地球こそが故郷 朝日地球環境フォーラム2013」 2013年10月29日 朝日新聞

尿からの再生した水で乾杯

 09年に尿から飲料水を再生する装置の利用が始まり、乾杯のセレモニーがありました。長期滞在中の若田光一さんが、ISSのパダルカ司令官、バラット飛行士と一緒にストローのついた容器から再生水を飲みました。

 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士が6人に倍増するのに備えて米東部時間20日(日本時間21日)、尿から飲料水を再生する装置の利用がISSで始まった。
 地上の管制室とテレビ回線で結んだ乾杯のセレモニーがあり、長期滞在中の若田光一さん(45)も、ISSのパダルカ司令官、バラット飛行士と一緒にストローのついた容器から再生水を飲んだ。
尿から再生の水で乾杯 国際宇宙ステーション 2009年5月21日 朝日新聞
尿から作った水を飲む宇宙飛行士の若田光一さん(左端)ら=NASAテレビから、JAXA提供
尿から作った水を飲む宇宙飛行士の若田光一さん(左端)ら=NASAテレビから、JAXA提供

過去には処理装置が故障

 10年には、尿を飲料水に再生する装置が詰まるトラブルが起きました。原因は、宇宙飛行士の体内のカルシウムが余分に尿の中に排出され、装置内に「結石」が起きたとみられています。

 国際宇宙ステーション(ISS)で、尿を飲料水に再生する装置が詰まるトラブルが起きている。宇宙飛行士が無重力状態に長期間滞在すると、骨の密度が下がる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になる。体内のカルシウムが余分に尿の中に排出されるためで、装置内に「結石」が起きたとみられる。
 米航空宇宙局(NASA)の見方として、ロイター通信が伝えた。NASAの技術チームは、2月7日打ち上げ予定のスペースシャトル・エンデバーに交換部品を載せることを検討している。
尿の再利用装置、結石?で故障 無重力の宇宙基地、カルシウム排出増  2010年1月19日 朝日新聞

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