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「彼女に贈ろうと思った」けど挫折…その後バズった〝動く刺しゅう〟
彼女はいま……
彼女のために刺しゅう作品を作ろうと思ったけど、挫折したーー。それから十数年、男性は再び刺しゅうの世界に魅せられています。5月中旬、4年越しに作った42枚の刺しゅうをコマ撮りアニメーションにすると、SNSで多くのコメントが寄せられました。当時の彼女は今、妻となり一緒に反響を喜んでくれています。
男性は、北海道在住のしゅげぇとんたんさん(36)です。接客業に就きながら、趣味でクロスステッチ(糸を交差させながら刺していく刺しゅうの技法)を楽しんでいます。
幼い頃からもの作りが大好きで、ノコギリやカンナで木を切ったり削ったりして、ピノキオのような人形を作っていました。
大学2、3年生のときには、先輩の影響でペーパークラフトやビーズマスコットなど小物作りにハマったといいます。
クロスステッチに挑戦したのは、20代半ばのこと。
「彼女に刺しゅう作品を作って贈ったら素敵なんじゃないか」
彼女の誕生花である〝紫色のリンドウ〟をモチーフにしたクロスステッチキットを手芸店で購入し、制作に取りかかりました。
しかし、自身が心から引かれるモチーフではなかったためモチベーションを保てず、途中で挫折してしまったといいます。
「刺しゅうして贈ろうと思ったけどダメだったわ」。作りかけの作品を彼女に見せたあとは、引っ越しのタイミングで処分してしまったそうです。
苦い経験がありながらも、数年後しゅげぇとんたんさんは再びクロスステッチを手にしました。
最初の失敗を踏まえて16センチ四方の布に大好きなゲームのキャラクターなどを刺し、サイコロやミニクッションを作って楽しんでいたそうです。
2020年には、ゲームのキャラクターをモチーフにして43センチ×35センチの大判の布にクロスステッチをしました。完成まで約7カ月、使った糸は計165m。ここから本格的に没頭していきました。
ヨッシーアイランド縫ってみた#クロスステッチ#Nintendo#ヨッシーアイランド pic.twitter.com/QQOzis6okM
— しゅげぇとんたん (@sgtntn716) November 29, 2020
しゅげぇとんたんさんは、「洋服やハンカチの端にあるような一般的な刺しゅうは難しく、敷居が高く感じられますが、クロスステッチは図案通りに刺すだけでセンスもいらず、簡単に始めることができます」と話します。
「1歩ずつ完成に近づいているのが分かりますし、努力の積み重ねが目に見え、『継続力』が物を言うところも好きですね」
ゲーム好きのしゅげぇとんたんさんにとって、「クロスステッチはゲームのキャラクターとの相性がいい」点も魅力でした。「クロスステッチの縫い目はひとつひとつが四角く見えるので、ドット絵の刺しゅうがとてもしやすいんです」
5月中旬、しゅげぇとんたんさんは刺しゅうを元に作ったコマ撮りアニメーションをX(旧Twitter)に投稿しました。
スマートフォン向けゲームのキャラクターをモチーフにした4秒の動画ですが、刺しゅう作品は42枚も使われています。
お気づきですか?刺繍です。 pic.twitter.com/rbJNO51P57
— しゅげぇとんたん (@sgtntn716) May 18, 2024
制作を始めたのは4年前。2児の父でもあるしゅげぇとんたんさんは、仕事や育児の合間に時間を見つけて少しずつ進めました。
投稿には、「このなめらかな動き…とてもすごい」「刺しゅうアニメーション初めて見た」「力作すぎて脱帽」というコメントが寄せられ、4万を超える「いいね」がついています。
「自分の好きなものじゃないと完成まで頑張れないのは分かっていたので、ゲームを題材にしました。ゲームのファンのみなさんがあたたかいコメントを残してくれてうれしかったです」
しゅげぇとんたんさんは、「老若男女関係なく刺しゅう好きの人を増やすことが目標」と話します。「SNSに刺しゅうの写真がもっともっと投稿される未来を考えるとワクワクします」
一方で、以前から「普通に刺しゅうしていても多くの人に見てもらえない」と課題に感じていたそうです。キッチン用品のザルや、はえたたきの網目に刺しゅうをした際は、多くの反響が寄せられました。
今回アニメーションで表現したのも、意外性を重視したからです。「刺しゅうは通常動かないものなので、〝動く刺しゅう〟があれば興味のない人にも見てもらえるのではと考えました」
モチーフにするのは、地元・北海道に生息する「シマエナガ」です。「手芸店にはないような、デフォルメされたかわいいシマエナガ」を意識して作っているといいます。
しゅげぇとんたんさんは今後もSNSでも発信し、「刺しゅうに興味のない方が見て驚いていただけるような作品作りを続けたい」と話しています。
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