連載
#69 「きょうも回してる?」
昭和レトロな「くるまにポピー」、ガチャガチャに…〝テープ〟も再現
曇りがかったボトルの質感や感触…
2023年も3分の1が過ぎようとしていますが、ガチャガチャ業界の商品動向には今年、あるトレンドがあるそうです。商品に共通するのは「レトロ」というキーワード。その中でも、CMの印象的なフレーズでおなじみの、なつかしい車用品がガチャガチャになりました。ガチャガチャ評論家のおまつさんが取材しました。
毎月商品の入れ替わりが激しいガチャガチャの業界。毎月、再販売を含めた新商品の数は約300商品あり、多い時では約400商品が販売されます。商品構成比の7割から8割が、アニメのキャラクターなど知的財産の価値を持つ「IP商品」で占められています。そして、残りの2割から3割がオリジナル商品です。
オリジナル商品は、クリエイターの作品やメーカーの企画担当者の企画が反映された商品です。とくに、オリジナル企画は、他の玩具と比較してみても、自由度が高い。正直、何でもありです。ここがガチャガチャのオリジナルの魅力となっています。
商品の入れ替わりが激しく、多くの新商品が誕生するなかで、2023年はひとつの「ブーム」が起きています。それが、ノスタルジーやエモーショナル的要素を含んだ昭和レトロのガチャガチャです。
具体的には、今年2月に約400商品、3月に約300商品が発売されました。そのうち、オリジナル商品は90〜120商品になります。そのオリジナル商品のなかで、2月は17商品、3月は12商品が、商品名に「昭和」や「レトロ」などがついた、昭和の雰囲気を醸し出す商品です。
ちなみに、前年と比べると、昭和レトロ商品は、昨年2月は4商品、3月は7商品でした。つまり、今年は「昭和レトロ」のジャンルの商品が約2倍以上増えていることがわかります。
昭和レトロ商品のブームの牽引役として、大きく貢献しているのが、リアルミニチュアで定評のあるケンエレファントです。このコラムでも、以前「ビクターヒストリカルミニチュアコレクション」を紹介しました。
昭和レトロでは、約2年前以上から、「純喫茶 ミニチュアコレクションシリーズ」、「昭和ノスタルジック ミニチュアコレクション」、「お誕生日の想い出 ミニチュアコレクション」など、40代~50代世代の男女問わず、心に刺さる、ノスタルジックなミニチュアを作っています。
ケンエレファントは、食品や雑貨、家具など多岐にわたるプロダクトを、企業から使用許諾を受け、次々とミニチュア化しています。
今回はケンエレファントが3月下旬に発売した「グレイスメイトポピー くるまにポピー♪ミニチュアライト」を紹介します。
グレイスメイトポピーは、ダイヤケミカルが1978年に発売されして以来、長年親しまれている自動車用液体芳香剤です。昭和世代の方は、グレイスメイトポピーの商品名よりも、1980年代に漫才師のオール阪神・巨人さんが出演したテレビCM「くるまにポピー♪」のCMソングを思い出す方が多いのではないでしょうか。
あの懐かしの芳香剤「グレイスメイトポピー」をケンエレファントは、高さ約5センチの光るミニチュアとして、誕生させました。このミニチュアでは、国内モデルと海外モデルの各3種を再現。まさに実物をそのまま小さくしたかのように、とことんこだわった仕上がりになっています。
商品化のきっかけについて、開発担当者は「弊社の商品は、レトロなものを出している印象を持っている方も多いと思います。まだ何か作っていないジャンルの昭和の人気製品はなかったか考えていたところ、車用品って作ってないな〜と思い、その時、『くるまにポピー』のCMソングが記憶に蘇り、あのボトルが光ったら面白いものができるんじゃないかと思い企画しました」と話してくれました。
商品化する上で苦労した点は、「(ダイヤケミカルにとって)グレイスメイトポピーは思い入れのある商品です。ミニチュア化に際して、どうしても省略せざるを得ない部分もありますが、妥協なく開発したいという気持ちがありました。苦労した点でいうと、曇りがかったボトルの質感や感触をそのまま表現することが大変でしたね。透明感を本物と比較して調整しています。最初は塗装で実物と同じ色を再現できるだろうと思っていましたが、どうしても難しく成形色にすることでボトルの色を忠実に再現することができました」(開発担当者)。
また、よく見ないと気づかないのですが、実物のキャップ部分に「OPEN」という凸のある造形も、そのまま表現してあるところが、精巧さを追求するケンエレファントのこだわりが見てとれます。(※キャップは開けることができません。)。
そして、ボトルの中にある液体を染み込ませる芯までプラスチックで再現。キャップ部分にライトが下向きに入っているため、芯部分全体が光っているかのように見えます。
開発担当者はライトについて「ライトを付けると、各種類色合いが違って見えます。社内ではムーディーな色と言われました(笑)」。
そのほか、本物のグレイスメイトポピーは車に固定するため、両面テープがついています。もちろんこのミニチュアにも両面テープが付属し、実際に車に固定でき、「くるまにポピー♪」ファンにとっては、車のインテリアとして活用できます。
広報担当に使い方について尋ねると、「この商品は若者にとって新鮮に映るかもしれません。また昭和世代は懐かしい。どっちの世代にもハマる商品です。枕元にある目覚まし時計の横において、このライトの光で心を落ち着かせてもらい、癒やされてほしいですね」と話してくれました。
今後の展開として、開発担当者は「まだまだ、企業とコラボできていない商品はたくさんあります。ケンエレファントは、『すべてをミニチュア化する』というテーマがあり、ありとあらゆるものをミニチュア化していきたいです。またどんな商品でも、ケンエレファントのカラーを出していきたい。弊社の商品を飾っていただけたら、昭和のミュージアムが作れるのではないでしょうか」と話してくれました。今年のガチャガチャは、昭和レトロブーム。今後どんな昭和レトロな商品が発売されるのか楽しみです。
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グレイスメイトポピー くるまにポピー♪ミニチュアライトは、No.2001【きんもくせい】、
No.2002【柑橘系】、No.2003【ブーケ】、No.8003【LAVENDER】(海外モデル)、No.8005【JASMIN】(海外モデル)、No.8011【CHERRY】(海外モデル)の全6種。1回400円
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