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IT・科学

「体重のことは言わないで」助産師にお願いした 妊娠時に悩んだこと

摂食障害に苦しんだ経験のあるシオリーヌ

ことしの初夏に第一子を出産したシオリーヌ。妊婦健診では、体重について助言されることが多かったといいますが……
ことしの初夏に第一子を出産したシオリーヌ。妊婦健診では、体重について助言されることが多かったといいますが…… 出典: シオリーヌのTwitter(@shiori_mw)より

目次

摂食障害や過酷なダイエットに悩んだ人は、妊娠時の厳しい体重管理で、ふたたび「体重計が怖い」「何を食べたらいいのか分からない」という気持ちになってしまうことがあるといいます。性教育YouTuberとして活動しているシオリーヌもそのひとりでした。妊娠時の体験を聞きました。(withnews編集部・水野梓)

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シオリーヌ(大貫詩織)さん:助産師・性教育YouTuberとして活動。総合病院産婦人科で助産師として経験を積み、精神科児童思春期病棟で若者の心理的ケアを学ぶ。2019年2月にYouTubeチャンネルで動画を投稿。チャンネル登録者数は17.3万人。『食べるの怖いな』(ハガツサブックス、原案・シオリーヌ/作画・菊池真理子)は11月17日、エッセイ集『産んでくれなんて頼んでないし』(イースト・プレス)とあわせて発売

妊娠中の体重管理のつらさ

ことしの初夏に第一子を出産したシオリーヌ。

大学生から26歳の頃まで、過酷なダイエットを繰り返し、大量の食べ物を胃に入れては吐くという「食べ吐き」の経験がありました。

パートナーのつくしさんと出会って、「家族や友達とおいしいものを食べて、『おいしいね』と言い合える日常を手放したくない」と思い、ここ最近は「食事制限やダイエットをしたい」と思わなくなっていました。


しかし、妊娠中の「妊婦健診」が、シオリーヌにとっては予想を超えてつらいものだったといいます。

「妊娠すると、体重とすごく向き合わないといけないんですよね。助産師なので、その大切さは分かっているんです。でも一喜一憂して、すごくつらかった」と振り返ります。

体重という数字との向き合い方

シオリーヌが「食べ吐き」やダイエットから抜け出す第一歩は、「体重を測らない」ことでした。

今も、体重計に乗るのは健康診断のときぐらい。

その時もわざとスマホをポケットに入れて「これは本当の体重じゃない」と〝お守り〟のように言い聞かせることで、体重という数字を気にしすぎずにすんでいたといいます。

体重という数字と距離を置くことで、ダイエットを手放したというシオリーヌ
体重という数字と距離を置くことで、ダイエットを手放したというシオリーヌ 出典: Getty Images※写真はイメージです

しかし妊婦健診ではそうはいきません。

きちんと体重を測り、数週間前の自身の体重と比較。〝増えすぎている〟と判断されれば、医師や助産師から「体重増加のペースが速いので気をつけて」といった言葉をかけられました。

「きょう何を食べたらいいか分からない」

「体重への言及が、大事なことも悪気がないことも分かっているんです。でも、体重をジャッジされることが本当につらかった。『もう何も言わないで!』って思ってました」

摂食障害や過酷なダイエットに悩んだ経験のある妊婦さんは、妊娠期間の体重管理に悩む人が少なくないといいます。

シオリーヌは妊婦健診を経て、毎朝、自然と体重計に乗るようになりました。100グラム増えていたら「次の健診までに何したらいいんだろう」「どうしよう」とパートナーのつくしさんに相談しました。

妊娠中の体重管理で、苦しかったダイエットの頃のことを思い出してしまったといいます
妊娠中の体重管理で、苦しかったダイエットの頃のことを思い出してしまったといいます 出典: Getty Images ※写真はイメージです

つくしさんも当初は「お米にコンニャク米を混ぜてみる?」などと明るく応じてくれていましたが、次第にシオリーヌの様子を心配することが増えてきたといいます。

「だんだんと『きょう何を食べたらいいか分からない』という気持ちになってきて。ついに、『考えすぎはよくないな!』と思って、助産師さんに『体重について厳しく言わないでください』ってお願いしました」

「また怒られるのかな」憂鬱な健診

もともと日本の妊婦の体重管理は厳しかったと指摘されています。

標準体重なら、かつては10キロの増加の範囲でおさまるように、と指導されていました。しかし今は13キロまでの増加なら問題ないとされています。

自身が助産師でもあるシオリーヌは、「基準が変わったことを知らない助産師さんもいて、前回とアドバイスが違うこともあり、モヤモヤしてしまいました」と話します。

「体重を増やしすぎ」と言われると、次の健診までずっと落ち込んでしまうことも。「『また怒られるのかな』って健診が憂鬱になっていました」と話します。

「柔軟に対応できる妊婦さんなら、『自分はこのアドバイスを参考にしていこう』って考えられると思います。でも私は体重にこだわった経験があるがゆえに、『病院のスタッフの意見は統一してほしい』って思いが強かったんですね」と振り返ります。

出産後、母乳育児で自然と体重が落ちたら「やせましたね」とコメントをもらうことも。「授乳が終わって体重が戻ったら、今度は『太った』って言われるのかな、って不安に思っちゃいます」と話します
出産後、母乳育児で自然と体重が落ちたら「やせましたね」とコメントをもらうことも。「授乳が終わって体重が戻ったら、今度は『太った』って言われるのかな、って不安に思っちゃいます」と話します 出典: シオリーヌ提供

ある日の妊婦健診で「摂食障害に悩んだことがあり、体重についてはあまり厳しく言わないでほしい」と伝えたというシオリーヌ。

「アドバイスの基準を統一してほしいというお願いとともに伝えたら、助産師さんの間で共有してくれました。その後は厳しく言われることもなく、心穏やかに過ごせましたね」

体型の変化、気持ちがついていかないことも

ダイエットから摂食障害になったシオリーヌは、「摂食障害を経験した人は、妊娠で自分の体型が変わっていくという『変化』を受け入れるのが難しいと思います」と振り返ります。

自分自身も妊娠中、鏡を見て「こんなに太っちゃった」と考えてしまったことがあるといいます。


自身の思いを伝える動画では、「からだをポジティブに受け入れるって難しいなって思います。頭では理解していても、気持ちがついていかないことってありますよね」と語りかけます。

「そんな風に思っちゃうのはあなただけじゃないよ、と伝えたいです」


シオリーヌ(大貫詩織)・菊池真理子『食べるの怖いな』(ハガツサブックス)

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