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2014年10月08日

角川歴彦会長、ドワンゴとの経営統合を語る「最初の大事業はゲーム」

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経営統合の記者会見であいさつするKADOKAWAの角川歴彦会長(右端)と、笑顔を見せるドワンゴの川上量生会長(左)=2014年5月14日、東京都内、関田航撮影

経営統合の記者会見であいさつするKADOKAWAの角川歴彦会長(右端)と、笑顔を見せるドワンゴの川上量生会長(左)=2014年5月14日、東京都内、関田航撮影

出典: 朝日新聞


 角川書店で知られる「KADOKAWA」と、ニコニコ動画の「ドワンゴ」が今月、経営統合に踏み切った。KADOKAWAの角川歴彦(つぐひこ)会長(71)が8日、都内で講演し、あらためて経営統合の理由などを語った。また、統合後の最初の大型事業として「ゲームのプラットフォーム」を立ち上げることも強調した。

 講演会は、東洋経済新報社がメディアの未来をテーマにしたイベントで企画。角川氏は独自の「メディア論」も披露した。抜粋して掲載する。
(朝日新聞デジタル編集部 福山崇、古田大輔)

会場では経営情報の一部もスライドで表示されたため、角川会長本人の姿も含めて写真撮影が禁じられた=8日、東京都港区の虎ノ門ヒルズ。福山崇撮影

会場では経営情報の一部もスライドで表示されたため、角川会長本人の姿も含めて写真撮影が禁じられた=8日、東京都港区の虎ノ門ヒルズ。福山崇撮影

日テレになくてニコ動にあるもの

 僕は最近、メディア論ってのはこういうものじゃないかと感じていて、個人的な意見としてお話しします。

 僕が最近思ってるメディア論っていうのは「メディア産業論」です。メディアといえども産業として成立している、というところから立ち上がっていかなければならないと思っています。

 これはつまり、メディアってのは結局、「発明」によって成り立っているということですね。グーテンベルクの活版印刷が始まった時も当時の人は「大変なことが始まった」と思ってたはずです。それから宗教改革を経て出版人、印刷人ってのが生まれてくる。19世紀の終わりから20世紀にかけて、ラジオとかテレビが立て続けに発明されて。発明した人はメディアと思ってないわけですけど、メディア化していくわけです。

 じゃあ、メディアってのは何なのか。僕はコンテンツ産業に携わっていて出版もアニメもゲームも作ってますけど、コンテンツを作るってのは、「メディアという場」がないと生まれないんですね。

 こないだニコニコと一緒になるっていうんで、パーティーかそれに代わるようなものがあるといいねと、川上くん(ドワンゴの川上量生会長)に言ったんですね。でも高輪のプリンスホテルの大きな会場を人で埋めたってしょうがないんで、何かないかなあと。

 ちょうどそのときに、(作家の)黒川博行さんが直木賞を受賞して、黒川さんが麻雀が好きだっていうんで、じゃあ受賞記念に麻雀大会やりましょう、なんて話になって。もうめちゃくちゃですよね。でもそれがニコニコ的なんです。で、伊集院静さんや大沢在昌さんたちが受けてくれて、9月30日にやった。でもそれがニコニコ始まって以来の大がかりな撮影になっちゃって。麻雀なんで4人(を前後から)を映すだけでカメラが8台必要なんですね。結局、10台にもなっちゃったんだけど、ニコニコの人が張り切ってくれた。

 僕が嬉しかったのは、文壇でもうるさ型と言われている大沢さんや伊集院さんたちが心を向けてくれて、彼らが縁がないようなドワンゴという動画配信会社につきあってくれて、「一緒になってよかったね」なんて言ってくれたんですよね。で、伊集院さんが負けそうになったんで、急に高野山の空海の話なんか始めちゃいまして、そしたら(生中継をネットで見ていた人たちが)「空海、空海、空海」っていっぱい書き込んだわけです(笑)

 あ、で、僕がなにが言いたいかというとで、これはコミュニケーションしたってことなんですね。4千万人の人がニコニコというプラットホームでデジタルコミュニケーションをしてる。そこからコミュニティが生まれる。KADOKAWAもニコニコもサブカル系なわけですけど、コミュニティってなんだって言ったら、価値観が同じだということ。そこに、楽しい「場」が生まれる。それがメディアだと思うんですね。

 メディア論って僕にとってみれば、コミュニケーションがない、コミュニティがない場合は成立しないんですよ。つまり、共通の価値観をもってることです。たとえば、日本テレビさんから出てくるニュースはコミュニティじゃないと思うんですね。ところが、ニコニコから出てくるニュースは一種のコミュニティなんですよ。約束事があるわけですから。

経営統合の会見後、記念撮影に応じる(左から)KADOKAWAの松原真樹社長、角川歴彦会長、佐藤辰男相談役、ドワンゴの川上量生会長、荒木隆司社長=2014年5月14日、東京都内、関田航撮影

経営統合の会見後、記念撮影に応じる(左から)KADOKAWAの松原真樹社長、角川歴彦会長、佐藤辰男相談役、ドワンゴの川上量生会長、荒木隆司社長=2014年5月14日、東京都内、関田航撮影

