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#21 宇宙天文トリビア

肉眼で見える「大彗星」になるかも? 紫金山・アトラス彗星が接近中

2007年に大彗星となったマックノート彗星
2007年に大彗星となったマックノート彗星 出典: S. Deiries/ESO

目次

大彗星(すいせい)になると期待されている紫金山・アトラス彗星が近づいています。9月下旬には太陽に、10月には地球に最も近づき、目で見える明るさになる可能性があります。いつごろ、どの方角に見えるのでしょう。(デジタル企画報道部・東山正宜)

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9月下旬には目で見える明るさに?

彗星は2023年初め、中国の紫金山天文台と南アフリカのアトラス望遠鏡が発見しました。彗星はこのとき木星よりも遠い場所にいたのですが、それでも見つかったと言うことで、かなり大きな彗星ではないかと思われています。

このまま順調に明るくなれば、太陽に近づく9月28日ごろには2等星くらいになって、空に長い尾をなびかせるのではないかと期待されています。

9月28日ごろの紫金山・アトラス彗星の見え方。夜明け前の東の空低くに見える
9月28日ごろの紫金山・アトラス彗星の見え方。夜明け前の東の空低くに見える 出典: アストロアーツ・ステラナビゲータ12で作成

軌道計算によると、彗星は9月下旬に夜明け前の東の空で見え始めます。

彗星はその後、いったん見えなくなるのですが、10月中旬から今度は夕方の西の空に見え始める予想です。

どんどん高度を上げ、10月いっぱいは目で見え続ける可能性があります。

10月中旬の紫金山・アトラス彗星の見え方。日没直後、西の空に見える
10月中旬の紫金山・アトラス彗星の見え方。日没直後、西の空に見える 出典: アストロアーツ・ステラナビゲータ12で作成

崩壊しちゃう!? 不穏な予測も

ただ、不穏な予想もあります。

米国の天文学者ズデニェク・セカニナ博士は今年7月、「この彗星が遠くでも明るく見えたのは分裂したからで、太陽に近づく前に崩壊してしまうだろう」とする論文を発表。世界中の天文ファンが悲鳴を上げました。

しかし、最新の観測では、彗星は持ちこたえているようです。

小惑星探査機「はやぶさ2」が撮影した紫金山・アトラス彗星。尾も出ている
小惑星探査機「はやぶさ2」が撮影した紫金山・アトラス彗星。尾も出ている 出典: JAXA

はやぶさ2が確認 順調に明るく

現在は地球から見て太陽の向こう側にいるため見えませんが、ちょうどその付近にいる日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が9月2日、彗星の撮影に成功。尾をなびかせて明るくなっている姿を公開しました。

彗星は「汚れた雪だるま」とも呼ばれる不安定な天体で、どこまで明るくなるかの予想は極めて難しいことが知られています。

雨のように降り注ぐふたご座流星群の流れ星たち。彗星が放出したチリが地球とぶつかって流れ星になる
雨のように降り注ぐふたご座流星群の流れ星たち。彗星が放出したチリが地球とぶつかって流れ星になる 出典:朝日新聞宇宙部

紫金山・アトラス彗星が予想通り大彗星になるのか、それとも途中で崩壊してしまうのか。もしかして、目の前で崩壊してもっと明るくなるかも知れず、それは誰にも予想できません。

この秋、ぜひ夜空を見上げて彗星に注目して下さい。

2020年に姿を現したネオワイズ彗星
2020年に姿を現したネオワイズ彗星 出典:NASA/Bill Dunford

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