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甲子園、ブラフマン応援歌にした野球女子 今や定番アメトーークにも

高校野球の応援歌で、よく聞くBRAHMAN(ブラフマン)の「SEE OFF」。きっかけをつくったのは、茨城で高校野球オタクだった女子高生でした。

今年の茨城県立日立一高の応援の様子。惜しくも甲子園は逃したが、場内アナウンスが聞き取れないほどの声援は2015年の「応援大賞」に選ばれた
今年の茨城県立日立一高の応援の様子。惜しくも甲子園は逃したが、場内アナウンスが聞き取れないほどの声援は2015年の「応援大賞」に選ばれた

目次

 高校野球の応援歌で、最近、よく聞くロックバンド・BRAHMAN(ブラフマン)の「SEE OFF」。テレビ朝日系「アメトーーク」の応援歌ランキングで2位にランクインしました。ロックファンの間では有名なBRAHMANですが、なぜこの曲が使われるようになったのか? きっかけをつくったのは、茨城で高校野球オタクだった1人の女子高生でした。

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歌詞「to the end」が「甲子園」に聞こえた!

 この曲を最初に使ったのは、2001年の茨城県立日立一高といわれています。
 応援歌になるきっかけを作ったのは、高校野球オタクだった当時3年生の水野舞さんです。
 高校野球が好き過ぎた水野さんは、友人たちを誘ってチアを結成します。

 「もともと、ロックバンド・Hi-STANDARDや水戸出身のメンバー(TOSHI-LOWさん)のいるBRAHMANの大ファンで、着メロを自作するほどだったんです」という水野さん。

 放課後、チアや応援団に入った友人3人と話し合って、5回のグラウンド整備中に流す曲として、「SEE OFF」のチャンステーマを作りました。

BRAHMAN「SEE OFF」が高校野球の応援歌になった瞬間。当時、茨城県立日立一高でチャンステーマをつくった4人組(左から黒木絢乃さん、小林笑美さん、水野舞さん、小川章子さん)
BRAHMAN「SEE OFF」が高校野球の応援歌になった瞬間。当時、茨城県立日立一高でチャンステーマをつくった4人組(左から黒木絢乃さん、小林笑美さん、水野舞さん、小川章子さん)

 替え歌の歌詞は「さぁ燃えろ白亜の球児たち 今こそその時 栄光の火をかざし いくぞ甲子園」。水野さんは「歌詞の『to the end』が『甲子園』に聞こえて、作りました」と空耳アワーの経緯を語ります。

 残念ながらその年、4回戦で日立一高は敗退してしまいましたが、その後も水野さんの野球愛は続きます。水野さんは、野球好きが高じて現在、アメリカで野球中継のフリーディレクターをしています。

常総学院スタンドから聞こえてきたのは…

 水野さんらの熱意は、他校にも引き継がれます。翌年の2002年、茨城大会ベスト8で日立一と対戦した常総学院が、この曲を聞いて「かっこいい」と応援に取り入れたのです。

 さらに、常総学院が夏の全国制覇をかなえた2003年、スタンドで「SEE OFF」が鳴り響いたことから、全国に広まっていきました。水野さん自身が「自分でもびっくり」と話すほどの、拡散力でした。

 

 今年の茨城大会では、日立一は決勝に進出します。「本家SEE OFFが甲子園で聞けるかも!?」と卒業生たちも盛り上がりました。残念ながら霞ケ浦に0-2で惜敗しましたが、応援の伝統は今も受け継がれています。

 水野さんは「またいつか後輩たちが、『SEE OFF』を甲子園へ連れていってくれることを期待しています」と語っています。

高校野球100年、BRAHMANも20周年

 高校野球100年でもある今年は、BRAHMANの結成20周年の年でもあります。「アメトーーク」で「SEE OFF」が取り上げられると、映画「ブラフマン」の公式ツイッターは「なんと2位ーーー!!」と反応しました。


 ドキュメンタリー映画「ブラフマン」は現在、公開中で、8月8日から23日の間はタワーレコード渋谷店でも上映されます。
さらに12日には初のベストアルバムの発売が控えているBRAHMAN。アルバムには「SEE OFF」も収録されています。

 映画配給会社の担当者も「20周年の年にSEE OFFがこんな風に話題になるなんて、不思議な縁ですね」と驚きを隠せない様子です。

今年20周年を迎える『ブラフマン』、映画化もされた
今年20周年を迎える『ブラフマン』、映画化もされた

泣きながら「後輩たちに感謝した」

 実はこの「SEE OFF」を取り入れた水野舞、記者の姉です。姉の影響をばっちり受けた記者も、進学したのは別の高校ですが、応援団に入ってしまったほど…。今でも高校野球は大好きです。

日立一高の応援風景=2010年7月16日、全日写連日立支部・阿部和宏さん撮影
日立一高の応援風景=2010年7月16日、全日写連日立支部・阿部和宏さん撮影

 日立一の決勝戦は、アメリカ・茨城の実家・大阪にいる私のスカイプをつないで、声援を送りました。負けてしまったけれど、高校時代の友人たちと久しぶりに当時の思い出話に花を咲かせたという姉は、やや泣きながら「こんなきっかけを作ってくれた後輩たちに感謝したい」と話していました。

 きっと今年も甲子園では、名勝負をたくさんの応援歌が彩ってくれることと思います。わたしも観戦に行くつもりです!みなさんぜひ、球児にエールを送るとともに、スタンドの応援にも耳を傾けてみてください。

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