EDについては、ネットで「処方せんなしで買える」などとうたわれる“薬”が盛んに販売されてきたり、最近もオンライン診療の名の下にほとんど診察なしでED治療薬が処方されたり、といった問題があります。
また、男性の健康、いわゆるメンズヘルスについては、正しい理解が進んでいない現状がある、と斎藤さん。その一つがいわゆるAGA(男性型脱毛症)治療です。
「AGA治療薬というのは、基本的に男性ホルモンであるテストステロンの働きを阻害するものです。つまり、AGA治療薬を服用することで、EDが起きることもあり得ます。
薄毛の悩みを解消した結果、性欲が減退したり、EDになってしまったりするとしたら、それは本当に患者さんのためなのでしょうか。このように、一つの問題に対処するだけでなく、男性の健康と若さを考えた総合的な治療やケアが求められます」
斎藤さんは「それだけ悩みを持つ人が多い」とみます。「治療は医師の診察と処方に基づいた正しい方法で」と注意喚起した上で、実際に治療にあたる中で、患者からよく言われることについて話してくれました。
「『年を取ったからもうそういうのは卒業したんだけど……』などとおっしゃる方がとても多いのですが、男性機能の維持は、体の健康にもつながります。アメリカでは健全な健康や社会生活を維持するために“penis rehabilitation”と呼ばれる男性機能の維持のリハビリの概念も生まれています。
適切な治療により、高齢と呼ばれる世代に差し掛かっても、男性機能を回復し、自信を取り戻す方もいらっしゃいます。悩んでいる方は、ぜひ一度、医療機関を受診してください」
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