お金と仕事
就活にも効く、佐藤優の「インテリジェンス思考法」 短期決戦へ備え
前例のない「短期決戦」となった今年の就活戦線。作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんが勧めるのが「インテリジェンス思考法」だ。
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前例のない「短期決戦」となった今年の就活戦線。作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんが勧めるのが「インテリジェンス思考法」だ。
前例のない「短期決戦」となった今年の就活戦線。不安と戦う学生たちに、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんが勧めるのが「インテリジェンス思考法」だ。「自分に引きつける」「事実のみ目を向ける」。弱肉強食の外交の世界で培った「思考の鋳型」は、就活でも応用できそうだ。
3年後、5年後、10年後の自分はその会社で何をしているか、具体的に思い描くことができるか。願い叶って何社からも内定をもらったところで、選べるのは1社だけ。果たしてそこは、自分に合ったベストな会社なのか。そもそも、そんな就活戦線には安易に参入したくないと思っている人もいるかもしれない。
そこでカギになるのが、「インテリジェンス思考法」だ。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、いくつかのポイントに分けて、ビジネスパーソンや大学生、大学院生に「思考の鋳型」を鍛えることを勧めている。
ぱっと見には別々に起きていると思える出来事も、実は一本につなげる線が見えてくれば、今後の方向性にアタリがつけられるようになる。志望している会社の未来について、過去の事例から、具体的なイメージがつかめるかもしれない。
周りとは違う生き方を選ぼうとした時、表面的な雰囲気に流されていないか。単なる逃げではないのか。事実を整理して分析すれば、自信を持って決断を下すことができるはずだ。
「思考の鋳型」を鍛えて物事を見る目が養われれば、ダマされず、ナメられず、自分の頭を武器に生き残ることができると佐藤氏は強調する。佐藤氏の新刊「超したたか勉強術」の中から、就活にも効く「インテリジェンス思考法」を紹介する。
過去に起きた出来事を、現在の出来事の類比として捉える。
たとえば、ウクライナ情勢を読み解くための手掛かりとして、17世紀から20世紀にかけてのイングランドからのアイルランド独立問題が参考になる。
2014年7月に起きたマレーシア航空機ミサイル撃墜事件を見てもわかるように、ロシアとウクライナのような、地理的にも民族的にも距離の近い場所でナショナリズムが暴発すると、きわめて危険であることがわかる。
要素を一つ一つ取り出してみると、かけ離れたと思える出来事の中にも、意外と似た構造を見つけられることがある。
世の中の出来事を「対岸の火事」と見てはいけない。できるだけ自分に引きつけて物事を見る習慣をつけよう。
2014年9月、イギリスからの独立をめぐるスコットランドの住民投票について、日本の多くのメディアは「民族主義(ナショナリズム)」に目配りしつつも、 根本的には「地域主義(リージョナリズム)」の問題だと捉えたのに対し、佐藤氏は「民族主義」の要素が大きいと考えている。
そうした見立てができたのは、「米軍基地の過重負担」に苦しむ沖縄の琉球新報だけだったと指摘。「少数民族」の気持ちや論理、歴史に対する関心の低さは、物事の本質を見誤りやすい。
何かを議論したり表明したりするとき、自分にとって「不利」と思われることがあっても、それは「事実」としてのみ論じよう。そのとき重要なことは、「良い」「悪い」という評価を入れないこと。出来事の評価は、どの立場をとるかによって180度変わってくるからだ。
また、差別、宗教など論じることが難しいと思われるテーマであっても、できる限り感情的な要素を排除して考察すると物事がクリアに見えることがある。
特殊な資料や独自データを用いるよりも、新聞などの公開情報を使用したほうが説得力をもたせることができる。
たとえ就職できたとしても、理不尽で「声」の大きな人や、勢いまかせで非論理的な「反知性主義」をまき散らす勢力と、一緒に仕事をしなければならないかもしれない。そんな時、論理的で実証的な思考法は、あなたの強力な武器になるはずだ。