グルメ
前世は「乳臭かった」森永ミルクキャラメル 懐かしの味は110歳
幅広い世代に長く愛されてきた「ミルクキャラメル」。そのもととなるキャラメルは、1899(明治32)年に創始者の森永太一郎氏が製造・販売を始めたといいます。
森永製菓の担当者によると、発売当時は牛乳やバターを使った菓子がまだ珍しかった時代。アメリカでの製法が日本の気候に合わずに「乳臭い」などと受け入れられず、今ほどの人気はなかったといいます。
持ち歩きがしやすいよう、手のひらサイズの缶に紙で包んだキャラメルを詰めたり、製法の改良を重ねたり……。
乳製品の浸透も追い風になり、人気に火がつき始めました。1913(大正2)年6月10日に、今につながる「ミルクキャラメル」と名付けて販売をスタートしました。
当時は高級品だったこともあり、子どもたちのおこづかいでは買えず、成人男性を主なターゲットにして「たばこ代用」と宣伝していました。1914(大正3)年に開かれた東京大正博覧会でお土産物として売れ行きが伸び、広く愛されるようになったそうです。
「ミルクキャラメル」と名付けられてから110周年の今年は、カスタードやバニラアイスのようなミルキーな味わいを楽しめるミルクセーキ味のキャラメル「ミルクセーキキャラメル」を発売予定です。
パッケージには絵本のようなレトロな絵柄で、子どもたちや象・カンガルーがにぎやかに描かれています。
これは大正初期~昭和20年代(1916~1954年ごろ)にミルクキャラメルを販売した店などに実際に飾られたポスターのデザインだといいます。
森永製菓の菓子マーケティング部キャラメルブランドマネージャーの今村優見さん(34)は「時代を経てもあまり大きく変わっていない味、愛されてきた味を『ミルクキャラメルの日』に改めて味わってもらえたら」と話します。
2020年以降のコロナ禍で、外出先でも手軽に食べられるミルクキャラメルも売り上げが落ち込んだといいます。
外出が制限され、気が滅入ったり、不安をおぼえたりする人が増えた……。そんな風に感じたという今村さんは「ミルクキャラメルで少しでもほっとしてほしい」と考えるようになりました。
2022年2月、そんな気持ちからパッケージのフィルムと箱で作れる「3Dアート」を実現しました。
今回、限定発売される「ミルクセーキキャラメル」にも、その仕掛けが施されています。
今村さんは「時代がすごい勢いで変わっていくなか、慌ただしかったり、気持ちが張り詰めていたりしている人が多いと思います。ミルクキャラメルの変わらない懐かしい味を楽しんだり、今の時代に見てもかわいくて楽しい雰囲気のパッケージを癒やしにしてもらえたら」と話しています。
ほかにも110周年記念の限定商品として、ミルクキャラメル味のクッキー、アイスクリーム、ココアも順次発売されています。
ミルクセーキキャラメルの販売は10月までの予定で、ミルクキャラメル以外の限定商品の販売はなくなり次第終了です。
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