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蛭子能収、ゲストに暴言、番組でダメだし 自由さ受けてブレーク中

漫画家の蛭子能収さんが、いま、何度目かのブレーク中です。空気をかたくなに読まない芸風が、逆にファンを増やしています。

「オレのマンガのファンは、テレビのファンとはまったく別です」と語る蛭子能収さん=2010年2月、東京都渋谷区、鈴木好之撮影
「オレのマンガのファンは、テレビのファンとはまったく別です」と語る蛭子能収さん=2010年2月、東京都渋谷区、鈴木好之撮影 出典: 朝日新聞

目次

 漫画家の蛭子能収さんが、いま、何度目かのブレーク中です。テレビ番組では、ご当地グルメは無視して、好きなラーメンを注文。女性ゲストには「俳優辞めてバラエティー1本にしたら」と暴言。空気をかたくなに読まない芸風が、逆にファンを増やしています。

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ヘタウマ風の画調で注目

 1980年代、ヘタウマ風の画調、ナンセンスな世界観のマンガ家として注目をあびました。90年代以降はテレビにも積極的に出演。パンツ一丁で熱湯に入る「熱湯コマーシャル」など、いじられキャラとして活躍します。その後は、俳優としても多くのドラマなどに出演しています。

 漫画は、広告代理店に在職中、つげ義春の影響を受け、シュールな作品を細々と描いては漫画雑誌「ガロ」に投稿し始めた。
 「ヘタウマ」のタッチで構築する蛭子氏の作品世界は、悪意と残酷、グロテスクとエロスが充満している。無名のころ、体験に基づいた「仕事ネタ」の作品を、好んで描いた。
1990年6月5日:蛭子能収のアンチ会社人生(日本人はユニークか 会社):アエラ
今とほとんど変わらない? 少年時代の蛭子能収さん=ファザーズコーポレーション提供
今とほとんど変わらない? 少年時代の蛭子能収さん=ファザーズコーポレーション提供

マイペース、なのに支持

 最近、注目されたきっかけは、8年前から土曜日夜に不定期で放送されているテレビ東京系「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」です。自由奔放なコメントで人気に火が付きました。
 レギュラー出演の相方、太川陽介さんには「リーダー失格」と平気でダメ出しをします。マイペースで、失礼と受け取られかねない言動。それなのに、なぜか支持されています。

蛭子能収さん=2015年6月10日、山本和生撮影
蛭子能収さん=2015年6月10日、山本和生撮影 出典: 朝日新聞
8年前から土曜日夜に不定期で放送されているテレビ東京系「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」に出演し、何度目かのブレーク中の蛭子さん。人気の秘密は、道中で口にするコメントの自由奔放さだ。
ご当地グルメに見向きもせずに大好物のカレーやラーメンばかり注文する。“マドンナ”と呼ばれる女性ゲストに「俳優辞めてバラエティー1本にしたら」と言い放つ。レギュラー出演の相方、太川陽介さん(56)に「リーダー失格」とダメ出し。マイペースな上、失礼と受け取られかねない言動を連発しているのに、なぜか支持される。
蛭子さん孤独のススメ うそでもいい、やわらかく断ろう:朝日新聞デジタル

「友だちがいない」「グループは良くない」

 一貫しているのは「群れない」という人生哲学です。還暦を過ぎても「友だちがいない」「グループは良くない」と公言します。絆の大切さや人脈づくり推しの風潮とは、正反対の道を歩いています。

 昔から人が嫌がることはしないのがポリシーで誘いを断れなかった蛭子さん。「1対1の関係なら問題は起きないのに、複数の人間が絡んでくるといじめの対象が生まれてしまう」。

初めて手にしたパソコン入力ペンの筆致にもやっと慣れ、笑顔で4コマ漫画に挑戦する蛭子さん=2005年11月17日
初めて手にしたパソコン入力ペンの筆致にもやっと慣れ、笑顔で4コマ漫画に挑戦する蛭子さん=2005年11月17日 出典: 朝日新聞
 その理由には「群れない」という人生哲学が影響していそうだ。還暦を過ぎても「友だちがいない」「グループは良くない」と公言する。絆の大切さや人脈づくりが推奨される社会で、異色の存在だ。
 長崎での少年時代、不良仲間の使い走りを経験した。
 「初めは友だちのように遊んでいるんだけど、強いリーダーが現れ、必ず上下関係が生まれるでしょ。オレはいつも命令される側で、逆転がないんですよ。リーダーが最悪だととんでもないことになる。一刻も早く家に帰りたかったなあ」
蛭子さん孤独のススメ うそでもいい、やわらかく断ろう:朝日新聞デジタル

『用事がある』とやわらかく断る

 今も月に1、2度は一人で競艇へ行くという蛭子さん。「気が合わなかったら『用事がある』とやわらかく断る術を身につけてください。うそをついてもいい。そうして少しずつ距離を遠くしていく。少なくとも自分からは絶対に連絡してはいけません」

 2014年夏に出版した新書のタイトルも、「ひとりぼっちを笑うな」(角川新書)。日々、フェイスブックで「いいね!」が飛び交う現代。そんな情報社会に疲れた人に、「周りに流されずに我が道を行け」という蛭子さんのメッセージが響いているようです。

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