子どものいる病院を“ディズニー仕様”にするディズニーの取り組みが日本でも広がっています。その一つが、医療機関で着用するディズニーデザインの病衣。可愛らしい病衣は世界的に提供されていますが、なぜディズニーが病衣を届けるのでしょうか。困難に向き合う子どもに「選ぶ楽しみ」を与える取り組みを取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社(以下、ディズニー)が医療機関に向けて提供する「こども病院プログラム」。「病気や障害のある子どもたちとその家族に安らぎと楽しいひと時を届ける」ことを目的に、病院を“ディズニー仕様”にするものです。
このうち国内で最大規模となる取り組みが、日本で最大規模の小児・ 周産期・産科などの医療機関である国立成育医療研究センターで実施され、19日にはそのセレモニーが開催されました。このセレモニーには、ミッキーマウスも応援に駆けつけたことが話題に。
今回の取り組みでは、同センター内に、約80mのディズニーのキャラクターをあしらった壁紙と、日本初導入となる「ディズニープラス」を通じて最新の物語を楽しむことができるモバイル・ムービー・シアターが設置されました。このうち壁紙は専用アプリと連動するインタラクティブな試みになっています。
もう一つ、提供されたのが病衣です。病気と闘う子どもたちを支援するNGOのスターライト・チルドレン・ファンデーションと協力して製作し、ディズニーデザインがあしらわれています。
モチーフは、ミッキーマウスやミニーマウス、ドナルドダッグ、グーフィーのキャラクターたちから選ぶことができます。セレモニーでも注目が集まりました。
計2400着の病衣が、同センターを含む国内6病院で順次テスト導入されているということでした。
では、なぜディズニーが病衣を届けるのでしょうか。実は、ウォルト・ディズニー・カンパニーは世界的に、子どもが病院で過ごす時間に良い思い出を作り、病気と闘う子どもたちに快適さと安らぎを届けるための取り組みを始めています。
病衣を通じた支援が本格的に始まったのは、2018年、アメリカでのこと。前述のスターライトと協力し、500以上の子ども病院や小児医療施設に病衣を提供しているそう。
全米ではマーベル、スター・ウォーズ、ピクサー、ミッキー&フレンズ、ディズニープリンセスなど、おなじみのキャラクターで病衣を飾り、子どもたち自身が好きなデザインを選んで、検査、診察、入院時に着用しているとのこと。
これをグローバルに拡大していくために、日本を含む世界の国と地域で、「こども病院プログラム」が提供されるようになりました。
現在の形での取り組みは最近のものですが、ディズニーが病気の子どもたちを応援する歴史は意外と長いといいます。支援の歴史は1930年代にさかのぼり、創業者のウォルト・ディズニーは生前、ディズニーのアニメーターやキャラクターを連れて、入院している子どもたちを訪問していました。
これ以来、ディズニーは長らく、子どもたちと家族のための支援を行っています。 日本では、2022年に日本で初めて神奈川県立こども医療センターにディズニーのキャラクターをあしらった壁紙を提供、継続的に支援しています。23年も引き続き、支援を拡大していくということでした。