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「ポケット六法」今年もポケットに入ったよ でもポッケの大きさが…

有斐閣六法編集部の担当者に話を聞きました

上着のポケットに収まった令和5年版のポケット六法
上着のポケットに収まった令和5年版のポケット六法 出典: 有斐閣提供

目次

 有斐閣から出版されている「ポケット六法」。最新の令和5年版が発売されたのに合わせて、実際に上着のポケットに入れてみた画像が注目を集めています。六法編集部の担当者に話を聞きました。

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令和5年版のポケット六法
令和5年版のポケット六法 出典: 有斐閣提供

2128ページあります


 9月21日に発売された令和5年版のポケット六法。

 前年版と同じくサイズはB6判ですが、28ページ増えて2128ページとなっています。

 増加の理由としては、刑法の「懲役」「禁錮」を「拘禁刑」とする改正や、民事訴訟法の手続きをIT化するための改正などが影響しているそうです。

 発売当日、有斐閣六法編集部のツイッターアカウントがこんなつぶやきを投稿しました。

 「令和5年版は前年比+28頁。しかし民訴法&刑法の大改正に立ち向かった編集部が本気を出したところ、内ポケットにも余裕で収められました。今年もご安心ください」

 添付された画像には、上着の内ポケットにポケット六法を収めた様子が写っていますが、かなり強引に収めているように見えなくもありません。

 この投稿に対して「特注ポケット?」「防刃チョッキ代わりになりそう」といったコメントが寄せられ、いいねは1万6千を超えています。

六法編集部に聞きました


 「昨年のツイートが大きな反響をいただいたことを受けて、当初は今年もツイートをするか迷っているところはありました」

 そう話すのは、六法編集部の藤井崇玄さんです。

 六法編集部のアカウントは昨年9月にも同様のツイートをして話題に。

 この時はズボンのポケットに入れた画像を添付していました。

 「幸いなことにジャケットを見つけることができたのと、書店さんから『令和5年版のツイートを楽しみにしている!』という応援をいただいたのもあり、楽しみしてくださる人がいるのであればと、今年もチャレンジしました」

 28ページ増えてもポケットに収まった背景には、編集部の工夫と努力があるそうです。

 「刑法改正は2025年に施行される予定のため、改正後の規定と現在の規定の両方を掲載する必要があるのですが、何が刑罰に該当するかという『構成要件』の部分には改正がありませんでした。そのため、刑法第二編(罪)については、『改正前』と『改正後』でどの文言が変わるかといった対応表で対処いたしました。これは編集委員の先生からのご提案で、ページ数の増加を防ぎながら改正内容を明確に伝えることができたのではないかと思います」

ポケットの特注疑惑は否定


 上着ポケットの特注疑惑については「内ポケットに細工もしていませんし、普通に売られているジャケットです。もちろんポケット六法にも細工はしていません」と否定します。

 収録法令の見直しなどにより、どうしてもページが増える傾向にあるポケット六法。

 大ききな法改正があったとしても、それを正確かつコンパクトなかたちにまとめて、読者に届けるという使命を持って編集しているそうです。

 「今後も使命を達成した結果、収めるポケットを選ぶ必要がなくなればいいと思います」

 有斐閣では、六法編集部のツイッターアカウントだけではなく他部署のアカウントでも情報を発信中です。

 「新たに有斐閣Online(@yuhikaku_online)のアカウントも開設されました。各部署から様々な発信を行っておりますので、どうぞご注目ください」とのことでした。

上着のポケットに収まった令和5年版のポケット六法
上着のポケットに収まった令和5年版のポケット六法 出典: 有斐閣提供

ポケット六法の歴史


 ポケット六法は、持ち運びに便利なサイズの中に、日々の法律学習や仕事に必要な法令を収録したものです。

 基本六法(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法)を中心に、主要な法令がまとめられています。

 昭和53年11月に出版された「昭和54年版」が最初で、当時は小B6判862ページ。

 現在と比べると、ページ数は半分以下だったことになります。

 誕生の経緯には、「六法全書」と「小六法」が関係しています。

 六法シリーズの中で最も収録法令数が多い「六法全書」に対して、その携行版として昭和24年に刊行された「小六法」。

 携行版であっても収録法令の増加や内容の拡充は避けられず、年々増頁して判型も六法全書と同じになりました。

 実務家や学生が持ち運ぶのに負担となってきたことから、必要な法令に絞った小型六法を作ることに。

 そこで新たに生まれたのが「ポケット六法」でした。

 有斐閣は、明治時代に「袖珍(しゅうちん)六法全書」を刊行しています。

 袖珍とは、袖やたもとに入れて持ち運べるといった意味で、その商品名を受け継ぐ形で、ポケット六法と名付けたそうです。

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