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子どもが主役の映画祭 アートディレクター森本千絵さんが目指す未来

多摩川河川敷エリアではペットと一緒に楽しめるエリアも
多摩川河川敷エリアではペットと一緒に楽しめるエリアも

目次

子どもの国際映画祭として知られる「キネコ国際映画祭」が11月1~6日、東京・二子玉川で開かれます。平和やジェンダー、環境問題など幅広いテーマの作品を、子どもも大人もじっくり楽しめます。30回目の今回から、映画祭のアートディレクターに就任したのが、Mr.Children・松任谷由実・Official髭男dismなどのアルバムジャケットのデザインを手がけてきた森本千絵さんです。自身も娘を持つ森本さんに、映画祭の魅力や開催にかける思いを聞きました。
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<キネコ国際映画祭:30回目となる今回は、17カ国60作品を上映。1歳以上、3歳以上、5歳以上、13歳以上、16歳以上と対象年齢ごとに上映プログラムを分類。平和やジェンダー、環境問題、ヤングケアラーなどテーマはさまざま。海外作品の上映では、スクリーンの横で声優たちが生で吹き替えをして上映するライブシネマなど、子どもたちが楽しめる工夫もこらされています>

生まれたばかりの娘と観客として参加

――どのようなきっかけで映画祭に関わるようになったのですか。

8歳になる娘がまだ生まれたばかりの時に、最初はお客さんとして参加しました。

映画館で、周りの子たちと肩を並べて一緒に笑ったり、食い入るようにスクリーンを見つめて、感動を共有したりすることは、子どもとっても本当に良い体験になると思いました。

捨てられたぬいぐるみたちの話とか、壁を隔てて一緒に遊んでいた友だちと、戦争のために遊べなくなるとか、外国のそうした5分とか10分とかの作品がかわいらしいアニメーションで描かれます。

でも、内容はシリアスで、日本にはあまりそんな作品がないから、その後、親子で話し合いをしたりして。それを含めて、映画の良さだなと感じます。

――それで周囲に映画祭の魅力を語っているうちに、国際審査員として声がかかったわけですね。

そうなんです。キネコ国際映画祭が参考にしているチェコのズリーン国際子ども映画祭に参加する機会をいただき、ものすごい刺激を受けました。

もう本当に街中がお祭りで、映画だけでなく、ダンスや演劇などあらゆる文化が詰まっているというか。そして、たくさんの国から人が集まってきて、交流も生まれていました。

子どもたちも学校別に集まって、小学生でも親とは一緒じゃないんですね。友だち同士で、どんどん街を回っているような感じ。とてもワクワクして、こういう映画祭を自分も目指したいと思いましたね。

大事なのは「映画を見た後に話すこと」

――今回から、アートディレクターに就任したわけですが、どんなことを心がけたのでしょうか。

私自身は、映画祭の世界観を作る手伝いをしています。絵本作家の立本倫子さんによるオリジナルキャラクターの「キネコ」は、猫の姿をしていますが、どういう立場なのかが曖昧(あいまい)でした。

スタッフのみなさんと設定を作り直す中で、子どもたちと世界をつなぐナビゲーターやディレクターが「キネコ」の役割だと確認しました。

その上で、コロナ禍だったり、戦争だったり、様々なことがある時代に、何を思うのかとか、そういう形でデザインを固めていきました。

元々の要素を生かしながら、それをより進化させ、成長させるのは、私がこれまで仕事で手がけてきたことなので。

今までは、ステージの装飾も猫と関係なく、花柄だったりしたんですよ。でも、待てよと。この猫が、子どもたちを迎える時に、色合いはどうなんだろうか、装飾はどうなんだろうか。

そういうことを考えながら、新たに会場を飾るフラッグを作ったりしました。
映画祭のオリジナルキャラクター「キネコ」
映画祭のオリジナルキャラクター「キネコ」
――「キネコ」の役割を整理したわけですね。

コンセプトをそろえて、グッズなどにも反映しました。映画を見て、何を感じ、考えたかを書き込める感想ノートも、年代に合わせてキッズ用とティーン用を作りました。

先ほども触れましたが、やっぱり映画は見終わった後で、それについて話すことがすごく大事だと思うので。まだ、脳が成長している時期に、良い記憶を刻みつけるというか、そういう体験が私自身は必要だと思っています。
映画感想ノートなどの映画祭グッズ
映画感想ノートなどの映画祭グッズ
そのために自分は何ができるのか。アートディレクターの立場だけでなく、親の立場としても考えたい。

ですから、映画祭を支えてくれる人を紹介したり、企業にも知ってもらったりして、輪を広げていくことも私にとっては大事な役割です。

みんなで子どもたちを支える場に

――映画祭の今後をどんな風に考えていますか。

子どもの創造力を広げるために、様々な取り組みをしている方はたくさんいると思いますけど、結構、バラバラに動いていたりします。

そういう個人、団体、企業が集結して、みんなで子どもたちを支える場みたいなものに、映画祭を育てていきたい。

海外の関係者に、どうしてもっと日本の有名な監督が作品を出さないのか、と聞かることがたびたびあります。

しかし、そうした方々に作品を出してもらうには、映画祭の規模を含めて、まだまだハードルが高い。

こうしたことを一つ一つクリアして、この映画祭に新作を出すことがステータスになるような未来を目指しています。
アートディレクターの森本千絵さん
アートディレクターの森本千絵さん
――今回、こだわった仕掛けは他にありますか。

多摩川河川敷エリアでの上映があるのですが、ペット同伴可能エリアを作りました。

私も犬を2匹飼っていますが、犬と一緒に入れる映画館は、なかなかないじゃないですか。せっかくだから、子どもと動物が同じ場所で映画を見るなんて、楽しいですよね。
全体マップ
全体マップ
うちの犬、結構映画を見るんですよ。テレビの中で犬が走っていたり、ハアハア言ってたりすると、めちゃめちゃ吠えます。

動物と見るんだからと思って、今回の上映作品の中には、そのまんまですが「ペット2」を推薦しました。

娘とペットと一緒に、この映画を見たら、どんなことが起きるんだろう。考えただけで、楽しくなってきました。

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