連載
#36 #就活しんどかったけど…
合同説明会、何を聞けばいい?「興味のない業界も見た方がいい」理由
就活、大型のセミナーでおすすめの質問は…
年々「早期化」が進んでいる就職活動。うまく乗り切るためには、はやめの情報収集が欠かせません。就職情報会社などが企業をあつめて行う合同説明会(合同企業セミナー)は、就活を見すえて情報集めを始める大学2、3年生にはぴったりのイベントです。でも、いざイベントに参加してもどの企業を見ればいいのか、どういうところをチェックすればいいのか、分からないかもしれません。4月に大型の合同企業セミナーを開催する就職情報会社「学情」の担当者に、こういったイベントの有効活用法を聞いてきました。(あさがくナビ編集部・福井洋平)
学情はこの春に大学2、3年になる学生を対象に、約200社が参加する「キャリアデザインフォーラム」を4月20日に東京、27日に大阪で開催します。
学情執行役員の歌津智義さんはこの時期に大型の合同企業セミナーを開催する意図を、「本格的に就活を始める前に条件にとらわれないフラットな気持ちで、志望する・しないに関わらずたくさんの企業の話を聞き、選択肢を増やしてほしいからです」と語ります。
就職活動は事実上、大学3年夏のインターンシップに向けたエントリーが始まる5~6月ごろがスタート時期となっています。
就活が本格的に始まってしまうと、自分のキャリアや将来についてじっくり考える時間はあまりとれなくなります。
歌津さんは「まず、自分がどんな大人になっていきたいかを考えることが就職活動では大切です」と言います。
イベントには就活生の人気ランキング上位に名を連ねる有名企業から中小企業まで、さまざまな企業が参加します。
まず身近な商品やサービスを通じて興味をもった企業から見て回るのもいいですが、歌津さんは「知らない、または興味のない業界や企業のブースもぜひ見たほうがいい」とすすめます。
「話を聞いてみて、やっぱり興味がわかなかった、となってもいいです。『自分はこれには興味がない』というのも、自分の進む道を決めるうえで大切な判断です」
自分のキャリアを考えるうえで、こういった大型イベントでぜひ知ってほしいことは2点ある、と歌津さんは言います。
ひとつは、「社会人を知る」ことです。
イベントには若手からベテランまで様々な職種、年齢層の社会人があつまります。
「仕事のなかで具体的にどんなことに喜び、やりがいを感じるか。企業で活躍する人材とはどういう人なのか、直接話を聞くことで自分の理想とする、なりたい社会人像が見えてくるかもしれません。また、たくさんの社会人と出会いを重ねることは、就活にとって大切な「自信」をつけることにもつながります」
もうひとつは「社会の構造、つながりを知ること」です。
消費者のところに商品やサービスが届くまでには、原料から小売店まで「川上から川下」と表現されるように多種多様な企業がつながっています。
どんな企業でもITやソフトウェアの力は欠かせませんし、ひとつの企業のなかでも営業や企画、開発、製造、SE、人事、総務、経理などさまざまな職種があります。
「たくさんの業界や職種があつまるこういったイベントを通して、各企業や業界、職種がどんなポジションでどのようにつながっているかを知り、社会全体を俯瞰できるイメージを養ってほしいです」
といっても、いきなり社会のつながりを全部知ろうとするのは大変です。
まずは企業をみるときに、「この企業はお客様からどんなところで、どのように感謝をされているのか」に注目すると、企業への理解が深まると歌津さんは言います。
一般消費者相手の企業、いわゆるB to C企業なら分かりやすいですが、大半の企業は法人相手の企業、いわゆるB to B企業です。
原料を製造して提供しているのか、卸売しているのか、あるいはソフトウェアを開発して提供しているのか、どういう価値を提供して顧客に喜んでもらっているかを判断すると会社の姿が見えてきます。
「お客様にどう感謝してもらうかが、その企業の社会的な存在意義なのです。その存在意義に自分が共感できるか、やりがいを感じられるかが、自分の価値観や判断軸のひとつになっていくと思います」
仕事は、大変なこともたくさんあります。
歌津さんは「自分が選んだ仕事の意義を思い返すことは、心を奮い立たせてくれるよりどころにもなります。仕事を選ぶうえで、意義への共感は欠かせない条件だと思っています」と話します。
気になる企業があったら、より深く知るために質問をしてみてもいいかもしれません。
たとえば、「どんなタイプの人が社内で活躍していますか」「他社と比べて御社の強みは何ですか」といった、企業側が話したいであろう内容の質問がおすすめと歌津さんは言います。
一方で、特に学生が気になるのは「その企業がどういうカルチャーなのか」でしょう。
「会社の中にはどういったタイプの人が多いですか」という質問は、企業のカルチャーを知るうえでもいいのでは、と歌津さんは言います。
また、その会社のカルチャーは社長の理念や考え方による影響が大きいので「社長がどんな方なのか」を聞いてみるのもいいかもしれません。
ただ、こういったイベントでは基本的には企業のプレゼンを聞くことのほうが多くなります。大切なのは、相手の言いたいことを聞き取る「傾聴力」だと歌津さんは語ります。
「まずは相手の話に集中し、あいづちを入れたり視点を相手に向けたりして、自分が知りたい本質的な情報を聞き出していく姿勢が大切です。最終的には、自分の軸をみつけるためにいろいろな人の価値観を知ってほしいですね」
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