ーーこの「Y2K」ブームに関して、どのように受け止められていますか?
今回の流れは大人たちが仕掛けたブームではありません。少なくとも日本国内のブームは、Z世代自身がかつてのブームを、いかに自分たちらしくアレンジするか、またジェンダーレスや環境問題をも意識して、いかに古いモノを再生させるか、といったところに楽しみを見つけている気がします。
彼らは無意識のうちにも世の中の流れを感じとり、SNSのハッシュタグなどを通じて似たテイストの仲間を瞬時に見つけていく。そして仲間と共に、自分なりのテクニックやSDGs志向を披露し合い、どんどんアップデートしていく。そういう時代になったんだなと思います。
近年、アメリカではファッション系のサブスクリプションサービスが目覚ましい伸びを見せ、洋服を買わずに借りて返す人が急増したとされます。人気理由の一つは、お薦めを教えてくれる「スタイリスト」とつながりが持てることで、日本も似た方向に向かうでしょう。
今後AIが進化すれば、好みに合ったファッションを、AIがどんどん提案してくれるようになります。しかしZ世代の多くは「機械的なお薦めより生身の人間から、自分にぴったりのスタイルを教わりたい」「それを自分なりにアレンジして着こなしたい」との思いを持っています。
Z世代は「何々系」とカテゴライズするのが、とても難しい世代です。コロナ禍で
彼らに関する本を書いたとき、事前に同世代134人にインタビューやアンケート調査を行なったのですが、「(身近な人以外で)憧れの人は?」と聞くと、134人中「2人以上」同じ回答がダブったのは、たった2人、すなわちイチローさんと大谷翔平選手しかいませんでした。
それほど価値観の多様化が進んだのが、令和の若者です。ひと口に「Y2K」ブームと言っても、かつての「渋谷系」や「ギャル系」とはニュアンスが大きく違うのです。