「登下校中の水筒禁止 (登下校中に水筒を使って飲み物を飲んではいけない)」が“謎ルール”としてネットで度々、話題になります。しかし、水筒を持ち歩き、転倒した際の事故については、重症の事例もあり、消費者庁が注意を呼びかけています。どのような対策があるのか、まとめました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
学校の“謎ルール”として度々、ネットで話題になる「登下校中の水筒禁止 (登下校中に水筒を使って飲み物を飲んではいけない)」。もちろん、暑い時期は熱中症などの危険もあり、水分補給は重要です。一方で、これには大事な理由もあります。
水筒を持ち歩くときには、子どもの事故が起きやすくなるため、消費者庁は子どもが転倒した際、首や肩などに掛けていた「水筒がお腹に当たり、内臓を損傷するなどの事故が発生しています」と注意喚起しています。
子どもは「転倒しやすい」「転倒した際に反射的に手をつくといった動作が取りにくい」などの特徴があり、また、「子どもは腹部臓器の占める割合が大きい」「お腹周りの筋肉が弱い」などの理由により、腹部に外から力が加わった場合に内臓損傷が起こりやすいとして、警戒を呼びかけています。
同庁と国民生活センターが共同で行う医療機関ネットワーク事業には、水筒を持ち歩く子どもの転倒事故についての情報が、医療機関から寄せられています。
<水筒(1リットルの容器)を斜め掛けにして歩いていたところ坂道で転倒し、地面と水筒に挟まれる形で腹部を強打した。脾損傷のため集中治療室に入院し、保存加療で10日後に退院した。(9歳)>
<通学中に友人と追いかけっこをしていたところ転倒し、斜め掛けしていた水筒が腹部の右側に当たった。痛みと嘔吐があり救急搬送され、小腸破裂、汎発性腹膜炎のため緊急手術の上、集中治療室に入院した。(10歳)>
<登校中、走っていたところ硬い土の場所でつまずいて転倒した。その際、首から提げていた水筒が、地面とお腹の間に挟まり、腹部を強打した。内臓損傷により、膵臓50%程度及び脾臓を摘出した。(7歳)>
同庁は「水筒を首や肩から掛けていると、転倒した際、上記事例のように水筒が腹部に当たる可能性があるため危険」「水筒のひもが首や腕に絡まったり、遊具などに引っかかったりすることにも注意が必要」と指摘。
暑い時期やレジャーの際、子どもに水筒を持ち歩かせるときは、以下のポイントに注意しましょう。
・水筒はなるべくリュックサックなどに入れる
・水筒を首や肩に掛けているときに(子どもが)走らないようにする
・子どもが遊具などで遊ぶ場合は、水筒を置いて遊ぶようにする
こうした呼びかけに、SNSでは「怖い」「気をつけなきゃ」といった反響とあわせて、「学校の荷物が多すぎてランドセルに水筒が入らない」「学校から移動時に持ち歩きしやすいように斜め掛けにできる水筒を指定される」といった声も上がりました。
子どもに危険であることを伝えて、走らないように注意しても、走りだしてしまうこと自体はなかなか防げません。
減らせる荷物は減らす、リュックサックなどに取りつけられるような(首や肩に掛けない)水筒を収納できる便利グッズを活用する、学校側と相談するなど、親も意識する必要があります。