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#6 #就活しんどかったけど…

就活の時は「恋は盲目」だった…広告業界ひと筋の大学生が感じたこと

連載「就活しんどかったけど…」

たくさんのお祈りメールが届き、「またか」という思いだったという女性。内定が出たときは正直なところ「やっと終われる」という思いだったそうです
たくさんのお祈りメールが届き、「またか」という思いだったという女性。内定が出たときは正直なところ「やっと終われる」という思いだったそうです 出典: Getty Images ※画像はイメージです

第一志望の企業から不採用の連絡「お祈りメール」が届き、思わず号泣したという大学4年生の女性。ことし7月に広告会社から内定が出るまで、一時は「本当に売り手市場なの?」とも感じ、「この業界は自分にはハードルが高すぎたのかも…」と悩んだといいます。自身の就活体験を振り返ってくれました。(withnews編集部・水野梓)

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就活しんどかったけど…

「広告業界で働いてみたい」

千葉在住で、千葉県内の私立大学で学ぶ4年生の女性(21)は、ことし7月に広告系の企業から内定が出ました。広告業界への就職を目指して活動してきて、「就活が終わったときはホッとしました」と振り返ります。

「就活」を意識し始めたのは、大学3年生の夏ぐらい。さまざまな企業の説明会を受け始めました。

その直前までカナダで2カ月間、留学をしていて、「帰ったらすぐ就活しないといけないなぁ」と留学中も感じていたといいます。

広告業界を目指そうと思ったきっかけは、2年生の冬、大学が用意した「海外インターンシップ」のプログラムに参加したことでした。

1カ月間、ベトナム人の学生とともに、オンラインミーティングを重ねながら、「青汁をベトナムで売るにはどうしたらいいか」プロモーション立案をしていくという内容でした。

「情報をちゃんと伝えたとしても、それが売り上げアップに伝わるかどうかは分からない」という難しさとともに、「すごく面白い」と感じたそうです。

「広告では、伝える、人の心を動かすことができる。そんな仕事がしたい」と考えるようになったそうです。

成績をアピール、面接官からも好反応

当初は、広告業界だけに絞らず、さまざまな企業の説明会を受けていたという女性。大手の就活サイトをよくチェックしていたといいます。

実際にエントリーシート(ES)を書いて、自分がどんなニュースや物事に興味関心があるのか、常にノートを持ち歩いてメモして自己分析もしていました。

ESの「学生時代に力を入れていたこと(ガクチカ)」では、「成績優秀者で授業料免除で大学に通っていること」をアピールしていたといいます。

出典: Getty Images ※画像はイメージです

「2020年のコロナ禍の春入学で、入学式もありませんでした。新歓にも参加できなくて、サークルにも入っていなくて。バイトも1年の冬まで始められないという状況でした」と振り返ります。

「でも、私の強みは大学の講義を頑張っていることだなと思っていたので、企業ごとに少しずつ内容は変えても、基本的には学業のことを書いていました。面接官も好反応で、オンライン面接では、チラッと大学からもらった賞状を見せたりしていました(笑)」

「祈られたら忘れよう」のスタンスで

しかし、内定まではスムーズにはいきませんでした。

たくさんの「お祈りメール」(不採用を知らせるメール)が届き、「『またか。』みたいな。お祈りが当たり前のように感じていました」と話します。

友人のなかには、1月後半に内定をもらった人もいました。仲のいい友達のほとんどに内定が出始めた今年5月ぐらいからは、焦りも生まれてきました。

「広告業界は自分には難易度が高かったのか、諦めた方がいいのか……」と悩んだといいます。

人手不足で就活は「売り手市場」とも言われますが、「本当に売り手市場なの? こんなに祈られているのに」と感じていたそうです。

出典: Getty Images ※画像はイメージです

とはいえ、自分の前向きさをいかして、お祈りメールが届いても「どうして不採用だったんだろう」と自問自答はしませんでした。原因を考えると辛くなるので、落ち込まないように気をつけていたといいます。

