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バラドル女王、森口博子の30年 リストラ宣告、必死の生き残り
森口博子さんがデビュー30周年を迎えます。バラドルのパイオニアになるまでは、事務所の「リストラ宣告」など、苦難の歴史がありました。
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森口博子さんがデビュー30周年を迎えます。バラドルのパイオニアになるまでは、事務所の「リストラ宣告」など、苦難の歴史がありました。
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森口博子さんがデビュー30周年を迎えます。かつて芸能界で独自のポジションを築いていた「バラドル」。今では当たり前の風景になった、バラエティー番組でもいけるアイドルのパイオニアとして活躍し、今も歌手としてステージに立ちます。30年を経て「表現の幅が広がった」という森口さん。そこには事務所からの「リストラ宣告」など、苦難の歴史がありました。
森口博子さんは、1985年、アニメ主題歌でデビューし、TV番組でも活躍。女優業もこなすマルチなタレントとして知られています。出身は福岡市。市立高宮中はタモリさんや、博多華丸さん、氷川きよしさんらが通った、隠れた「名門校」でもあります。
多才な森口さんですが、中でも「バラドル」としての存在感は際立っています。
1980年代から90年代にかけて、森口さんをはじめ、山瀬まみさん、松本明子さん、井森美幸さんら、正統派アイドルとは違う路線のアイドルがテレビで活躍します。司会者にいじられたり、お笑い芸人と一緒に体を張ったりする姿は、バラエティーもこなせるアイドル「バラドル」という言葉を生み出しました。
森口さんは、「バラドル」で一気にタレントとしての立ち位置を固めたのです。
とはいえ、「バラドル」は森口さんには複雑なポジションでした。
17歳で福岡から上京し、デビュー。初のCD「水の星へ愛をこめて」が、人気アニメ「機動戦士Ζガンダム」の主題歌に採用。しかし、その後のヒットに恵まれず、高校卒業前、森口さんは事務所から「リストラ宣告」を受けます。
まさに当時は崖っぷちの状況。森口さんは「泣きながら『何でもしますから(福岡に)帰さないで下さい』って言いました。その『何でも』が、バラエティーの仕事だったんですよね」と振り返ります。
この「バラドル」路線が大当たりし、テレビから引っ張りだこになります。元々は歌を売りにしたアイドルだった森口さん。「必ず全て歌につながると信じていた」という思いで仕事を続けたそうです。
転機は1991年に訪れます。「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」が、映画「機動戦士ガンダムF91」の主題歌になり、自身最大のヒットに。NHK紅白歌合戦に初出場し、歌手として認知されるきっかけにもなりました。
「色んなジャンルの仕事が、色んな表現や出会いにつながった。歌だけやっていたら、こんなに歌の仕事がなかったかもしれない。『森口博子の方程式』ですよね」
30周年に合わせ、「ETERNAL WIND」をセルフカバーし、24年ぶりに収録しました。持ち前の伸びやかな高音に加え、ファルセットを採り入れるなど、表現の幅を広げています。
「支えてくれる方の思いを考えると『30年も』だけど、自分の夢への進化を考えると『30年しか』。生涯発展途上の現役として、誰かの明日につながる表現者であり続けたい」