お金と仕事
職場の忘年会、上の世代の参加意欲が低いのは…〝逆粗相〟を警戒?
最も参加意欲が高かったのは20代でした
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最も参加意欲が高かったのは20代でした
今年も残りわずか。すでにいくつかの忘年会に参加した方もいるかもしれません。転職サービス「doda」などを運営するパーソルキャリアの「Job総研」が、忘年会にまつわる意識調査をしたところ、40代以上の参加意欲の低さが際立つ結果になりました。調査結果を詳しく聞きました。
Job総研が調査したのは、現在働いている全国の20代から50代、計421人です。
忘年会の開催状況をコロナ禍前までさかのぼって尋ねた質問では、コロナ禍前の2019年は46.1%だった開催率が、コロナ禍となった2020年には26.6%に落ち込み、翌2021年にはさらに16.2%まで低下したことがわかりました。2022年に24.2%に上昇し、コロナの取り扱い基準が5類感染症に緩和された2023年に41.3%まで復活しました。
昨年の忘年会の開催率は、49.4%にまで回復しました。
さらに、今年の開催予定を聞いたところ、「開催する」と答えた人は69.1%。コロナ禍前の2019年を大幅に上回る結果となりました。
参加意欲を聞くと、「とても参加したい」「参加したい」「どちらかといえば参加したい」を合わせると60.1%となりました。
年代別では、「参加したい」と答えた人の割合は、20代が最も多い71%だった一方、30代以上は年代が上がるにつれて参加意欲が低くなっています。40代は55.1%、50代は48.3%でした。
Job総研の担当者・高木理子さんは、「40代以上になると、役職などで立場が上になり、若手と飲むことの難しさがあるのではないでしょうか。アップデートされないままの〝古いノリ〟で接すれば、一瞬で信頼を失いかねないリスクが大きく、若手と飲むことが大変。『逆粗相』のような状態を懸念していると考えられます」
上の年代は、会社全体での忘年会や若手との忘年会を避け、同世代との会を楽しむ方向に向かっているのではないかと推察しています。
年代別で最も参加意欲が高かったのが20代という結果でしたが、高木さん自身も、コロナ禍で会社に入った26歳。自身は、「飲み会へのあこがれを持ち続けてきました」と話します。
高木さんは「リモートワークが多く、コミュニケーション手段の主流がオンラインチャットなどになった数年間、上司や同僚がどんなテンションで何をどう考えているのか、つかみにくく感じていました」と話します。
調査では、20代が忘年会に参加したい理由には「メンバーとの関係構築」が最多で47%と半数ほどが挙げていました。
高木さんは「若手は、コミュニケーションの量よりも深さを求めていて、職場での心理的安全性を保ちたいという意欲が見えます」と分析します。
飲み会を含めて関係性が作れれば、職務上のトラブルが発生した際も「認識の齟齬が小さく済み、カバーがきくと考えるのではないでしょうか」と指摘します。
調査によると、勤務先の企業が今年も忘年会を実施しないとする回答も一定数あることがわかります。
「コロナ禍前から実施していない企業が方針を継続している場合、元々『プライベートを優先する社風』を打ち出すなどしているため、もし急に実施するとなると『飲み会をしないから好きだったのに』と感じ、人材が流出する恐れもあるのではないか」と高木さん。
一方で、企業のなかにはカジュアルな忘年会を実施する傾向もみられるそうです。
「職場としての形式的な忘年会はしないけど、気の合う同僚数人と…という忘年会は増加傾向です。席順や上司へのお酌などを気にせず、リラックスできる仲間数人との飲み会を好むのは、個人の価値観が多様になっている現代の忘年会の形だと思います」
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