出典: 朝日新聞

「まずはゲームのプラットフォームを作る」

 こないだの(経営統合の)記者会見があったときに、KADOKAWAがニコニコにコンテンツを提供するんですよね、と記者から質問があった。それを前提に質問したいんです、って。ところが川上くんは「いや、僕らもコンテンツ作ってるんですよ」と。本当にそうなんですよ。ご存じの通り、ボーカロイドがあって、そこからまたボーカロイド小説が生まれて、いろいろなものが生まれている。「カゲロウデイズ」なんて1冊50万部ですから。KADOKAWAにとってはトップ3に入るような堂々たる部数ですよ。

 で、彼も僕も言ったんですけど、KADOKAWAもプラットフォームなんですよと。ライトノベルだとか、「KADOKAWAファン」ってのがいっぱいいてくれて。さきほどのニコニコみたいに明確なコミュニケーションをしてるわけじゃないけど、一種気持ちを通わせてくれている。それで東京ウォーカーとかザテレビジョンを買ってくれたりする。KADOKAWA文化みたいなものを通して、アナログだけどコミュニケーションしてるんですよ。

 つまり我々はプラットフォーム同士なんですね。ところが決定的に違うのは、KADOKAWAが考えるプラットフォームってのはどこまで行ってもメーカー発想なんですよ。で、ニコニコってのはユーザー発想であり、技術を持っているんですね。プラットフォームを持ってる者同士が新たにプラットフォームを作ったらどうなるか、というのが我々のテーマなんです。

 コンテンツの変革のなかで、新たなプラットフォームが出てくる。KADOKAWAとニコニコも、最初のプラットフォーム作りはゲームから始めようと。いままでのゲーム会社ってのはハードのプラットフォームだった。ソニーも任天堂も。それをユーザーの立場から作ろうと。これがこないだのゲームショーで提案して、ある程度の人は理解してくれた。

 これは大きな事業になる。これがなかなか理解されないんですよ。KADOKAWAの3年先が見えない、とかビジネス誌に書かれるんですよ(笑)。3年後が見えないって言われても、手品のタネは明かさずですよ。落語で言えばオチを言っちゃっても、ねえ。

KADOKAWAの角川歴彦会長=2013年10月21日、上原佳久撮影

KADOKAWAの角川歴彦会長=2013年10月21日、上原佳久撮影

出典: 朝日新聞

「100万でマスメディアって言ってもかすむ時代」

 さて、メディア産業論としては実は、その裏側に流通、ディストリビューションがあるわけですよ。メーカー、問屋、小売店というような流通がメディアにもある。テレビも新聞も出版も。ところがインターネットでその流通が変わっちゃった。で、雑誌が売れなくなった。その最大の原因が物流の変化。雑誌を読まなくなったというより、携帯にいっちゃった。関西の人はまだちらほら雑誌とか文庫読んでるけど、関東の人はもう完全に携帯ですね。テレビはいま「ファーストスクリーン」とか言われてますけど、セカンドスクリーンにそのうちなっちゃう可能性ありますよ。そういうところによりかかってるテレビは、僕からすると怖くてしょうがない。

 雑誌だって問題あります。インターネットは破壊と創造をしちゃったわけですけど、それを(既存メディアの)皆さんは見て見ぬふりをしている。

 KADOKAWAは3カ月前にドコモと組んで「dマガジン」ってのを始めた。電子雑誌の読み放題サービス。月400円。出版社70社でスタートしたんですけど、スマートフォンで雑誌みるとね、なんかワクワクするんですよ。権利がクリアされてない部分もありますから全部が読めるワケじゃないですけど、3カ月で会員数は52万人。これはドコモも驚いている。iPhone6でまた伸びてる。新規契約の45%の人はここに入っちゃうんです。ドコモから見れば大ヒットです。

 雑誌の力はまだまだ衰えてないと思うんですよね。携帯を通してコンテンツを見る、物を買うという習慣がついてるのにそこを通さないってのが間違ってるんです。

 メディアってのはやはり産業論で語るべきです。マスメディアって言葉がだんだん、皆さん使いにくくなってますね。マスメディアって言葉はテレビが登場してからですよ。テレビのために作った言葉ですね。そこに新聞とか雑誌が便乗してきた。まあ100万部だったらメディアといってもいいですけど、ウェブの世界では1千万とか1億とかって出てきてるわけですから、100万でマスメディアって言ってもかすんじゃいますよね。

 メディアからコンテンツが生まれてる。コンテンツ産業という言葉はインターネットが作ったと思っている。20世紀時代のメディア論と21世紀のメディア論は違うんですよ。20世紀は「知識社会」だった。労働集約から知識集約へ、量から質へ。21世紀はなんだというと、「ソーシャル社会」。知識から情報へ、量も質も、になった。大衆の数の力と、大衆の生み出す創造、これが重要になってきた。それから消費者の変革。これはこれからますます本格化する。

 メーカー発想で考えるのではなく、ユーザーの立場から考えるとどうなんだろうと。そうしないと、メディアは大きく変われない。新聞だってキオスクに置かないこともある時代です。流通なんです。そこで皆さんはもう一度、メディア論を考えて欲しい。そして、KADOKAWAとドワンゴがどうなるか、3年後どうなるか、見守って頂きたい(笑)。

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