全国のご当地キャラクターが人気を競う、ゆるキャラグランプリ。徳島県のすだちくんが異例の不出馬を宣言しました。昨年は票数を増やしたものの１４位に終わり、今年の順位アップに期待がかかっていた中での不出馬表明。その理由は、安倍政権が掲げる「地方創生」への専念でした。

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全国一の生産量、すだちがモチーフ

　すだちくんは読んで字のごとく、徳島県が全国一の生産量を誇る「すだち」がモチーフです。０３年の全国健康福祉祭徳島大会（ねんりんピック徳島２００３）のマスコットとして活躍後、ゆるキャラとして浸透しました。

立ち乗りボートに挑戦し、体を張って徳島の水辺の魅力をＰＲするすだちくん＝2015年5月17日 出典： 朝日新聞

昨年は１４位「厳しい結果」

　ゆるキャラＧＰの戦績は、初出場の１２年は３０６位で、１３年は１２位と躍進。ただ、ツイッターを始めるなど宣伝に力を入れた１４年は１４位と伸び悩み、「厳しい結果」と受け止めた県ブランド推進課は新たなＰＲ手法を模索していました。

徳島県内ではキャラ弁が売り出されるほどの人気＝2015年2月7日 出典： 朝日新聞

「地方創生に専念」

　ところが、今年の「ゆるキャラＧＰ２０１５」のエントリー開始が二日後に迫った８日、まさかの不出馬を表明しました。
　その理由は、「地方創生の実現に専念する」ためでした。
　県は今年度補正予算案を「とくしま地方創生・元年」と位置づけ、県内への企業誘致や定住促進、ふるさと納税の浸透などに注力する方針です。
　その一環として、すだちくんが首都圏でのＰＲ活動などに出向く機会が増えることが見込まれます。そのため、１１月の決選投票まで選挙期間が長く拘束が多いゆるキャラＧＰへの不出馬を決めたそうです。

ドライバーにシートベルト着用を呼びかけるすだちくん＝2008年9月26日 出典： 朝日新聞

本格的な選挙応援も

　とはいうものの、当面のすだちくんの「地方創生」活動は、ゆるキャラＧＰに出馬する県内の他のゆるキャラたちの応援です。
　県内から出馬するゆるキャラの応援要請を受けて、推薦状や応援メッセージ、選挙活動への同行、ツイッターでの投票呼びかけなど、知名度を生かして国政選挙さながらの本格的な応援活動を展開するそうです。
　同課は「『応援に回るほうがすだちくんらしくて良い』といった県民の声も多い。来年以降どうするかは、取り組みの成果も踏まえながら判断したい」としています。

ゆるキャラＧＰ２０１４に出馬したすだちくんを応援するべく、県職員が作ったダンス動画。選挙の頂点？国会議事堂を背景に踊った＝徳島県提供 出典： 朝日新聞

【関連リンク】すだちくんによる選挙応援希望を募る徳島県のウェブサイト