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「クジャクは1~5まで数えられる」北里大の研究チーム解明

羽を広げたクジャク
羽を広げたクジャク 出典: 朝日新聞社

目次

北里大学の研究グループが、クジャクが1~5までの数字を認識し、数えることができる能力を持っていることを解き明かしました。この研究成果は、「クジャクの羽になぜ目玉模様があるのか」という謎の解明にもつながる可能性があります。

学部生が筆頭著者、国際誌に論文

数を数える能力は、ヒトだけでなくチンパンジーやアジアゾウなどでも確認されています。鳥類でもハトなどで確認されていますが、クジャクが数を数えられるのかどうかを調べた人はこれまでいなかったそうです。

研究当時の2021年、青森県十和田市にキャンパスがある獣医学部の学部生だった坂本麗水(れみ)さんと小倉匡俊准教授(動物行動学)の研究グループが、動物園のインドクジャクを用いた実験で、クジャクが1~5の範囲で点の数を識別できることを確認しました。

また、数の識別だけでなく、数の大小関係に基づいた比較判断もできることも明らかにしました。

坂本さんが筆頭著者としてまとめた論文が2025年10月、国際学術誌「Animal Behaviour」に掲載されました。

目玉模様がたくさんあるのはなぜ?

今回の研究は、クジャクの羽にある目玉模様の謎の解明にもつながるそうです。
その理由を説明します。

インドクジャクのオスは、上尾筒(じょうびとう、腰のあたりから尾羽の上にかけて生えている羽)が長く発達し、派手な色の目玉模様があります。上尾筒も目玉模様も特に生存に役立つわけでもないのに、発達しています。

これは、ダーウィンによって「性選択」の結果であるという仮説が提唱されています。性選択とは、メスによる繁殖相手の選択の結果として、生存に有利に働くわけではない特徴であってもオスで起こる進化のことです。メスは、必ずしも生存に有利に働かない特徴であってもその特徴で繁殖相手を選択し、オス側もその特徴の進化が起こります。

小倉さんによると、この仮説を検証する研究では、目玉模様の数が多いほど繁殖成功率が上がるという結果もあれば、目玉模様の数とメスによる繁殖相手の選択には関係がないという結果もあり、明確な結論は出ていません。

インドクジャク
インドクジャク 出典: 朝日新聞社

これらの議論が成立するためには、クジャクに目玉模様の数を数える能力が備わっていることが前提になっています。しかし、そもそもクジャクが目玉模様の数を数えることができるか否かについては、誰も確かめないまま今日まで来ていたそうです。

その大きな謎に、坂本さんは卒業研究で挑みました。今回の研究は、その卒業研究が発端になっています。

坂本さんは高校生の時にカラスが持つ数量認知能力を調べる実験に取り組んだ経験がありました。そこから発展させ、同じ鳥類で数量認知能力が性選択と結びついて論じられているものの、実験的に明らかにはされていないインドクジャクを研究対象にしようと思い立ちました。クジャクの進化史に対して、数量認知能力の観点から新しい材料を提供できると着想したそうです。

パネル使った実験で実証

研究グループは、青森県弘前市の動物園「弥生いこいの広場」の協力を得て、広場で飼育している6羽のインドクジャクで実験を行いました。

実験は、異なる数の黒い点を印刷した9センチ四方のパネル2枚を使って行いました。「1と2」、「2と3」、「1と3」の組み合わせを学習させた上で、点の数が多いパネルをつつくと「正解」か、少ないパネルをつつくと「正解」かを個体ごとに決めておき、正解のパネルをつつくと好物のキャベツを与えます。

ランダムな場所に点があるパネルを使って正解率を調べたところ、クジャクは有意に多く正解を選ぶことができました。

数を数えるクジャク
数を数えるクジャク 出典: 大学提供

数ではなく、パネルの「黒っぽさ」を手がかりにしている可能性もあるため、点のサイズを調整して黒が占める面積を同じにした 2 枚のパネルを用いて同じ実験をしたところ、やはり点の数に基づいて正解を選択することができました。これらの結果から、クジャクは数をカウントできると結論づけました。

さらに、クジャクが相対的な、数の大小関係に基づく判断ができることも実験で確かめました。

「2と3」、「1と3」、「2と4」の組み合わせで正解をトレーニングしたあと、「4と5」、「2と4」、「3と5」という、クジャクにとって初めて見る組み合わせを提示しました。その場合も、正解のパネルを有意に多く選択しました。

これらの結果から、インドクジャクは少なくとも 1~5の範囲で数を数えることが可能であり、相対的な大小関係に基づく判断ができることが分かりました。

もっと大きい数も認識?

小倉さんは、この研究成果が、クジャクの目玉模様の謎に迫る一歩になると考えています。

今回は1~5を数えられるかを確かめましたが、オスのクジャクの目玉模様は1羽あたり約160個あるので、もしメスが目玉模様の数を数えているとすれば、クジャクはもっと大きい数まで認識している可能性があります。

「インドクジャクの性選択に数量認知能力が大きな役割を果たしているのであれば、本研究で調べたものよりももっと大きな数を識別できている可能性があります。それは他種が識別できる数よりも大きな数であるはずです。またオスの上尾筒を見てメスが選択することから、メスのほうがオスよりも数量認知能力に優れている可能性もあります」

「こうした種差や性差を調べることでクジャクの持つ特異性を明らかにできれば、性選択をさらに強く支持することになります。インドクジャクの特徴として誰もが思い浮かべる派手な上尾筒がなぜ発達してきたのかという疑問に対して、数量認知能力の点からより強く迫る展開につなげていきたいと考えています」

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