話題
宇宙は尿も再利用、濾過して「乾杯」 こうのとり届ける種子島の水
ISSへ水など物資を運ぶ補給機「こうのとり」5号機。ISSの宇宙飛行士たちはこの水をリサイクルして大切に使います。
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ISSへ水など物資を運ぶ補給機「こうのとり」5号機。ISSの宇宙飛行士たちはこの水をリサイクルして大切に使います。
国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ無人補給機「こうのとり」5号機が17日、H2Bロケットで種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられます。当初16日の予定でしたが、天候悪化が見込まれるため17日に延期されました。今回積み込まれる水は600リットルですが、実は種子島宇宙センターの水道水を処理した水です。ISSでは尿を再利用して飲料水にするなどして大切に使います。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)やこうのとりの製造を取りまとめている三菱重工業によると、ISSへ運ばれる水は、種子島宇宙センターにある第2衛星フェアリング組立棟で水道水をくんで処理します。フィルターで濾過(ろか)や殺菌などの処理をするのでミネラルはなく味もないそうです。どこの水でも良いのですが、積み込みと打ち上げが行われる種子島の水を利用しています。
過去には、2011年に打ち上げられた2号機と13年の4号機がそれぞれ80リットルと480リットルを運びました。こうのとり以外では、ロシアのプログレス、米のドラゴン、シグナスといった無人補給機がありますが、補給能力はこうのとりの6トンにくらべて2~3トンと低く、こうのとりは水の輸送に適しているといえそうです。
ISSでは水を再利用します。尿も処理して飲みますが、汗が衣服に吸収されるなどして徐々に失われます。6人の宇宙飛行士が生活した場合600リットルの水は1年半でなくなってしまいます。
尿処理は、蒸留装置を使います。ヒータで尿を含んだ水を加熱して水蒸気を作って冷却して水に戻して、不純物の97%を除去します。
09年に尿から飲料水を再生する装置の利用が始まり、乾杯のセレモニーがありました。長期滞在中の若田光一さんが、ISSのパダルカ司令官、バラット飛行士と一緒にストローのついた容器から再生水を飲みました。
10年には、尿を飲料水に再生する装置が詰まるトラブルが起きました。原因は、宇宙飛行士の体内のカルシウムが余分に尿の中に排出され、装置内に「結石」が起きたとみられています。
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