キノコ狩りのシーズンを控え、猛毒のキノコが各地で続々発見されています。その一つであるカエンタケは「触るだけで皮膚がただれる」ことや死亡例もある危険なキノコ。おどろおどろしい見た目ながら、食用と誤解して中毒になるケースもあるといいます。どのようなことに注意するべきか、紹介します。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
触るだけで皮膚のただれが生じることがあり、もし食べてしまうと、最悪の場合は死に至る猛毒キノコの「カエンタケ」。秋のキノコ狩りシーズンを前に、各地で発見のニュースが相次いでいます。
6月には千葉県千葉市で、7月には茨城県日立市で、8月には静岡県長泉町でそれぞれ発見され、各地で行政が注意喚起。枯れたナラの木から生えることがあり、大量のナラ枯れが起きると、生息範囲が拡大したり、群生したりすることがあります。
厚生労働省によれば、カエンタケはニクザキン科ツノタケ属のキノコで「表面はオレンジ色から赤色」「細長い円柱状または棒状」「土から手の指が出ているように群生または単生」「中は白く、硬い」といった特徴があります。
同省は、摂取してしまうと、30分ほどで「発熱、悪寒、嘔吐、下痢、腹痛、手足のしびれなどの症状」を起こし、2日後に「消化器不全、小脳萎縮による運動障害など脳神経障害により死に至ることもある」とします。
また、成分のトリコテセン類は毒性が強く、食べても、触っても有毒。薬用と誤解して酒に浸して飲み、中毒が起きて、死亡した例も紹介されています。
さらに、シロソウメンタケ科ナギナタタケ属のベニナギナタタケという食用キノコと間違いやすい、と同省。
他に、過去には漢方薬の原料として有名な虫に寄生するキノコである冬虫夏草と間違えて食用とし、中毒になった例が複数、報道されています。
同省は9月上旬、秋のキノコ狩りシーズンを前に、SNSで「毒キノコによる食中毒に注意しましょう」と注意喚起。
「毒キノコを食用のキノコと誤って食べて食中毒になる事例が確認されています」「食用と確実に判断できないキノコは、絶対に採らない、食べない、売らない、人にあげないようにしましょう」「野生のキノコを食べて体調が悪くなったら、すぐに医師の診察を」と呼びかけました。