連載
#95 夜廻り猫
恥ずかしい過去の〝やらかし〟 不意に思い出し漏れる声… 夜廻り猫
不意に、過去の自分の「恥ずかしい記憶」がよみがえって――。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、〝恥ずかしいこと〟にまつわるエピソードです。
きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵と、子猫の重郎。アパートのキッチンから「あぁっ」と声が聞こえました。
「どうなすった よかったら話してみないか」と語りかけると、キッチンにひとり立つ女性は「不意に恥ずかしい記憶がよみがえって叫んじゃうことない?」と肩を落とします。
「どんな……」と遠藤が尋ねても、女性は「言えないよ! 学校でもらしたこともあるし、水着のおしりに穴があいたまま遊んでたこともあるけど、もっと恥ずかしいこと!」と頭を抱えます。
「いい年になるとわかるんだよ 本当に恥ずかしいってどういうことか」
逆に、女性は遠藤に「本当に恥ずかしいこと、1個言ってみて」「酒の力借りる?」と晩酌に誘い、キッチンのすみっこでワインをつごうとします。
遠藤が「ここで…?」と聞くと、「広くて明るいところで恥ずかしいこと言える?」ときっぱり。遠藤も「御意」と即答するのでした。
作者の深谷かほるさんは、「ひとりでいる時、不意に過去の恥ずかしいやらかしを思い出して『アッ』とか『ギャッ』とか、叫んでしまうこと、ありませんか?」と問いかけます。「私はあります。弱っている時など、たびたびあります」と苦笑します。
ただでさえ落ち込んでいる時に、自分の恥ずかしい「やらかし」がよみがえるのは本当につらいものです。
そんな思いを、30代の頃に友人たちと話していたら、ちょっと年上の友達が「大丈夫。40になったら、『忘れる忘れる!』って言いながら首を振ると忘れられるから」とアドバイスをくれたそうです。
「40になってやってみたら……私の場合、ホントにほぼ忘れられました(笑)!笑い話にもしにくいような思い出は、なんとかだましだまし耐えていこうと思ってます。へへ」
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