IT・科学
「採血なし」で骨髄ドナー登録OKに ドナー数ピンチでトライアル
採血しなくても、骨髄ドナー登録が可能に――。バレーボールのユニフォームを着たファンでにぎわう会場に、そんなブースが出展されました。登録者からも「すごく簡単でした」と高評価。どんなものなのでしょうか?(withnews編集部・水野梓)
赤や青のユニフォームに身を包んだファンでにぎわう、東京・有明コロシアム。
「2023-24 V.LEAGUE DIVISION1 MENファイナル」が開催された3月末、会場には日本骨髄バンクのドナー登録のブースが設置されました。
通常の登録では2ミリリットルの採血が必要ですが、今回は「トライアル」として、口腔粘膜を採取する方法で実施しました。
骨髄バンクについて簡単な説明を受けたりドナー登録についての動画を見てもらったりしたあと、登録希望者は、綿棒のようなかたちのスワブで右・左側のほおの内側の粘膜をこすって採取。舌の裏側もこすり、登録は終了です。
大阪から応援にきたという女性(34)は、「ドナー登録のことを偶然知って、いい機会だなと思って登録してみました。とても簡単だったので、この方法が広がればいいのに」と話していました。
骨髄バンクの担当者によると、海外ではすでにスワブキットでの登録が広がり、キャンディーをなめて登録する方法なども登場しています。
骨髄バンクでは、国内でのスワブキットでのオンライン登録を、2026年度から本格導入しようと各地でトライアルを進めています。
今後も、時期は未定としつつも、トライアル期間内に公式XなどのSNS・Webでも申込ページのURLを告知するそうです。
今回の取り組みは、試合を観戦しながら選手と患者さんを応援しようという趣旨に賛同したスポーツ団体やチームと実施している「ピースドナーシート」と並行して行われました。
骨髄バンクに関心のある39歳以下を対象に、ジャパンバレーボールリーグが招待席を用意。
当日は、参加した15人が骨髄バンクの現状や移植の経験者の話を聞いて、骨髄バンクへの理解を深め、おそろいのタオルを掲げて試合を観戦していました。
ピースドナーシートの取り組みは、プロ野球などほかのスポーツでも実施されています。
こういった取り組みの背景には、ドナー登録者の急減という課題があります。
およそ55万人のドナー登録者のうち、57%が40~50代です。ドナーの健康のため、55歳でドナー登録の「引退」が決まっており、5年以内に10万人以上が減ってしまうのです。
一方で、白血病などの病気の治療のための骨髄移植には白血球の型が一致する必要があり、ドナーが見つかる確率は数百から数万分の1ととても低く、希望する患者さんの2人に1人しか受けられていないという厳しい現状があります。
採血が必要な通常のドナー登録は、献血会場などで行うことが多く、献血をきっかけにあわせて登録する人も多いようです。
しかしオンラインドナー登録であれば、QRコードから申し込むと自宅にスワブキットが届き、口腔粘膜を採取して郵送することで登録できます。
骨髄バンクでは、「ふだん献血をしない人にも、広くドナー登録を呼びかけられます。多くの方にドナー登録に興味を持ってもらいたいです」と話しています。
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