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IT・科学

SNS・動画サイトで蔓延〝ステロイド増強〟スポ庁特設サイトで対抗

スポーツ庁の啓発パンフレット
スポーツ庁の啓発パンフレット 出典: スポーツ庁

目次

筋トレブームの中、SNSや動画サイトの影響で、筋肉増強目的でアナボリックステロイドを使用する人が続出しています。こうした医薬品の不適切使用は「危険かつ、スポーツの価値および自身の可能性を根底から否定する行為」だとして、スポーツ庁が特設サイトを開設、注意喚起しています。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
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一般に蔓延する“ドーピング”

スポーツ庁は11日、スポーツや運動に取り組む一般の人たちの間で、「医薬品の不適切使用がまん延傾向」にあること、「安全性が確保されていないことや不適切使用のリスク等に関する情報が十分に周知されていない状況」にあることから、スポーツにおける医薬品の不適切使用の防止についての特設サイトを公開しました。

これに先立ち、9日、スポーツ庁と日本製薬団体連合会は、スポーツにおける医薬品の不適切使用防止に関する教育・啓発活動を協働で推進することを目的とする共同宣言に調印しました。 

スポーツ庁は会見で「健康の維持・増進のためのフィットネス、いわゆるボディメイクと称されるような身体づくりのためのトレーニング」などに取り組む一般の人が「SNS等に氾濫する科学的・医学的な根拠がない不正確な情報」を基に、「医薬品を不適切に使用してしまうことも大きな問題」と指摘。

「自己を肯定し、困難を乗り越えることにこそ、スポーツに取り組む大きな意義」があるとし、「主として医薬品の誤用や乱用により行われるドーピングは、様々な健康被害をもたらすだけでなく、自己を否定する行為、スポーツの根源的な価値を毀損するものであり、絶対に許されることではありません」と批判しました。

トークセッションも開催され、スポーツ庁の室伏広治長官とNHKの番組『みんなで筋肉体操』に出演する谷本道哉順天堂大教授、タレントの武井壮さんが登壇しました。

この中で、谷本教授は「筋肉にのめり込んでいる人」のうち、ドーピング行為をするほど「筋肉に乗っ取られちゃっている人が実際にたくさんいる」と指摘しました。
 

「止めても体に後遺症」も…

スポーツ庁によれば、近年トレーニング愛好家の間で使用されているのは「アナボリックステロイド」という筋肉増強剤。

副作用には心疾患や肝機能障害、性機能障害、倦怠感、ムーンフェイス、女性化乳房、ニキビ、抜け毛などがあり、「止めた後も後遺症による悪影響があります」とします。

さらに、「日本では、筋肉増強目的で薬事承認されている医薬品はありません」として、「インターネット等を通じて筋肉増強剤を個人輸入する場合、副作用に加えて、偽造品・不良品による健康被害のリスクもあります」と警戒を呼びかけました。

現在、SNSやYouTubeなどの動画サイトには、ステロイドの使用を公言するインフルエンサーが複数いて、一般のトレーニング愛好家に影響を与えるケースが相次いでおり、そうしたインフルエンサーが独自に個別の指導を行い、金銭を得ることも問題視されています。

スポーツ庁によれば、アナボリックステロイドは、国内では医療現場で更年期障害や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などの治療薬として使用されています。医師の処方せんがあれば入手でき、筋肉増強をうたう外来を設置する医療機関もあります。

「筋肉増強を目的として薬剤を処方している医療機関もありますが、これらの機関のウェブサイト等は、薬物使用による効果を強調し、副作用に関する説明が不十分であることも多く、専門家からも危険性が指摘されています」(同庁)

スポーツ庁は、筋肉増強剤を含めた安易な医薬品不適切使用は「違法薬物(危険ドラッグ等)の使用と同様に絶対に止めましょう」と強い言葉で批判しました。
 

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