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退会したユーザーさんからの取材リクエスト

福島第一原発事故の立ち入り禁止区域で野生化した牛やダチョウ、犬などは現在どうなってる?



捕獲、去勢、実験サンプル…原発立ち入り制限区域、野生化動物の今

 福島第一原発の周辺には、今も飼い主とはぐれた犬や猫がさまよっています。震災後に生まれた犬猫も少なくありません。不妊去勢手術を施して悲劇の拡大を防ぐ活動が続けられています。一方、野生化した牛を捕獲し集めて飼育する動きも出ています。

人の姿に驚いて住宅街を駆ける牛の群れ=2012年4月20日、大熊町、上田潤撮影
人の姿に驚いて住宅街を駆ける牛の群れ=2012年4月20日、大熊町、上田潤撮影 出典: 朝日新聞

目次

取材リクエスト内容

福島第一原発事故の立ち入り禁止区域で野生化した牛やダチョウ、犬などは現在どのようになっているのでしょうか?気になっているので調べてみてください。 退会したユーザー

記者がお答えします!

 福島第一原発の周辺には、今も飼い主とはぐれた犬や猫がさまよっています。震災後に生まれた犬猫も少なくありません。不妊去勢手術を施して悲劇の拡大を防ぐ活動が続けられています。一方、野生化した牛を捕獲し集めて飼育する動きも出ています。

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【動画】壁には2011年3月のカレンダー・・・震災後初めて入った福島県双葉町の役場=2014年2月26日

クリニックで不妊・去勢

 福島県白河市にある「フクシマスペイクリニック」は、NPO「アニマルレスキューシステム基金」が開設したクリニックです。ここでは、獣医師が不妊や去勢の手術しています。連れてこられる動物は、被災地の野良猫や被災者のペットです。その多くは、福島第一原発から20~40キロ離れた地域で捕獲されます。

麻酔を打った後で毛をそり、不妊や去勢の手術の準備をする=2013年10月5日、福島県白河市
麻酔を打った後で毛をそり、不妊や去勢の手術の準備をする=2013年10月5日、福島県白河市

被災動物から生まれた世代は「野生動物」扱い

 避難時に置き去りにされたペットは、被災動物として保護されてきました。一方、それ以後に生まれた世代は野生動物として扱われている実態があります。避難指示区域の再編で行政と民間、いずれの保護活動も及びにくい空白地帯も生じているのが実情です。

震災後に生まれたとみられる子猫。小雨の中、道の脇から様子をうかがっていた=2013年10月6日、福島県南相馬市
震災後に生まれたとみられる子猫。小雨の中、道の脇から様子をうかがっていた=2013年10月6日、福島県南相馬市
避難時に置き去りにされたペットは、被災動物として保護されてきた。しかし、それ以後に生まれた世代は野生動物として扱われている実態がある。避難指示区域の再編で行政と民間、いずれの保護活動も及びにくい空白地帯も生じている。放射能の影響が消えない以上、動物保護は息の長い活動になる。だがボランティアだけでは、人手も資金も足りない。義援金の活用や、新しい募金などの知恵が求められる。
2014年1月13日:(焦点再訪)野生化進む犬猫、届かぬ保護の手 福島第一原発の周辺:朝日新聞紙面から

「放れ牛」を飼育

 警戒区域に残された「放れ牛」を、囲い込んで飼育する活動も続けられています。「懸(かけ)の森みどりファーム」は、畜産農家が野生化した牛を飼育しています。雄牛はすべて去勢し、繁殖を防いでいます。飼育・管理費は、企業系財団などに助成を申請し、趣旨に賛同する賛助会員(年会費3千円)を募って、経費を捻出しています。

放れ牛や避難農家から引き取った牛を囲い込んで飼っている「希望の牧場」では、新たに生まれてしまう子牛も含め増え続けている=2012年4月30日、浪江町
放れ牛や避難農家から引き取った牛を囲い込んで飼っている「希望の牧場」では、新たに生まれてしまう子牛も含め増え続けている=2012年4月30日、浪江町

「売れない牛」、研究対象に

 「肉牛として売れない牛」について、大学の研究者による調査も行われています。岩手大のチームは、帰還困難区域で、牛の生体への影響や放牧による草地除染の効果などを観察しています。血液採取や、牛の行動を追うために首に取り付けた発信装置の確認、牧場の線量計測、土壌汚染度調査などを実施しています。今後は一部の牛の解剖や内臓検査、甲状腺や栄養の調査、牛の新陳代謝と活動で放射性物質がどう移動するか――など研究していく予定です。

放れ牛になって被曝した黒毛和牛を柵に追い込み、検査のため血液採取をする研究者=2014年5月17日、浪江町小丸
放れ牛になって被曝した黒毛和牛を柵に追い込み、検査のため血液採取をする研究者=2014年5月17日、浪江町小丸
渡部さんらは「家族同然に育ててきた牛だ。原発事故で経済価値を失ったからって見殺しにはできねえ。先生たちのおかげでやっと生きて役立つ道が見つかった」と作業を手伝っていた。岡田准教授は一定の成果を得るためには「継続的な調査と公的支援が必要だ」と話す。
2014年5月18日:「放れ牛」調査を再開 浪江で岩大准教授ら、生体影響など観察:朝日新聞紙面から

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