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ゆりかもめ開業30年 臨海副都心「通勤の足」と期待された路線の今
お台場や東京ビッグサイトへのイベント客や外国人観光客らでにぎわう「ゆりかもめ」が、開業30年を迎えました。開業当初は「通勤の足」と期待されつつも閑散としていた「ゆりかもめ」。起死回生のきっかけとは?(朝日新聞記者・木佐貫将司)
東京の臨海副都心を走る新交通システム「ゆりかもめ」が、11月1日に開業30年を迎えました。
国内外から訪れた人が使う人気路線ですが、開業当初は閑散としていて「空気を運ぶ」と言われました。取材で見えてきたのは、社会情勢を反映しながら沿線が変わり続ける姿でした。
ゆりかもめに乗ると、特に休日は乗客がごった返し、すし詰めになります。
芝浦ふ頭からお台場へレインボーブリッジを渡ると、外国人観光客たちが、都心に高層ビルがひしめく眺めをスマホで撮影しています。
もともと、ゆりかもめに期待された役割は「通勤の足」でした。臨海副都心の開発は「未来都市」として都心のオフィス密集を解消するために計画されたからです。
しかし、バブル崩壊や「世界都市博覧会」中止で目算が外れてしまいます。
進出予定の企業が相次いで撤退。1995年の開業当初の乗客は想定を下回り、当時を知る関係者は「どうなるかと思った」と口をそろえます。今から見れば、隔世の感です。
起死回生の契機は、1996年以降の東京ビッグサイト開業とフジテレビ本社のお台場移転です。イベントやレジャーが目的の乗客が増えました。
2018年には豊洲市場が開場し、2021年の東京五輪で会場となった有明アリーナなどは「レガシー」として利用されています。
多くの通勤客に使われるはずだったゆりかもめは、今は「観光路線」の姿を見せています。
東京は「100年に一度」とされる再開発のただ中にいます。臨海副都心でもタワーマンションが目立ってきました。
東京の「未来」を映してきたゆりかもめが、次の30年でどんな姿を見せているのでしょうか。