「特別じゃない日」をテーマにした単行本が発売された漫画家・稲空穂さん。SNSで発表して注目を集めた漫画「おてつだい」に込めた思いを聞きました。
YouTubeの料理動画を観て、自分でもカレーが作りたくなった小学生の息子。
18時過ぎから、お母さんがカレーを作ろうとしたところをつかまえて「動画で作り方観たから大丈夫!」と、自信満々。でも、お母さんからすれば、手伝わせたら余計に時間がかかるのはわかりきっています。
「じゃあ、お母さんが下ごしらえまでやるから、僚太はカレールーを入れるのを…」
「オレもう小2だしさ、なんでもできるよ! なに手伝おうか?」
子どものまっすぐな瞳を見て、お母さんは覚悟を決め、料理を教えることにします。
20時を回り、お父さんが帰宅したころカレーが完成。かなり遅めの夕ご飯になってしまいましたが、息子は「お父さんと一緒のごはん久しぶりじゃん!」と嬉しそう。
いつも帰宅が遅いお父さんは、子どもたちと一緒にご飯が食べられなかったのです。
ひさしぶりに一緒に囲む食卓で「お父さんにも今度作り方教えるよ!」「なら早く帰ってこないとな」と笑う2人に、お母さんも笑顔になりました。
仕事でも家事でも、今まで自分が行っていた作業を誰かに手伝ってもらう際は、大なり小なり必ず「説明」をしなければいけません。
その「説明」の時間が惜しく、つい自分でできることは自分でこなしてしまいます。
ただ、その「時間」は「本当に惜しむべきものだったのかな?」とふと思いました。
惜しんで作った時間と、「お手伝い」を通した誰かとの時間は、比べるのももったいないものだったのかもしれない、と今になって感じています。