ネットの話題
甲子園で旋風の県岐阜商、簿記部も快挙 簿記甲子園V&簿記1級合格
全国高校簿記競技大会も団体&個人V 部員99人、高め合い進化

ネットの話題
全国高校簿記競技大会も団体&個人V 部員99人、高め合い進化
甲子園で旋風を巻き起こした岐阜県立岐阜商業高校ですが、硬式野球部以上に活躍しているといっても過言ではない部活があります。簿記部です。今夏の「日商簿記甲子園」で2連覇を達成。個人・団体とも制する完全優勝で、全国の高校簿記部かいわいでは無双状態です。なぜそこまで強いのでしょうか。
日商簿記甲子園(全国高等学校日商簿記選手権大会、日本商工会議所主催)は、全国から日商簿記1級合格を目指す高校生たちが集まり、商取引を正確に記録する簿記の技術を競い合う大会です。
簿記を学ぶことで、企業経営を会計面から深く理解することができます。企業の発展、そして地域経済、日本経済の活性化に貢献できる人材の育成と、簿記を学ぶ若者同士の友情を築くことを目的に開催されています。
日本商工会議所の担当者によると、予選には全国55校、500人が参加しました。今年8月、予選を突破した30校(個人もしくは団体で本選に進んだ学校数)の120人が参加し、本選が開かれました。県岐商をはじめ、松山商、広島商、下関商、高知商、佐賀商、大分商、樟南(鹿児島)ら全国の強豪が集結しました。
この大会で県岐商は、団体の部で優勝。個人の部(総合)では上位7人までを独占する圧倒的な強さでした。昨年も団体の部を制していて、団体2連覇を達成しました。
簿記部の活躍はこれだけにとどまりません。7月の第41回全国高等学校簿記競技大会(全国商業高等学校協会主催)でも優勝。団体優勝は2年ぶり26回目です。八幡商(滋賀)、津商(三重)らを破ってつかんだ栄冠でした。
優勝メンバーの生徒は、「今回優勝ができて、本当にうれしいです。大会に向けての道のりは、決して楽しいだけではありませんでしたが、それを乗り越え優勝という結果を残すことができたのは、自分1人の力ではなく、共に練習してきた仲間、先生方や家族の支えがあってこそだととても感じています」と喜びを語りました。
県岐商の部活動は、運動系と文化系以外に「生産系」があります。簿記部は生産系の部活です。
生産系の部活にはほかに、珠算部や速記部、EDP部(Electronic Data Processing部)などがあります。情報処理やプログラミングに取り組むEDP部もとんでもない強豪で、7月の第37回全国高等学校情報処理競技大会において、2年連続19回目の団体優勝、個人も優勝、3位、7位に入賞しています。
顧問の先生によると、簿記部の現在の部員数は99人。活動時間は、月曜日から金曜日は放課後の午後3時半~6時半。午前7時半~8時20分の朝練もあります。土曜日は午前7時半から午後4時半です。簿記は集中力が重要で、日曜は休むなどメリハリをつけて活動されているそうです。
簿記部の強さは、学校の充実した会計教育に加え、指導者の情熱と徹底した反復練習に裏打ちされています。
県岐商は、昨年度に創立120周年を迎えた伝統校で、「商業教育・部活動・進路達成日本一!」を掲げ、地元での存在感は圧倒的です。多くの卒業生が社会の第一線で活躍しています。
簿記部のメンバーの多くは、学校では会計科に所属しています。会計科は、簿記のスペシャリストを目指す「ファイナンシャル会計類型」とバランスよくビジネスの基礎知識を身に付ける「マネジメント会計類型」に分かれています。
施設も充実していて、簿記部が活動場所として使っている「第2簿記実習室」はコンピューター会計に対応できるよう会計ソフトウェアが導入され、簿記の個別学習ができるよう、ビデオオンデマンド環境も整備されています。
スーパー・アカウンティング・ハイスクール(SAH)に指定されていて、会計科の生徒は日商簿記検定1級に授業の中で取り組み、税理士や公認会計士の資格取得に向けて学習することもできるそうです。
私は以前、新聞社の岐阜の支局で働いていたことがあるのですが、そのときにも簿記部の取材をしたことがあります。
活動場所には、部員たちが電卓をたたく音だけが響き、思わず背筋がピンとなるような独特の緊張感が漂っていました。あまりの気迫に圧倒され、シャッターも容易に切れないほどでした。あれから数年たちましたが、やはり強い県岐商の簿記部に、伝統の力のすごみを感じました。
今年6月に実施された日商簿記検定を会計科の2、3年生が受験したところ、1級に3年生6人、2年生2人の計8人が合格したそうです。この検定は大学卒業程度の資格で、合格率10%ほどの難関資格です。大変な快挙ですが、県岐商では毎年合格者を出しているそうです。
科目合格制で行われている税理士試験で、高校在学中に「簿記論」や「財務諸表論」に合格する生徒もいます。
部員のみなさんが県岐商の強さの秘訣(ひけつ)としてもう一つ挙げるのは、仲間の存在です。仲間と議論したり、問題を相互に教え合っていく中で絆が深まり、簿記の技術も向上していきます。高いレベルで切磋琢磨(せっさたくま)しながら高め合う仲間の存在は何物にも代えがたい財産だといいます。
先述の生徒は、将来への思いも語ってくれました。
「なかなか点数が取れなかった時期もあり、不安に思うこともありました。その時に仲間と話し合ったりしたことが、とても心の支えになっていたと感じています。自分1人だったら優勝はつかみ取れなかったと思います。これからも仲間と共に支え合いながら、感謝を忘れず夢に向かって進んでいきたいです」
1/4枚