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コントの小道具づくりが得意 ホームセンターでのバイト経験を生かす
男女コンビ「ぷぅ」のはなさん

ホームセンターのバイトをやっていなかったら、今の芸人の自分はいない――。そう語るのは、お笑いコンビ「ぷぅ」のはなさんです。コントで使う小道具づくりに生きただけではないという、ホームセンターでのバイトの経験を語ってくれました。(ライター・安倍季実子)
「今の私があるのは、10年くらい前にしていたホームセンターバイトのおかげだと思っています。今でもホームセンターが好きで、特に用事がなくても週に1度は必ず行きます」
そう話すのは、男女コンビ「ぷぅ」のはなさん。
高校を中退し、養成所に通う資金集めのために、18歳からホームセンターでバイトを始めました。
「22歳くらいまでバイトしていました。シフト制で週5~6日、朝8~17時までみっちり働いていて、最終的には日用品、園芸、工具、木材、ペットといったほぼすべてのジャンルを担当しました」
芸人活動において特に役立っているのは小道具作り。はなさんは「頭の中で小道具がイメージできれば、どんな材料で、どうしたら作れるのかが自然と浮かぶ」のだといいます。
たとえばロケットランチャーの小道具を作ったときには、「本体部分は段ボールで、茶・カーキ・グレーなどのカラーテープを巻きつけました。持ち手には木の質感が出るように、フローリングのリメイクシートを貼りました。予想以上に本物っぽくできたので、あの時はテンションが上がりました」と笑います。
ホームセンターのバイトでは、レジや陳列のほかにも、お客さんに商品を説明したり、設置されている水槽を掃除したり……。季節商品を売り出す時は、商品だけでなく行事の内容も調べていたといいます。「お正月やバレンタインなどのテーマでネタを作る時に役立ちました」とはなさん。
これまでに作った小道具は、小さなものも含めると100個以上にのぼります。その腕を買われて、仲のいいピン芸人から小道具作りを頼まれたこともあるそう。
きちんとした小道具づくりにこだわるのは、「それに見合うネタをしなければいけないというプレッシャーが生まれるから」とはなさんは言います。
「そのプレッシャーがいいんですよね。小道具もネタもしっかり作りこんで、それでウケた時はもちろん嬉しいですし、ウケなかったとしても、『あの小道具めちゃくちゃ手が込んでて……』という風にエピソードトークにして話せます」
一方で、コントの小道具は置き場所・廃棄方法の問題がついてまわるそう。
「昔、コントで使おうと『ドア』を作ったことがあります。ドアノブと蝶番を買って、かなり本格的で出来は良かったのですが、持ち運びができなくて……。結局、一度も使わずに廃棄することになりました」
その時に役立ったのも、ホームセンターでのバイトで得た知識と技術です。
「ノコギリで一般ごみに出せる大きさに切って、自力で捨てられました」と話します。
しかし、デビュー後から芸人の仕事が増えて、ホームセンターのバイトで働くことが難しくなってしまい、辞めることに。はなさんは「芸人の仕事が増えて嬉しい反面、バイトに行けなくて複雑な気分でした」と振り返ります。
上京後は、牛丼屋の深夜バイト、遺品整理、スポーツジムの朝清掃などのバイトを経験し、今はスーパーのバイトをメインに二つを掛け持ちしているそうです。
「ホームセンターのバイトを経験して、目標をきちんと設定することの大事さに気づいたんです。何のためか、自分の生活スタイルに合うものは何かを考えてバイトを選んでいます」と話します。
以前のコンビではコントをしていましたが、現在のコンビでは主に漫才をしているはなさん。ピン芸人としても活動しつつ、トークやMCも得意なオールラウンダーな芸人です。
「いわゆる器用貧乏なタイプなんです(苦笑)。ひとつのことを深掘りするスタイルも素敵だと思いますが、私の場合は、ホームセンターのバイトのように『経験を芸に生かす』ことを繰り返し、広く活動する方が向いている気がします」と話します。
現在のコンビ「ぷぅ」の目標は、やはり賞レースで勝ち上がることです。
「漫才だけじゃなくコントもやりたいので、今は漫才とコントの両方を競う『ダブルインパクト』という賞レースで結果を残すことが目標です」
「ダブルインパクト~漫才&コント二刀流No.1決定戦~」とは、今年の夏に開催される新しいお笑いの賞レースです。漫才とコントの両方のネタで、真の二刀流芸人のトップを競います。
コントははなさん、漫才は相方のエブリデイ竹内さんがネタを書いているという「ぷぅ」にピッタリの賞レースです。
ピン芸人としては、「やっぱり、『THE W』で決勝に行きたいです。これまで何度も挑戦している思い入れのある賞レースですし、『THE W』で結果を出してから、『R-1ぐらんぷり』の挑戦も考えたいです」と語ります。
ほかにも、絵を描く活動にも取り組みたいそう。昨年末、イラストの腕前が認められて、太田プロのオリジナルグッズの絵に採用されました。Instagramでイラストアカウントを作り、かわいい作品をアップしています。
漫才、コント、そしてピン芸人にイラスト。すべてで経験を重ねながら前に進んでいく――。はなさんの挑戦は、まだまだ続きます。
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