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歴女の次は、刀剣女子 擬人化ゲームきっかけ「ミーハーと思ったら」
日本刀にはまる刀剣女子が増えています。きっかけはゲーム「刀剣乱舞」。土方歳三の愛刀の展示には開館直後から行列ができました。
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日本刀にはまる刀剣女子が増えています。きっかけはゲーム「刀剣乱舞」。土方歳三の愛刀の展示には開館直後から行列ができました。
日本刀にはまる刀剣女子が増えています。きっかけはインターネットゲーム「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)」です。土方歳三の愛刀「和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)」の展示には、開館直後から行列ができました。
「刀はとても美しかったし、土方歳三の生きざまも魅力的です」
横浜市の女子大学生(18)は、「刀剣乱舞」に出会うまで新選組を知らなかったそうです。ゲームにはまるうちに、歴史の勉強も始めました。
土方歳三の故郷・日野市の土方歳三資料館で5月17日まであった「和泉守兼定」の公開には、最大1時間の入場待ちも出る盛況でした。入館者は例年の5割増しだったそうです。
土方の兄の6代目の子孫にあたる資料館長の土方愛(めぐみ)さんは「日本刀に縁があるとは思えない若い女性が多かった」と話しています。
「和泉守兼定」は、土方歳三を扱った数々の小説に登場する愛刀です。「燃えよ剣」では2代目兼定の作という設定ですが、会津藩の抱え鍛冶(かじ)で幕末に京都にいた11代兼定の作で、長さは二尺三寸(約70センチ)。土方は兼定を何振りも使っていたと言われています。
土方家には、函館で土方が戦死した後、遺品として届けられたと伝わっています。鳥羽伏見の戦いに敗れた土方が日野に戻った際に置いていったという説もあるそうです。
「刀剣乱舞」は今年1月にDMMゲームズから発表されたインターネット上のシミュレーションゲームです。和泉守兼定など、歴史的な名刀を若い男性に擬人化したゲームで、刀を育て、強くして戦っていきます。発表から4カ月でダウンロード数が100万を超えるヒット作となっています。
擬人化ゲームは、「艦隊これくしょん」のヒットにより注目されました。城郭や土木機械など様々な擬人化ゲームが生まれています。「艦これ」が美少女キャラだったのに対し、「刀剣乱舞」は、イケメン男性に擬人化されています。そのため、女性ファンの心をつかみ、美術館をはじめ、刀剣の専門書などが急に売れ出すなど、他の分野にも波及しています。
徳川美術館は4月18日、「初めての日本刀」と題したイベントを開いたところ、東京都や静岡、新潟県などから約120人が集まりました。学芸員の並木昌史さんが「こんなにもたくさんの女性が来るなんて初めての事態」と驚く熱気だったそうです。
勤めていた会社を3月にやめ、現在は刀剣の保存に関わる仕事に就くため勉強中という30代の女性は「長い歴史のある刀剣をきちんと保存し、後世に残す仕事に就きたい」と話していました。
上野の東京国立博物館でも、5月12日から始まった国宝「三日月宗近(みかづきむねちか)」の展示に若い女性の行列ができています。平安時代に作られ、刀身の美しさから「天下五剣」の一つと言われています。7月20日まで展示されます。
両国の江戸東京博物館で5月17日まで開かれた「大関ケ原展」では、「骨まで砕く威力」が名前の由来となっている重要文化財の刀「骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)」が展示されました。入館者は予想の11万人を大きく上回る20万人。博物館にあった問い合わせの大半は女性からだったそうです。
学芸員の斎藤慎一さんは「ミーハーな見物かと思っていたら、すごく丁寧に刀をご覧になっていた。刀剣は地味な世界だったので、きっかけは何であれ、ありがたい」と話しています。