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署長の顔が〝光って〟ドーン! 警察署がまじめに作った防犯グッズ
「署長が光るのは強すぎ」
警察署長の後ろに後光が差している――!? 市民に自転車の施錠を呼びかけるために、とある警察署が配布する予定のユニークなデザインのキーホルダー。その驚きのデザインの理由について、聞きました。
「名東警察署では、自転車にカギをかけてもらうため『ご自由にお持ちくださいってこと?』と書かれた、名東警察署長の顔入りキーホルダーを作成しました」
そんな文言とともに、愛知県警名東(めいとう)署が作成したキーホルダーを紹介する画像がX(旧ツイッター)に投稿されました。反射素材で作られたキーホルダーのため、署長の顔に光が当たると署長が「光り」ます。
この投稿をしたのは、愛知県警の生活安全総務課が運用する「愛知県警察あんあん情報(公式)」(@AP_seian)です。
投稿には「署長が光るのは強すぎ」とか「ちょっとほしい」といったコメントがついています。
【名東警察署】~無施錠の自転車が盗まれる被害多発!~名東警察署では、自転車にカギをかけてもらうため『ご自由にお持ちくださいってこと?』と書かれた、名東警察署長の顔入りキーホルダーを作成しました。今後は防犯イベントなどで配布します! pic.twitter.com/oHX8gQOtCo
— 愛知県警察あんあん情報(公式) (@AP_seian) September 25, 2023
警察のマスコットキャラクターなどがあしらわれたキーホルダーは見かけることはあるものの、署長の顔を使うとは、なかなかエッジの効いたものをつくってくるな……。
愛知県警に取材を申し込むと、書面での回答を得られました。
署長の顔を印刷したグッズを製作した理由については、名東署管内では、今年8月末時点で、前年同期比で3割も増えているという自転車の盗難被害がきっかけだといいます。
また、被害に遭った自転車のうち7割が無施錠だったそうです。
「こうした現状から自転車の利用者に注意喚起を図るため、施錠を促す啓発品として、本キーホルダーの製作を企画した」とのこと。
警察署のまじめさがにじみ出ている文面です。
署長の顔をあしらった理由については「このキーホルダーにはインパクトを与えるため、警察署の代表である警察署長自身の顔写真を使用した」。
そのインパクト、しっかり受け取っています。
キーホルダーに書かれた「ご自由にお持ちくださいってこと?」という文面についても説明してくれています。
「『ご自由にお持ちください』『ってこと?』という文面は、『自転車の鍵を抜かない=自転車が盗まれてもいいということですか?』という施錠を促すメッセージである」
最後に、顔がドーンと使われた名東署長のコメントも紹介します。
「メッセージの意味を理解してもらうことによって、真に鍵かけの必要性が伝わればありがたい」
名東署の管轄地域は、名古屋市名東区。
名古屋市のホームページによると、名東区は「かつてはのどかな田園地帯でしたが、大規模な土地区画整理や地下鉄路線、さらには高速道路の整備などにより、市内屈指のベッドタウンとして、また名古屋の東玄関にふさわしいまちとして発展」したとあります。
名東署管内での自転車盗は、8月末で計113件認知されていて、うち約7割にあたる78件が無施錠でした。これは、愛知県内の自転車盗6399件の無施錠率約64%を上回っています。
県警は「鍵かけは防犯の基本です。自宅では、短時間の外出、就寝時や在宅時にも必ず鍵をかけましょう。自転車では、短時間の駐車でも必ず鍵をかけ、自宅に駐車する時も必ず鍵をかけましょう」と呼びかけます。
「ほんのひと手間を惜しんだために大切な財産を失うことにならないように、確実な施錠をお願いします」の一言がとても重いです。
名東署のキーホルダーは約400個製作。今後、防犯イベントなどを通じて市民に配布する予定だといいます。
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