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千葉市長が「障害者」にこだわる理由 「障がい」「障碍」論争に一石
「障害者」という言葉を「障がい者」と置き換えることには反対――。熊谷俊人・千葉市長のツイートが反響を呼んでいます。熊谷市長はどんな思いを込めたのでしょうか。
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「障害者」という言葉を「障がい者」と置き換えることには反対――。熊谷俊人・千葉市長のツイートが反響を呼んでいます。熊谷市長はどんな思いを込めたのでしょうか。
「障害者」という言葉を「障がい者」と置き換えることには反対――。熊谷俊人・千葉市長のツイートが反響を呼んでいます。熊谷市長はどんな思いを込めたのでしょうか。
近年、「障がい者」と漢字かなの交ぜ書きにする動きが増えています。自治体でも、施設案内や行政文書などで「障がい者」とするケースが相次いでいます。
2009年に表記を改めた岩手県滝沢村(現滝沢市)の担当課長は当時、朝日新聞の取材に「害の字は、妨げや災いといった否定的な意味を含む。村内の障害者団体からも意見があり、人権に配慮して変更した」と説明しています。
この問題について熊谷市長は20日、自らのツイッターで次のように語りました。
「『障害者』とは『社会の障害』でも『身体に障害を持つ者』でも無く、『社会との関わりの中で障害に直面している者』という意味であり、私たちはその障害を一つひとつ解消していくことが求められている、と理解しています」
「その考えから、私は『障害』を『障がい』と置き換えることには反対です。『障害』という言葉が引っかかるからこそ、それを社会的に解消しなければならないわけで、表現をソフトにすることは決してバリアフリー社会の実現に資するものではありません」
前も言いましたが、「障害者」とは「社会の障害」でも「身体に障害を持つ者」でも無く、「社会との関わりの中で障害に直面している者」という意味であり、私たちはその障害を一つひとつ解消していくことが求められている、と理解しています https://t.co/9hD3uSHx3m
— 熊谷俊人(千葉市長) (@kumagai_chiba) 2015, 5月 20
その考えから、私は「障害」を「障がい」と置き換えることには反対です。
「障害」という言葉が引っかかるからこそ、それを社会的に解消しなければならないわけで、表現をソフトにすることは決してバリアフリー社会の実現に資するものではありません
— 熊谷俊人(千葉市長) (@kumagai_chiba) 2015, 5月 20
戦前は「障碍(がい)」と表現されることも多くありました。しばらくは「障害」も混在しており、1946年の帝国議会の議事録では両方が使われている記録もあります。
しかし戦後、「碍」は当用漢字にも常用漢字にもなりませんでした。そのため49年の身体障害者福祉法の制定以降、「障害」が定着しました。
ただ、障害の「害」には「災害」「害悪」など否定的なイメージがあるため、表記の見直しを求める声は当事者らから根強くありました。一方で、表記だけを改めても「差別が残る実情から目をそらすことになる」といった反対意見もあります。
鳩山由紀夫内閣が設けた「障がい者制度改革推進本部」は、差別解消のために表記を「障がい者」とすることも議論しましたが、有識者らからは「『障害』が広く普及している」「『チャレンジド』が望ましい」などの意見も出され、合意には至りませんでした。2011年に提出された障害者基本法改正案には盛り込まれませんでした。
熊谷市長のつぶやきへの反応の中には、「そもそもその人を指して障害などと考えることが大きな誤解、差別です」といった賛成意見のほか、「障碍と表記することから問題解決につながると思える」といった反対の声も見られます。
(※以下、追記します 5月25日14:23)
表記を変えるべきとよく言われて、それに対応する時間を本来の障害者行政に割きたいので、表現を変えても意味が無いと申し上げただけです RT @simajirou2kf2 障害だろうが障がいだろうが、議論することではありませんよ。議論するぐらいなら、雇用の場を広げたり、他にやることある
— 熊谷俊人(千葉市長) (@kumagai_chiba) 2015, 5月 25