スタンスは「祈られたら忘れよう」。「次にいこう」と切り替えることが大事だったといいます。

得意なテーマのグルディスだったら…

しかし、最も志望度が高かった企業に、2次面接の次のグループディスカッション(グルディス)で落ちてしまったときは、ひと晩、落ち込んで泣いたといいます。

その週には、5社ぐらいから続けて「お祈りメール」がきていたことも大きく影響していました。

「通常のグルディスだったら、なにか『お題』があって、それについて学生たちがそれぞれ意見を出していく、というものが多いと思います。そうではなく、文章カードが配られて、『家の見取り図を全員で完成させよう』というものでした」

「戸惑ってしまって、全然貢献できなかったですね。『自分の得意なテーマだったら……』とも考えてしまいましたし、ここまでくると運や縁だなぁと感じました」

しかし、翌日には気持ちをリセットして、別の企業への面接に臨んだという女性。「ここまできたら、広告業界への就職は諦めたくない」と考えていたそうです。

「とりあえず就活を終わりたい」

7月に内定が出たのは、ウェブサイトや広告をつくっている会社でした。

内定が出たときの正直な気持ちは、「とりあえず就活を終わりにしたい」という思いが最も強かったといいます。

最終面接後、面談に呼ばれて、その面談後に「内定です」と告げられました。

「最終面接の後にわざわざ面談に呼ばれるということは、内定を頂けるのではないか」と考えてはいたものの、正直なところは「ホッとして、やっと終われる」という気持ちだったそうです。

「すでに内定がいくつもあるのに、就活を続けているという人は本当にすごいなって思います」と苦笑します。

今は、転職など次のステップアップも考えながら広告業界で働きたいと前向きにとらえているそうです。

人脈がないと難しいOB・OG訪問

就活中にハードルになったのは、広告業界で働いている人とのつながりがなかったことでした。

大学が提携している企業のなかには広告企業がひとつもなく、大学の先輩の体験談も広告業界のものはありませんでした。

「OB・OG訪問も難しく、人脈がないとつらいなって思いました」と話します。

出典: Getty Images ※画像はイメージです

また、面接で不安に感じているときは、SNSやYouTubeで流れてくる「面接でのNG回答はこちら」といった文言も意識してしまっていたそうです。

たとえば、企業から「内定を出さなかったらどうしますか?」と尋ねられたときの、NG回答は「諦めてほかの会社へいきます」。OKな回答は「何度でも挑戦したいです」なのだそう。

企業の「質問コーナー」でも、学生たちからの質問は「大変だったことは?」「入社後に必要なスキルは?」「やりがいは?」といった同様の質問が並ぶといいます。

女性は「YouTubeや就活サイトなどで〝NG質問〟が紹介されているので、だいたいみんな同じ質問になるんですよ」と指摘します。

「いま考えたら『変だな』って思いますし、振り回されなければよかったと思うんですけど、就活中は真に受けてしまっていました」

きつい面接官、今振り返ると…

一方で、就活中に「おかしいな」と感じたこともあったといいます。

1次から対面の面接だったある企業では、2次の面接官が女性の回答に対して毎回「それは違いますよね」「ボクはこう思いますけどね」ときつい言葉を投げかけてくる人でした。

「暴言とかではありませんでしたが、ちょっときついなって感じました。こちらの反応を見ているんだと思いましたが、結局ダメでした。でも一緒に働くわけですし、後から『そこにいかなくてよかったな』と感じました」

「就活している・就活を始めようとしている人へのアドバイスやエールがあれば教えてください」と尋ねると、女性は「私からエールなんて送っちゃっていいんですか」と苦笑します。

「私は終わってから気づくことが多くて、就活中は『恋は盲目』って感じでした」と言います。

「落ち込みすぎたり、やりたいことを諦めたりすると、後悔してしまうこともあると思うので、ひとふんばりは頑張ってみたらどうかな、と思います」

<体験談お寄せください> 新企画「就活しんどかったけど……」では、コロナ禍で変化もあった就活の「いま」を見つめ直し、よりよいあり方を探っていきます。

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