マンガ
孫に〝チュロス〟おばあちゃんが作る「家ならでは」の味に〝泣ける〟
〝おやつ〟が思いやりをつなでいく短編集が、SNSで「たまたま流れてきた話に号泣」「大人も子どももどちらの気持ちも分かるから……」などと話題になっている漫画家・稲空穂さん。漫画「おばあちゃんのレシピ」に込めた思いを聞きました。
遊園地に行くことを楽しみにしていた小学生の女の子。でも、父親の急な仕事で延期になってしまいます。
むくれていると、祖母がやってきて、女の子が憧れていた遊園地の〝チュロス〟のようなおやつを作ろうと提案します。
「カリっとしてて」「甘くておいしい」「細長い」
女の子から聞いた情報からイメージを膨らませ、干し芋を揚げて砂糖をまぶした「干し芋チュロス」をつくってくれました。
「お父さんもチュロスで元気出してくれるといいわね」と祖母に言われた女の子は、「…お父さん元気ないの?」と怪訝な表情。すると祖母は「ないと思うよ?あなたと遊園地行けなくなっちゃったんだもの」
自分より仕事を優先されて怒っていた女の子は、父も自分と遊べなくて残念なんだと初めて気づき、〝干し芋チュロス〟を父へのお土産にしたのです。
その味は女の子が高校生になっても変わらず、祖母の家で干し芋を見つけた女の子は「おばあちゃん、チュロス作って!」とおねだり。
2人の間では「チュロス」といえば、この味になったのでした。
漫画家・稲空穂さんが、漫画「おばあちゃんのレシピ」に込めた思いを、メッセージで寄せてくれました。
《どのご家庭にも「その家ならではの味」があるものだと思っております。
幼い頃からよく食べていた祖母の料理。私の祖母は元お弁当屋さんで、料理がとても得意です。
そんな祖母に、私がこれまで食べてきた大好きな料理の作り方を尋ねると、必ずこのフレーズが返ってきます。
「みりんと醤油をどばっと入れる」
「適当に味を見て調整する」
「だいたいこのくらいで」
教わる側としては、なかなか同じ味に仕上げるのが難しいのですが……。
祖母が感覚で作ってしまえるほど、料理を作り続けてくれたのだと思うと、とても幸せなことだなと感じます。
そんな思いを振り返りながら描いたお話です。》
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